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私事になるが、この数年、一人で働くことの痛みを最近とても強く感じて過ごしてきた。
一人でできることには限界があると人は言うが、いざやってみると思ったよりもそのキャパシティが大きいことがわかってくる。しかしながら個に依存する活動は、様々な要因で激しい浮き沈みに襲われるというのが現実だ。成し遂げようとするプロジェクトが大きくなればなるほど逆に「自分でできる」という思い込みが過信へと変容する。一人称の視点で巨大化した構造体が瓦解するのにはそう多くの理由は必要ない。
事物を進める上で「大切なのは人」というが、個の経験や資質だけを評価しても同じような問題に直面する。その個をスポイルするような環境に置かれれば、どんな価値だって負の方向に暴走し初めてしまうものだ。逆に、「個」と「個」が補間しあい、その力を多方面に何倍にもできる関係があれば、もしかするとどのような環境に置かれても力を発揮するかもしれないし、そのポテンシャルを伝搬する機会を得る可能性もある。
特に数名で構成される優れたチームには、努力だけでは成し得ない力を秘めていると思う。2-5名くらいの人数で多様な資質をもった「個」が有機的に集った時の勢いは、極めて優秀な大多数よりも強いと感じる。おそらくこのような話は優秀な投資家には「わかりきった話」ととらえられるのだろう。それはまさにスタートアップブームにおける典型的なチーム編成であり、突出した価値創造の王道パターンに見えてくる。
米StripeのBYOT
決済サービスを展開する米サンフランシスコのStripe社は、新採用制度「BYOT」 – Bring Your Own Teamを展開し注目を浴びている。募集するのは2-5名のチーム。「基本はソフトウェアエンジニアで編成されたチームであることを期待している」とするも、デザイナーや管理者、プロダクトマネージャーなど十分に確立されたコラボレーションがあるのであればそれを重視するという考えだ。
2-5名のチームでビジネスが確立しているのであれば、日本では「買収では?」と発想する人も多いと思うが、サンフランシスコエリアでは2年ほど前あたりからレッドオーシャン状態に入っており(もっと以前と言えるかもしれない)、スモールチームが参入して成長できる領域が限定されていたという背景もある。M&Aとも違う、転職とも違う新たな労働局面へのきっかけとなる可能性がある。
なおStripeの場合、チーム単位で募集するものの個人ごとに評価をする仕組み。全員がプロジェクトを持って入社するのが前提となっているわけではないようだ。
日本とBYOT
スモールチームのチームワークという観点で日本を見ると、スタートアップブームが北米ほどの多様な成功を生んでいないことを含め、多くの組織でプアな状態にあるように思う。「個」という意味では、国や地域などで差はないように思うのだがチームが弱い。逆に、スタートアップでも大企業でもスポーツでも世界で突出するチームは、必ずといっていいほどチームのコアが見事なコラボレーションを生んでいる。
そのように考えると、「BYOT」は、日本にとってとても良いスタイルになるのではないだろうか。「個」が重視されていてチームが弱い。であれば、始めからチームの中で活きる個のありかたを評価すればいい。
4年ほど前から、再びスタートアップと大企業のコラボレーションが脚光を浴びるようになってきているが、大企業を巻き込み大成功をしたは話は出てきていない。むしろ、スタートアップとのコラボプロジェクトは、大企業が痛みを得ない領域に追いやられているように見えることもある。
では、そのスタートアップがBYOT型で企業で仕事をしたらどうなるか。Stripeの例でも試行錯誤をする必要があるわけで断定できないが、個人として採用されるよりもずっと確度があがるように思える。
【関連URL】
・BYOT
https://stripe.com/blog/bring-your-own-team
私のスタイルは、過去 Independent Contructorといわれたもの。個人事業主でありながら複数の大企業などとも関係を構築して、より大きな取り組みを実践するというものだ。いわゆる外注請負型とは違い、プロジェクトを主導する立場になることもある。
こうしたIndependent Contructorが集う形で2010年にスタートしたのがTechWaveだったが、正直にいってチームとしての動きがうまくいっていなかった上に、2013年末には突然チームは解消され一人のプロジェクトになった。色々トライしてみたが、一人では何もできないばかりか、多くのものが崩壊した。失敗だった。
今、TechWaveという冠を続けて掲げてやろうとしていることは強いチームづくり。BYOTという言葉が定義されるまでは、会社か個人の集合体かという形で選択肢が制限されているように感じていたが、より自由な関係性でチームと個人、そしてパートナー企業と価値創造ができるのではないか、そんなことを考えている。