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[読了時間:4分、「蛇足」含む]
米Google社員がユーザーの個人情報を不法に入手し解雇されていたことが今週、明らかになった。Googleはプライバシーポリシーを厳格に運用しているようだが、それでもこうした事件は起こる。情報化社会がわれわれの生活を次々とデータに変えていくなかで、完璧な対策など存在しないのかもしれない。
米ハイテク系ゴシップサイトvalleywagによると、米Googleは、4人の未成年のユーザーの情報に不法にアクセスしたとして、ワシントン州カークランド市のGoogle支社に勤務する27歳の男エンジニアを解雇したと報じた。この記事が出たあとに、Googleが情報漏えいと解雇の事実を正式に認めたという。
この元Googleエンジニアは、ユーザーの情報にアクセスする権限を持つ幹部エンジニアグループの一員で、知り合いになった15歳の少年のGoogle Voice使用時の音声通話のログを再生し、ガールフレンドの名前と電話番号を入手。ガールフレンドに電話をかけると恫喝したという。
また別件で未成年者の男女のインスタントメッセージのデータとコンタクトリストを不法に入手し、これらのデータを所持していることをほのめかせたという。また別の未成年者が同エンジニアをチャットの会話の中に入ってこれないようにブロック設定したところ、同エンジニアはコンピューターを操作しこのブロック設定を解除したとされている。
これら一連の不法アクセスの動機が何であったのかは明らかになっていない。性的な動機ではなさそうだという。valleywagは、同エンジニアは自分が個人情報にアクセスする権限を持っているということを被害者たちに誇示したかったのではないかと推測している。
この報道を受け米TechCrunchはGoogleに確認を取ったところ、プライバシーポリシー違反で同エンジニアを解雇したことを明らかにしたという。また過去にもう1件、同様の理由で解雇したことがあることも認めている。
GoogleがTechCrunchに対して送付した返答は以下のような内容だった。
われわれは該当の人物を、内部の厳格なプライバシーポリシーを違反したことを理由に解雇した。Googleは問題のシステムにアクセスできる社員の数を注意深くコントロールしているし、常にセキュリティコントロールを改良しようとしている。例えば、ログ監査の時間を大幅に増やしている。それでもシステムのメンテナンスのためには、限られた数の人間にシステムにアクセスする権利を与えなければならないのも事実。なので違反に対しては厳格に対処している。
それはそうだよな。「個人情報を扱っているのが人間ではなくコンピューターですから、安心なんです」と言われても、そのコンピューターをメンテするために最低数の人間が必要なことも事実。その人達は、ものすごい量の個人情報にアクセスできてしまうわけだ。
僕もGmailにアクセスする権利を持っていそうな人物から、僕の個人情報を握っているようなことをほのめかされたら、それはもう非常に怖い。ぞっとする。
ただGoogleにしてももう十分に厳しい対策を取っていそうだし。
じゃあどうすればいいか。パソコンを使わない、ネットを使わない、って生活が可能かといえば、不可能。これからますますわれわれの情報はデジタル化されどこかのコンピューターに記憶されるようになる。この方向はもう変えられない。
どうしても公にしたくない情報はいっさいデジタルにしない、というのが究極の対処方法なのかもしれない。それともSun MicrosystemsのScott McNealyが「プライバシーは死んだ。諦めろ」と言ったように、プライバシーがなくなる方向に時代は進んでいくし、それはもう仕方がないことなのかもしれない。
どの程度のプライバシーを失ってもいいのか、どの程度守るべきなのか。プライバシーの定義はどう変わってきたのか。プライバシーを守る技術をどうするのか。社会全体としてどういう方法を採用してプライバシーを守るべきなのか。
こうしたことを議論していかなければならない時代になってきたのだと思う。
湯川師匠の言う通り、一人の人間がコントロールできる情報があまりにも多いのが問題。
以前、取材活動の中で、「システム担当者がすべてのメールの内容をチェックできる状態にある」という企業がとても多いことに愕然としました。情報漏洩や訴訟対策などに必要なのでしょうが、あまりにも閲覧しやすい状態にあることに危惧を感じました。システム担当者は技術者で、権利感覚を持った人とは限りませんでした。中には外注先にそれをやらせている企業もありました。
そういった事実をほとんどの人が知らない。一方で個人情報の扱いについて恐怖心から過敏になったりと、一度プライバシーについて情報を整理しないといけない、と10年前くらいから感じています。