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IVSローンチパッド結果まとめ 優勝のecboが荷物移動サービスを表明 #ivs17f

トップレベルの経営者および経営幹部が一同に集まる招待制カンファレンスイベント「Infinity Ventures Summit(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット)2017 Fall Kanazawa」の最終日2017年12月13日、目玉プレゼンテーションコンテスト「LaunchPad(ローンチパッド)」が開催されました。

このイベントは投資家や経営者らによる厳しい審査を経たトップ13社が、業界キーマンらの前で最終プレゼンを行うというもの。過去の優勝者として「クラウドワークス」、「あきっぱ」などの注目企業があります

どんなプレゼンがあったのか、その特徴は、そして優勝者は?これら登壇企業13社による6分間のプレゼンテーションのレビューなど、IVS LaunchPadの全てをお伝えしようと思います。

13社のレビュー

東京ロケット
「助太刀くん」

建設現場における70種類からなる職種と居住地を入力して仕事を見つけることができる。マッチングのみならず、勤怠管理や請求書発行、決済サービス「助太刀Pay」や信用情報を使ったサービスも提供。無料プランおよび月額1990円のプランがある。2017年11月29日にサービスイン。

蛇足)地上サイズが限定的な点が気になるが、こうした現場でフリーで働く人たちは個人事業主であることも多く、十分な社会サポートが受けられていない現実があるのでそこを埋めるという意味では価値が高いと思う。

・matsuri technologies
「ニモミン」

国内7500物件、13%のシェアを持つ民泊管理プラットフォーム。国の規制で民泊活用は180日までという制限が出たことに対し、残りをマンスリーマンションとして運用するシステムを提供。APIを提供することでタッチポイントを拡大する計画。今後、合法的な民泊市場として成長する時代にあわせたマネタイズおよび機能を提供する考え。

蛇足)単に民泊のプラットフォームとして聞いていたのですが、彼らは「物件データベース」として

・SORA
「ホテル番付」

ホテル経営の健康診断。競合ホテルと比較することができるツール。売り上げ好調不調が可視化される。公開されている料金と部屋数から推測。公開から2ヶ月で1000社が利用。経営指標診断サービスは月額無料~1万円。さらにホテルの料金を最適化するサービス「Magic Price」(月額3万円~)へと誘導する。

蛇足)価格Xデータという切り口でよくぞこの市場を見つけたなという印象。実はSORAは名前の通りプライベート飛行機の会社からの業態転換で今の事業に進んでいる。

ecbo
「ecbo cloack(エクボクローク)」
参考:東京都内ロッカー閉鎖 、#ロッカー難民 を救う「ecbo cloak」とは

イベントやホテルのチェックイン前、荷物をすぐ預けるところがないという17.5万人が抱える問題を解決しようとするサービス。喫茶店やマンガ喫茶などのデッドスペースで荷物を預けられるようにするというサービス。料金は50%ずつシェア。現在は30000個のスペースを提供。JR東日本や東急電鉄などと提携し預かり所を提供している。そして「ecbo Delivery」として、スポットからスポットへの荷物移送サービスも提供する。

蛇足)JR東日本の東京駅などロッカーを増やしたり案内看板を増やしているので向かい風になるのかと思いきや、実はなかなかロッカーの場所が見つからないという問題があるため、実はそうした駅にecboが導入されつつある、

あいりぺ
「MAIZOKIN(埋蔵金)」

古いガラケーやスマホは「埋蔵ケータイ」と呼ばれているという。埋蔵されているのは1.7兆円と言われている。その理由は写真などのデータを失いたくないから。そこで、オンライン買い取りと同時に、データを吸い出し閲覧できるサービスをパッケージにして提供。アプリは2018年4月リリース予定だが、体験版をLINEで提供。また、買い取りバイヤーネットワークも全国に拡大しているという。

蛇足)懐かしい写真やデータを抜き出すという魅力と、買い取りの魅力が微妙につながってないように感じるが、仮に定期的に買い換えすることが発生するであろうモバイルデバイスとの付き合いに欠かせないサービスポジションを獲得できると化けるかもしれない。

FutuRocket(フューチャーロケット)ト
「Hackfon(ハックフォン)」

アナログ電話をスマートデバイスにしてしまうプロダクト。プッシュフォン電話をIoT家電機器のスイッチに変えてしまう。584とプッシュすると「ごはんだよ」と子供にメッセージを送ったりすることができる。この組み合わせは自由にカスタマイズ可能。安いアナログ電話機と電話のポートRJ-45という枯れた技術を活用したい考え。本日クラウドファンディングのプロジェクトをスタート。

蛇足)「バントでホームランを狙っています」(笑)。未来ロケットはCerevoのグローバル展開を支援した美谷氏の新会社。フランスと日本をつなぐ活動を本格化するなかで、自らオリジナル作品を提供。

OQTA
「OQTA」
“気持ち”を伝える鳩時計OQTAが勇気を与えるインフラになる日

スマホアプリから遠く離れた鳩時計を鳴らす。やれることは「ポッポ-」と鳩をならすだけなのだけど、こうした非言語コミュニケーションを試行錯誤しながら拡大させようとしている。開発社いわく「こだわりの振り子」。誰がならしたかもわからないセミ匿名。

蛇足)IVS Launch Padの審査員に大受け。これまでいろいろなところで露出してきたのに刺さらなかったようにみえたが、ぱっと見ただけではわからない世界だからなだけでやはりこうした未知の要素があるデバイスはおもしろい、

カバー
「HoloLive!(ホロライブ)」
アニメキャラ生ライブが大反響、30min.創業者 谷郷元昭 氏の新会社カバーによる「HoloLive!」テスト配信で #17live

操作可能なバーチャルアイドル。拡大するアニメ、ライブエンターテインメント市場に切り込む。モーショントラックで3Dキャラクターの動きを人間と同期。声も人間のもの。リアルタイムでアニメキャラと交流ができる世界観はすでに大きな反響を呼んでいる。独自プラットフォームのほかに各種プラットフォームへの提供も予定。また間もなくスマホARライブアプリも提供予定とのこと。スマホで顔認識をしてモーションキャプチャーする技術も開発中。ビジネスモデルは投げ銭課金とPR。中国のライブ配信市場に注目しており、すでにHTC「VIVE X」により支援を受けているという。

蛇足)中国2億人のアニメ好きの市場は推定で22億ドルあるとのこと。日本のアニメインダストリーの力をダイレクトに海外に届けられる可能性があるか。

EXPVR
「BE THE HERO」

ヒーローになりたい。その夢をVRで実現する。VR酔いが発生しがちな「移動」手段において、某アニメの手が伸びるインターフェイスなどさまざな移動アクションを導入することで回避するというもの。VR良いが無くなることで映画のヒーローのように仮想空間内を縦横無尽に飛び回ることができるという。業界内の評価も高いとのこと。2017年12月14日朝にアーリープロトタイプ版を公開予定。正式リリースは2018年11月を予定。

蛇足)確かに、多くのVRコンテンツは酔いを回避するためにおとなしい体験が多くなっていてイマイチエキサイティング感がない。

リンクライブ
「Stock(ストック)」

スモールチーム向け情報共有サービス。Evernoteに搭載されているワークチャットをより使えるようにしたイメージ。Crevoなどが展開する制作者向けコミュニケーションサービスを、さまざまな情報タイプに拡大したものという理解が適切。無料から利用可能だが、月額840円で無制限にノートが作れるようになる(ファイル保存容量は10GBまで)。

蛇足)シンプルなアイディアのサービス。Evernoteという大御所アプリがあるものの、肥大化しすぎている感じは否めない。仮に短期間でEvernote越えのアプリケーションを再創造できたなら、世界でシェアを取れる可能性も出てくるか。

Labpratik
スマートボット「A;」

働き方の多様性にチャットの使用が浸透しているが、このサービスではSlackの内容を解析しコミュニケーションの偏りを回避したり、スケジュール表のデータを使って予定調整促すなど業務改善を行う。2017年頭から産学協同で実験開始し現在までに700社が利用。月額500円/人。

蛇足)グローバルで比較すると極端に少ない日本のボットサービス界。IVSローンチパッド搭乗は始めてか。

ZEALS
「fanp(ファンプ)」

ウェブ時代では当然のランディングページも、インフィードの先として使うとCVR 0.8%みたいなことが当たり前。そこで会話ボットを使い、そのデータからコンバージョンをあげつつ、適切な広告を出していくというもの。これでCVR は5.7%まで跳ね上がる。2020年印フィード1000億円を「独占します」・

蛇足)すでに82.7%のシェアを獲得し独占できるとしているのだけど、まだまだ競合プレイヤーはまだまだこれから出てくるフェーズなので無理じゃないかなーとは思うのだけど。販売員をリプレースというビジョンを実現するという発想は確かに興味深い、

優勝は?

・5位は「ホテル番付」
・4位は「fanq(ファンプ)」
・3位は「hololive(ホロライブ)」
・2位は、「助太刀くん」

そして優勝は

「ecbo cloak」

中央がecbo代表取締役社長 工藤慎一 氏

おめでとうございます。

【関連URL】
・Infinity Ventures Summit 2017 Fall Kanazawa
http://ivs.strikingly.com

蛇足:僕はこう思ったッス
 かれこれ5年以上、IVSローンチパッドのレポート記事をやっているのだけど、おそらく今回が最も市場感と直結したプレゼンター層になっていると思う。鮮度感がとても高いし、今後もこうしたプレゼンターが選ばれ続けるようなればさまざまな機会を創出できるようになるのではないと思ったっす。

なお、優勝したecboの工藤さんとはサービス開始前からいろいろな話を伺ってきた。UBERインターン時代の経験を活かした自分のサービスをやりたいという強い意欲を受けて着実に事業を成長させてきた。新しいタイプの起業家でいつも会う度にワクワクさせられてきた。個人的にとても胸熱な結果だった。

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