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TechWave的「東京ゲームショウ2017」まとめ、ゲームの深化とVR

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毎年恒例の「東京ゲームショウ2017」の季節がやってきました。ゲーム業界関係者およびプレス向けのビジネスデイが2017年9月21日から22日にかけて開催されているため、早速、TechWave的視点でレポートをお届けします。なお、一般公開日は2017年9月23日から24日(日)の2日間です。


まず、全体についてですが、今回の「東京ゲームショウ2017」は昨年と同様、海外からの出展が非常に目立ちます。マスコミも圧倒的に海外勢が多く、その勢いはこの数年で最も高まっているといっても過言ではありません。メインのビッグタイトルは日本のものが多いですが、海外から国や地域あげて訴求してくるプロダクトの品質が劇的に向上しているのが見て取れます。

具体的には全出展企業は609社あり、うち国内は292社・海外からは317社という数字。ホール1から8まではゲームタイトを中心とした展示。別棟の9から11ホールは物販やインディーゲームのほか、昨年から始まった「VR/ARコーナー」(VRコーナーから再編)に加え「eSports」のゾーンが登場。2つのステージでトーナメントが繰り広げられています。

成熟化する“体験”

東京ゲームショウにおける2010年頃からの数年間は「スマホ」に対する業界変容期(参考「東京ゲームショウの展示面積で見るスマホアプリの急成長具合 【増田 @maskin】#tgs2012」)であり、2016年の「VRエリア」投入によりさらに新たな風が吹き始めました。

ゲーム業界全体の縮図として東京ゲームショウを捉えると、一言で総評すれば「ゲーム体験への没入深化」の流れがあるといえます。来年1月発売のモンスターハンター:ワールドを筆頭に、複数のプラットフォームで横断的展開をするタイトルが増え、どのデバイス?どのプラットフォームという線引きが見えなくなりました。

2018年1月27日に発売予定の人気タイトル「モンスターハンター:ワールド」の世界観を存分に演出したブース。

ゲームハードウェアメーカー大手で出展しているのはソニー・インタラクティブ・エンタテインメントだけ。コンテンツも「XXX専用」と唄うところは少なく、内容そのものの世界観を訴求する出展者が多くを占める様になっています。よって、新規タイトルがひしめき合う印象ではなく、むしろビッグタイトルが成熟進化しクロスプラットフォームになっていく流れを感じます。

イベントや限定販売なども既存のファン層に向けた特典が仕掛けられており、ゲームタイトルの世界における満足度の追求と業態構造の変化という時代の流れを感じさせられました。

VR/ARとeSportsの境界線

TechWaveとしての注目はゲーム業界における新しい流れ「VR/AR」「eSports」「インディゲーム」といった新しい流れを中心に集めた9−11ホールにあります。早速ホールに入るとすぐ目につくのはVR向け匂いデバイス「VAQSO」のエリア。

匂いを噴霧するデバイスを、国内外の有力VRコンテンツ・システム開発者とコラボするという力の入ったコラボブースです。

トリコル社が開発する職業体験VRゲーム。ラーメンを作ると匂いがします

VRソリューションを開発するアルファコードは、VAQSOの匂い噴霧ユニットを、スタンドアロンのVRヘッドセットに対応すべく独自のコンバーターユニットを開発。

ラーメン
匂い噴霧ユニットとVRヘッドセット本体との橋渡しをするユニットを時差t区

また、アルファコードが提供するVRコンテンツ・マネジメント・システム「VRider DIRECT」(参考記事)をVAQSOに対応。360度映像の中に匂いを仕込むツールを公開しました。

編集メニューの中に「フレグランス」という項目を用意。360度映像の中に匂いを置き、利用者がそこに触れると匂いが噴霧されるシステムを実装しています

VR体験の高度化という意味ではいろいろな切り口がありますが、技術と企画、両側面から完成度の高い体験を創出して注目を浴びたのが「ALICE SPACE」です。NASAの協力を得て、最大6人のプレイヤーがVR装置を背負い宇宙探検に没頭することがきるようになっています。

体験スペースの広さは7m x 10m。自由に歩き回りながら月面着陸ミッションを行います

以下は実際に宇宙飛行士達が体験している状況をモニターする画面。東京ゲームショウ2017では月面ミッションが実施されていますが、今後、続編や別の非現実世界の体験プログラムの公開が計画されているとのことです。


なお、これらのハードウェアは19万9000米ドル、ソフトウェアの使用料は月額6000ドルとのことです。

こうしたプレイヤーが自由に動き回れる「フリーローム(Free-roam)」技術で注目されるのが中国深センの「REALIS」です。モーションキャプチャーカメラで1mm以下の精度かつ低遅延(2.9ms)でユーザー動きを取り込めるというもの。価格も従来品の2分の1。

韓国の「Sangwha」のような大規模装置も、これらゲーム体験の高度化・深化を象徴するプロダクトの一つといえます。

マスと“体験”

VRエリアで異色の存在だったのがVR向けに撮影された映像の活用する流れです。一見、特別な仕掛けが無いように見えるものの体験するとその差が分かるというタイプのものです。

例えば、「テレビ朝日メディアプレックス」が展開する「ポリフる ライブDEリズム!」はAKB48の柏木由紀さんをキャスティングした体験型ライブゲームになっています。撮影機材やキャスティングはテレビ局のリソースやノウハウを使い、さらに内部の開発チームで企画として作り上げるというもの。単純に見るだけに終わらず、イベント会場などで盛り上がる仕掛けが満載。

遊ぶのはもちろん、オーディエンスも楽しめる。ここまでの完成度のコンテンツはなかなか見られません

テレビ朝日メディアプレックスは、こうした制作ノウハウを「VRPlex」というソリューションとしてアーティストのイベントPRなどの用途で提供しています。

一方で、2017年9月19日にグリーと資本業務提携を果たしたシータ社(参考「グリーが実写360度VR映像制作に注力、シータ社と資本業務提携」)は「透明少女」をVAQSOブースでコラボ出展していました。

こちら電影少女たちとのコミュニケーションを楽しむというコンテンツで、VAQSOの匂いデバイスをを通じてシャンプーの香りがするというデモなのですが、注目すべきは、彼女たちのキャスティングから衣装、シナリオ設計まで全てがシータ社によるプロデュースであるという点です。

電影少女

シータ社は、独自の撮影機材と技術を研究開発しており「最も親近感が感じられる映像を高クオリティで撮影する」(シータ社社長 鈴木雅彦視)ことを追求。VRコンテンツでは映像を全面のみに絞ることで、透明少女たちとのふれあいを極限までリアルに再現することに挑戦しています。

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ホール9−11ではその他eSportsの大会が開催されるなど、多くの注目を集めました。詳細は別の記事で公開しようと思いますが公開しました(「eスポーツの真実、東京ゲームショウ2017は世界への入り口となるか #tgs2017」)。大きな動きに向け水面下でいくつかの動きがあるため、感心のある人はそれぞれのブースやステージを細かくチェックすることをオススメします。

また、一般公開日限定ですがホール9−11にコスプレエリアが新設されていました。国内外のコスプレイヤー向けに、パフォーマンス&撮影ができるエリアとのことです。更衣室も用意されていました。

以上、東京ゲームショウ2017のTechWave的ポイントまとめをお届けしました。

【関連URL】
・東京ゲームショウ2017
http://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2017/

蛇足:僕はこう思ったッス
 VRエリアは新陳代謝が激しい印象。ARは台湾のFevolutionがARkitを使ったゲーム「Togater」のデモを行っていたり、韓国のELROISが利用者自身をアバターとして取り込むソリューションを展開していたが大きな動きは見受けられなかった。ただ、アルファコードが、昨年にも続きARカードゲームで新作「そいつが17面相だ!」をインディーゲームエリアで展開し大きな反響を呼んでいた。東京ゲームショウ2017全体では、新しい技術やトレンドを巻き込みながらより楽しい、満足度を追求する流れが海外勢の後押しを受けながらまたさらにレベルアップしたような印象を受けた。感心を持たれた方は是非幕張メッセまで足を運んでいただきたいと思うッス。
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