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スマホコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」を運営するLINEは2014年3月20日、の子供達を対象とした動画プラットフォーム「LINE KIDS動画」を発表した。
簡単に言えば、主に幼児の視聴を対象とした動画配信サービスだが、タイトルは公開時に28のみ。シリーズ1500エピソードを無料で視聴できるが、一日で最大40分間しか視聴できない。有料の観放題プランもあるが、全エピソードを観られるわけではないため、単純なフリーミアムともいい切れない。
そもそも、デジタルコンテンツ発展途上の日本で、なぜLINEは制限の多い動画配信プラットフォームを開始したのだろうか。
スマホ&タブレットで動画視聴は常識
子供がいる家庭、子育てに従事している人なら「子供がスマホを使用するのが常識で、大半が動画配信サイトでの好きな番組視聴としている」ことを知っているだろう。意外と思うかもしれないが、小学生くらいともなれば、動画配信サイトの流行歌をみんなで大合唱するのも普通の光景だ。
「子供ならゲームだよね」というIT業界の感覚とは乖離がある。特に幼年期(2~6歳くらい)の動画視聴熱の高さには目をみはるものがある。
ところが保護者としても観過ごせないところがある。それは、子供に勧められないコンテンツと課金である。
親ならまず「勝手に課金コンテンツを購入しちゃうのでは?」と不安になるだろう。これは、1クリック決済をOFFにしたり、決済時の認証を制限することで防げるもの。
しかし問題は、オススメ動画である。これは動画配信サイトで好きな番組を観ていたのに、関連動画やオススメ動画という名目で、一見、問題ないように観えて、実は子供には見せられないような内容に改変されたものや、創作コンテンツが子供達にプッシュされる問題だ。
筆者自身「え!いつの間にこんな動画を?」と驚いたことが何度もあるし、刺激的な内容でショックを受けた子を何度も見てきた、これを防ぐ適切な手段がないのが現実だ。
大人が見せたいものでなく、子供たちが見たいものを
こういった問題に、LINEが出した答えが「LINE KIDS動画」といえる。
舛田 氏は「危険やヒヤヒヤを回避し、私たちの社会を作る子供達が安心して使用できる動画プラットフォームを提供したかった」と語る。あくまで「大人が見せたいものでなく、子供たちが見たいものを見せられるようにする」という考えだ。
そこで、LINEチームは、ユーザーからの意見を受け入れる組織「LINEサポーターズ」からのフィードバックを軸に、まずは子供たちに人気のコンテンツを調べ、そのトップ10タイトルのうち9タイトルを用意。当然ながら誰もが知る「あんぱんマン」や「プリキュア」などのタイトルがトップにランクインしている。
コンテンツ全体としては28タイトル、1500超のエピソードを提供という子供向けとしては国内最大レベル。しまじろうシリーズも後日カバーされるとのこと。
かつ、「動画を観過ぎてしまう」等という親の不安の方についても、「タイマーシステム」など多数の施策が用意されている。
タイマーシステムは、視聴時間を貯められる仕組み。一日あたり15分が加算されというもので、節約して視聴たり、蓄積した時間をまとめてみることも可能。とはいえ、最大で観られるのは1日たり最大40分。単純に視聴時間になるとアラームがなる仕組みもある。
コミュニケーションプラットフォームであるLINEらしい機能としては、視聴時間を「ともだち」におねだりすることができたりするものがある。一人あたり5分間、最大で15分間分を受け取ることが可能。
どういったシチュエーションに必要になるかパッとは浮かびにくいが、子供が「どうしても、もう一つ観たい」という時に、「じゃあ、○○くんのお母さんにきいてみようね」などとコミュニケーションにつなげると考えれば、「ねだればもらえる」という単純な話ではなく、人と人との関係性の中で自分が動画を観る時間の重みについて学べる機会ともなるだろう。
それでも何らかの理由で、特定の番組をいつでも使用できるようにしたい人のためには、1タイトル(シリーズ)を月額400円で何度でも資料できる「番組見放題プラン」や全28タイトルのうち300超のタイトルを月額500円で見られるプランも用意されている。
もちろん、チャイルドロック機能も用意されている。
アプリはiPhone版が先行公開される。取材時(2014年3月19日)ではApple iTunes App Storeに申請中で、通過次第公開となる。
【関連URL】
・【LINE】子ども向け動画配信アプリ「LINE KIDS動画」をiPhone向けに近日提供開始
http://linecorp.com/press/2014/0320706
社会における、子供のいる家庭の現実的な問題感がとぼしい日本。そんな中で、ユーザーの声をひろいながら、子供視点でサービスを構築していくという企画。LINEチームは3年前から「利用者が安心して使用できる」というビジョンを掲げており、その構想からちっともぶれてないということに関心させられる。同種のアプローチで生まれたサービスといえば、ミクシィの「ノハナ」が記憶の新しい。
子供と動画の関係といえば、昨年5月(2013年5月)に静岡県清水市で開催されたシズオカカンヌウィークにおいて、TechWaveが開催した「スマホアプリを考えよう」というワークショップでの出来事を紹介したい。これは、映画と音楽と食の祭典の中で、アプリ博を開始しその中で主に若年層を対象に開催した紙ベースのワークショップだ。
写真の通り、中心となったのは3歳から12歳程度の子供達。彼等にスマホのアプリの企画を考えてもらったのだが、3歳から小学校低学年の子供たちの多くが考えたのが「私のYouTube」というアプリだった。大好きなアニメだけを見たいのに、こわい動画がプッシュされてくるのがトラウマになっている。だから、私の好きなアニメだけを、いつでも見られるようにしたいというものだった。
「LINE KIDS動画」の企画は、まさにこういった子供達の声を受けとめるものとなる。