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米ネット・アプリケーションズが公表した「デスクトップ向けブラウザシェアトレンド」によれば2016年4月16日に、これまで首位だったマイクロソフトのInternetExporerを、グーグルのChromeブラウザが抜き1位に踊り出たとのこと。
モバイルやソーシャルネットワークを主軸としたパラダイムのシフトといった見方が支配的だが、そんな時代の潮流とは関係なく「今、自分が使いたいウェブブラウザがない」と立ち上がった人物がいる。写真(冒頭)のVivaldi CEO ヨン・フォン・テッツナー(Jon von Tetzchner) 氏だ。彼は、17年前に独自のレンダリング(描画)エンジンを持つOperaを生み、その多くをウェブブラウザに注ぎ込み、“第3のブラウザ”とまでいわせしめた人物。
今、彼は生まれ故郷であるアイスランドの4500人しかいない地元に戻り、新しいウェブブラウザ「Vivaldi」を開発している(冒頭写真は社員)。
そもそも自ら創業したOperaを2年前に離れたヨン・フォン・テッツナー氏は「再びウェブブラウザ開発をやるとは思っていなかった」という。しかしながら、生まれ故郷のアイスランドはネット普及率が最も高い国。主要産業は漁業であるが、生活圏にITが深く浸透し必要不可欠な存在になっている。
だからこそ、一般生活者が最も触れるアプリ「ウェブブラウザ」の利便性やカスタマイズ性に改めて関心が向いたとテッツナー氏は言う。
「ウェブブラウザは、どんどんシンプルになってゆき、ユーザーが欲しいものというよりはどれだけシェアを取れるかにフォーカスされているように感じました。ブラウザの色も灰色ばかり、タブを開き過ぎて困惑するユーザー、どのブラウザも状況は同じです」。
Vivaldiは見た目から違う、使い勝手は最高
「Vivaldi」は2016年4月5日に、Windows/Mac OS X/Linux向けのVersion1.0がリリースされたばかり。
実際に使用してみると何もかもが違う。ウェブサイトの配色にあわせてブラウザのフレーム色が自動で変化したり、サイドバーにFacebookやツール系ウェブなどを別途開けるほか、ネットサーフィン中のメモを残せるなど普通のブラウザでは見たこともないようなツールになっている。
メモ機能はシンプルだが、ウェブブラウズほどメモが必要なものはない。以前、ウェブブラウザをメモ帳として使用するという記事(「ウェブブラウザを「テキストエディタ」にする方法 【増田 @maskin】」)を書き話題を呼んだが、そういったニーズをしっかり受けとめてくれる。
メモ&記録といえば、Evernoteのようなサービスと連携するプラグインが欲しくなる。Vivaldiは、実はChromeと同じレンダリングエンジンを持っているため、Chromeの機能拡張をそのままインストールして使用することができるのだ。
最も好印象だったのは「タブ」だ。複数のタブをフォルダみたいな形にまとめたり、タブの立て幅をグイっとのばしてサムネイルで確認しながら作業することもできる。タブやサイドバーの位置だって自在にカスタマイズ可能だ。
おそらく、少し使用して幾つかの機能を体験すると、その便利さに驚きの声をあげるだろう。慣れてきたら操作系の機能を試しながらチューニングをしていくといい。「戻るボタン」などを使用せず矢印キーで自在に行き来したり、マウスや独自のコマンドでショートカット操作することも可能だ。とにかく使用すればするほど快適に使用できるのが「Vivaldi」といえるだろう。ユーザーに対する愛さえ感じたりする。
Chromeと同じエンジンをWebスタンダート技術で編み上げる
Chromeと同じエンジンでChromeプラグインを使用できるからといって、Chromeブラウザの悪い点を思い浮かぶ必要はないだろう。Vivaldiは、Webスタンダードの技術、具体的にはJavaScriptを使用し、さまざまなモジュールを使用してユーザーインターフェイスが作られている。
「Vivaldi」の社員および開発チームは、アイスランドのみならず北米やEUに点在している。こういったリモートワークの中でも、Webスタンダード技術でプロトタイピングをする手法で高速に開発サイクルを回すことが可能で、常にユーザーの利便性を追求することができている。まさに匠の技という表現がふさわしい。
Chromeと同じエンジンを利用することについては、プラグインなどの資産を活用できる利点もあるが「将来は独自のエンジンも」(テッツナー氏)という気持ちもあるようだ。モバイル版については、もっと具体的なプランの中にある。気になる人は、インストールしてみてはどうだろうか。
【関連URL】
・Vivaldi、パワーユーザーのために開発された高機能ブラウザ
https://vivaldi.com?lang=ja_JP
テッツナー氏はOpera時代に、世界1500万ユーザーを抱え、日本でもニンテンドーやソニーのデバイスにプリインストールを実現してきた。今でもOperaはシェア5位程度と一定のパワーを持ち続けている。
VivaldiはOperaと同じようなプロダクトに見える部分もあるが(カスタマイズ性やジェスチャー)、実際に使って比較すると全然違う使用感だということを理解できる。Vivaldi快適である。非力なマシンでもサクサクだ。FirefoxやChromeから離れ、すっかりVivaldiの虜になってしまった。