メディア業界に痛みを伴わない進化などありえない【湯川】

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 音楽、新聞、出版、テレビ・・・。メディア業界に大きな変化の波が訪れている。業界の中の企業は、なんとか自分たちの企業規模を変化させない形で新しいメディアの形へと進化しようと躍起だ。しかし、給与や人員の大幅削減を伴わない進化などない。断言してもいい。

 農場や工場に画期的なテクノロジーが新しく導入されれば、多くの人が職を失う。効率化、人的コスト削減を目的にテクノロジーを導入するのだから、当たり前の話だ。情報を扱うメディア業界にインターネットというテクノロジーが新しく導入されれば、同様に大幅な給与や人員削減の圧力がかかる。これもまた当たり前の話だ。

 1つの社で給与や人員を現状のまま維持したければ、同業他社に潰れてもらうしかない。なので、この局面における同業者同士の合同事業は成立しない。メディア企業は同業他社と組んでネット企業に対抗しようとしたがるが、1社でさえ現状維持が困難な時代に、合同事業に参加する社すべてが現状を維持して生き残れるはずがないのである。

 今後、合併するメディア企業も増えるかもしれない。でもそれはリストラを前提とした合併になる。もっと言えばリストラするための言い訳としての合併になるのだと思う。


 新聞はなくならないし、テレビもなくならない。しかし大幅に市場は縮小する。どの程度縮小するのだろうか。もちろん根拠のある数字などあるわけもないが、漠然と「最終的には2割程度の規模にまで縮小するのではないか」というような予測を耳にするようになってきた。

 2割ー。

 従業員の半分がクビを切られ、残った半分も給与が半減する。そんなイメージだ。その最終の形まで50年かけてゆっくり進行するのか、5年以内にそこまで行くのだろうか。

 ただ自らの判断で痛みの中へ飛び込んでまで進化しようという企業などない。特にサラーリーマン経営者の合議制によって運営されている日本企業ではそうだろう。

 そうなると、従来型メディア企業の出すコンテンツの質は低下する一方で、新しいタイプのメディア企業の経営基盤も確立されていないというコンテンツ冬の時代に入る。

 最後には冬のあとにいずれ春がくるのだろうが、一時的なコンテンツやジャーナリズムの質の低下は避けられないだろう。

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