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通貨が経済社会の潤滑油の役割を果たしたように、情報社会ではデータがその役割を果たすようになるといわれる。もしそうであるならば外国為替や証券取引所のような役割を果たす機能が情報社会にも必要となるはず。そう思っていたら、Googleがウェブデータ取引所とでも呼べそうなサービスを開発中であることが分かった。
米AdAgeによると、ユーザー属性に合った広告を表示するためのユーザーデータを売買できるような仕組みをGoogleが開発中という。Google幹部がAdAgeに語ったところによると、ブランド広告の巨人になるためのGoogleの最も大きなプロジェクトの1つだという。
ウェブ上の行動履歴を追跡できるクッキーと呼ばれる仕組みを使うもので、ウェブサイトなどがユーザーの行動履歴情報をGoogleに提供し、巨大なデータベースを構築する計画。広告主はその中から「旅行を計画中のユーザーの集合体」「新車を探しているユーザーの集合体」「オハイオ州でサッカーを習っている子供の母親の集合体」といったユーザーグループを抽出し、広告を表示できるようになるという。
これまで広告枠を売買する取引所のような仕組みはあったが、ユーザーの行動履歴データを売買できる大掛かりな仕組みの構築は初めてとみられる。
実は個人のデータが、既に通貨の役割を一部で果たしている。
Googleは、ユーザーがどのようなキーワードで検索したか、検索結果のページでどのリンクをクリックしたか、という検索関連のデータを持っている。このデータは、検索の精度をより向上させるために使われたり、ユーザーに関連のある広告を表示するために使われている。そしてGoogleはこの仕組みで広告収益を上げ、その一部を無料のサービスとしてユーザーに還元している。またその仕組みを使って多くのウェブサイトがサービスやコンテンツを無料で提供している。
つまりわれわれは検索関連のデータを提供する見返りに、無料で地図を使えたり、メールサービスを使えたり、ニュースを読めたりするわけだ。検索データが、ウェブ経済を回しているといってもいいだろう。
検索関連データに加えて、ウェブ上をどう動いたかという行動履歴のデータをみなで持ち寄り、より大きな経済をデータで回せるようにしようというのが今回の取り組みの意味でもある。
今後はここにさらにリアルな街での行動履歴、購買履歴、友人からのソーシャルデータなども加わってくる。
その一方で、無料で利用できるコンテンツ、サービスがさらに増えていくことだろう。
プライバシーの問題などクリアしなければならない課題はあるが、データが通貨のように社会の潤滑油になる時代に向かって少しずつ前進しているようだ。