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期待度大のオープンソースゲーム機「 OUYA ( ウーヤー )」を試してみた 【@maskin】


[読了時間: 3分]

 Kickstarterで859万ドル(約8億6000万円)以上を獲得したことで注目を集めたオープンソースのゲーム機「OUYA(ウーヤー」が2013年6月25日に発売された。価格はコントローラーが1つ付属して99.99ドル。販売ルートの一つである 米Amazon.comでは十数時間で売切れとなっている。

 今回、KickStarterの支援者向けに提供されるモデルを入手したのでレビューしたい。

 「FREE THE GAMES」と書かれた箱。高級感はないが、開発者の意気込みが伝わるパッケージングになっている。軽いのかと思いきや、結構ずっしり。1.5Kgほどの重さ。

 箱の中にある、小さな本体。刻印が綺麗。背面にHDMI端子やUSB端子、Ethernet端子、電源端子などが並び、天井に電源ポタンが配置される。

 このサイズながら、3Dゲームなどをプレイする際などはファンがブンブン回る。

 コントローラーは1台付属。Xbox360やPlayStation3などでお馴染の構成。無線(Bluethooth)で接続するスタイルで、最大4台まで利用できるようだ。なお、追加のコントローラは1個49.99ドルとなっている。

 いきなり困ったのが、電池の入れ方。解りやすいノッチなどはなく、結局検索したら多くの人が困っていたようで写真入りで紹介されていてた。

 正解は握り部分。左右に1本ずつ単三電池を入れる。カバーは強引に外すしかない模様。

 初回起動時は、ファームウェア(基本ソフト)のアップデートがかかる。Ethernet接続だったが、これが意外と時間がかかった。

 その後は、いよいよ起動、、、、なのだが、いきなりユーザー登録時にクレジットカード番号入力を求められ戸惑うことに。
 
 基本利用は「フリー」で、追加アイテムなどの課金で決済情報が求められるとばかり思っていたが、ユーザー登録時に決済情報を入力する必要があるようだ。ユーザーが求めない限り課金はないとのこと。

 メニューはご覧の通りシンプル。ゲームをプレイする「PLAY」、ゲームやアプリを探すコーナー「DISCOVER」、アプリ開発用の「MAKE」、ネットワークやアカウントなど諸設定を行う「MANAGE」。ゲームは、タイトルごとに年齢設定がされているのだが、ペアレンタルコントロールも用意されているのが○。

 早速、ゲームをダウンロードしてみよう。

 「DISCOVER」を開くと大量のゲームタイトルが並ぶ。
 とはいえ、カテゴリ順ではなく、「FEATURED」や「VIP」などテーマごとのプレイリストが縦に並ぶ状態。大量のコンテンツがあるように見えるが、同じタイトルも重複している。

 ジャンルとしては「アーケード/ピンボール」、「アプリ」、「ピンボール」「PLAY W/FRIEDS」「PLATFORMER」「SHORT ON TIME」、「FPS/SHOOTER」、「FIGHT!」、「DUAL STICK」、「全年齢対象」、「パズル/クイズ」、「シミュレーション/ストラテジー」「ロールプレイング」、「レース」、「アドベンチャー」、「スポーツ」、「カード/カジノ」、「MEDITATIVE」、「COLLECTIONS」、「SANDBOX」といったあたりで、いずれもタイトルがある状態。

 タイトル数が確認できないが、実際数えたところ、筆者の端末ではアプリを含め80以上のタイトルがあるようだ。

 有名どころのタイトルはほとんどないが、実際にプレイしてみると十分に遊べるものが多い。開発者が実験的に公開しているゲームもアイディアが斬新で楽しめる。

 どれほどのゲームがプレイできるか3Dレースタイトルをやってみたが、Xbox360やPlayStationシリーズの高解像度ゲームまではいかないものの、十分に迫力があり楽しめた。Nintendo3DSあたりより美しいようにも感じた。

 スクウェアエニックスが提供するとしていた「FINAL FANTASY 3」を発見。

 やはり、往年の名作は人気があり、OUYAの成功もコンテンツ次第という印象を受ける。

 OUYAを実際に触れてみて注目したのは「アプリ」だ。米映画レンタル&販売&レビューサイト「Flixster」や動画コミュニティアプリがさくさく動作するところを見ると、AppleTVの競合に十分になりうると感じた。

 Androidベースなので、ウェブブラウザも問題ない。タブレット向けに提供するビューで快適に操作できる。

 OUYAの魅力は、誰でもAndroidアプリを開発できる点にあるように思う。Androidで広く普及しているNVIDIAの「Tegra 3」チップセットを採用しているため、移植もしやすい。

 OUYAのマーケットには所定の審査があるが、本体上で直接アプリを開発したりテストすることもできるようになっているなど、より多くの開発者がOUYAというプラットフォームを活用されるかどうかが、このプロダクトの成功の試金石であり、クラウドファンディングで賛同した民意の核心なのだと感じる。

 北米の多くのレビューワーが「期待できる」というように、今後が楽しみなプロダクトだ。


【関連URL】
・OUYA | Amazon.com
https://www.amazon.com/dp/B0050SZD18
・カジュアルゲーム機の襲来、スマホとコンソール型のいいとこ取りになるか?【@maskin】
http://techwave.jp/archives/cloudgaming_bump_from_oldgame.html



蛇足:僕はこう思ったッス
かつて、コンシューマーゲーム機は、開発者として登録することすら敷居が高く参入が難しかった。OUYAは、それに対するアンチテーゼなのだと思う。
ゲームメーカーは参入障壁を下げたが「うまくいかない」(某社談)中で、スマホプラットフォームというスマートデバイスの領域でその夢というか主張を実現したのだと思う。
スマホゲームとは違う使われ方をするのは間違いないが、ゲーム開発に自由が与えられたことで、テレビ前の世界が大きく変わると思うし、AppleTVあたりもだんまりしているわけにはいかなくなるんだと感じる。
ちなみに、気になったのは、「レトロ」のコーナー。大量のエミュレーターが並んでいます。。。


著者プロフィール:TechWave 編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなどほとんど全てのIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSの啓蒙。ネットエイジ等のベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップマーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。
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