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米Facebookは2つのメッセンジャーアプリを提供しています。一つはFacebookのサービスの一部である「Facebookメッセンジャー」、そしてもう一つは2014年2月に買収した「WhatsAppメッセンジャー」です。
それぞれスマートフォンを主軸にコミュニケーションアプリとして無料で提供されてきましたが、現在、それぞれが月間13億人のアクティブユーザーがいることがわかりました。
2つのメッセンジャーアプリ
2014年のWhatsApp買収と平行して、Facebookはメッセンジャーを別のアプリとして段階的に切り出しを行っています。
当時、特にこれらの利用者が多い欧米の人々目には、なぜメッセンジャーを持つFacebookが「WhatsApp」を買収するのかが疑問に映りました。しかも、当初、「WhatsApp」は有料アプリとして急成長成長を遂げていたにもかかわらず買収後の2016年には無料アプリとして転換。Facebookは名前こそ違うものの、同じ無料メッセンジャーアプリを2つ抱えることになったのです。
結果的に、「Facebookメッセンジャー」はFacebook本体とは別のアプリとして、「WhatsApp」もFacebookとは別のメッセンジャーツールとして定着。それぞれが月間アクティブユーザー(MAU)で13億人を突破しています。
LINEのMAUが1億6900万(2017年Q2決算発表)、WeChatのMAUが9億6300万、QQのMAUが8億5000万(China Internet Watch)という数からすると、2つの会社が2つのメッセンジャーアプリで13億ずつのMAUを叩き出していることは相当なインパクトがあります。
メッセンジャー戦国時代末期の行方
Facebookが2つのメッセンジャーを運営し続ける理由を、Facebookはこれまで度々「違う特徴がある」と説明してきました。とはいえ、2016年8月のWhatsAppの利用規約改定で、Facebookとの連携を深める動きなどもあり、FacebookによるSnapChat買収報道などをあわせて考えると、最終的にFacebookはスマホ向けメッセンジャー市場のシェアを確固たるものにしたい考えであることは間違いなさそうです。
そして結果的に巨大なユーザーを抱えることになった「WhatsApp」は、再び収益化のために動き出しました。WhatsAppは2017年9月5日、ユーザーとビジネスー店舗やEC、航空会社、銀行など主に国際展開をする大企業向けにソリューションを提供するという発表をおこなっているのです。
収益面でいうと、メッセンジャーアプリを展開する日本のLINEはアプリパブリッシャーとして2013年からゲーム以外のジャンルで世界一(AppAnnie調べ)というポジションを得ており、メッセンジャーアプリを軸とした経済圏の構築では先をいっている状況。現在、アジア圏の主力4地域(日本・タイ・台湾・インドネシア)にフォーカスしてこのエコシステムをプラットフォームとして昇華させ、クラウドAIプラットフォーム「Clova」によるさらなる価値化を狙おうとしています。
Facebook陣営は、そう考えるとメッセンジャーの収益化施策が後手に回っているように見えますが、巨大なユーザー母体がある以上、予断が許さない状況です。もちろんパブリッシャーとしても世界の市場で勃興している中国勢の動きも目が離せなくなりそうです。
【関連URL】
・Facebook says Messenger now has 1.3B monthly active users, up from 1.2B in April, while Messenger Day has 70M daily active users — FB) users hate change — that’s just a fact.
https://finance.yahoo.com/news/meet-team-behind-facebook-messengers-plans-get-next-billion-users-143718983.html?soc_src=social-sh&soc_trk=tw
・Connecting One Billion Users Every Day
https://blog.whatsapp.com/10000631/Connecting-One-Billion-Users-Every-Day
モバイルメッセンジャーアプリの戦いは終盤という書き方をしたが、実は2017年前半は、世界でメッセンジャーアプリのダウンロードが急増していた(AppAnnie)。さらにこのことが発表されたレポートでは2021年にかけてアプリの利用時間が著しく増加するであろうという予測を立てている。もちろん、今からこのメッセンジャー戦争に参画しても、勝ち抜けるわけではなく、そういう意味では「終盤」という言い方をしたが、これまでユーザーが増加してこなかった地域や、中国を筆頭とする舞台に上がってこなかったパブリッシャー勢の勃興など、新たなフェーズに入ったことは間違いない。