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スタートアップ・デイティングは2013年1月22日、同社が運営するオンラインメディア「StartupDating (スタートアップ・デイティング)」を刷新。ブランド名を「Sd(エスディ)」とするリニューアルを行った。
新編集長には、CNET AsiaやTech In Asiaで活動してきた日本在住のブロガー Rick Martin 氏を迎える。
同社は、これまでアジア圏を中心としたスタートアップ関連メディアとの提携を果たし、国内外のスタートアップ関連イベントの支援などで活動を活発化してきた。
今回、アジア発で世界を変えるスタートアップを追う媒体としての方向性を明確にするために、「CHANGE THE GAME!」をコンセプトに掲げ、これまでの日本語サイト(jp.startup-dating.com)に加え、英語サイト「Sd Global」(startup-dating.com) を近日公開する。
遂に世界を照準にあわせた「Sd」。
チーム全体が掲げるコンセプト「CHANGE THE GAME!」にかける思いを、代表の池田氏に伺った。
スタートアップ・デイティング立ち上げの意義
そもそも、スタートアップ・デイティングは2010年6月にスタートした、「スタートアップ」専門媒体だ。起業家と技術者のデート・イベントとしてスタートした当プロジェクトは、ブログ型メディアとして日本およびアジアを中心としたスタートアップ情報メディアとして認知されてきた。
最近は、8誌6カ国のアジアメディアおよび北米のStartupCompassと提携するなど積極的に海外連携を果たし、今回のリニューアルでは「日本/アジア発、世界」というメッセージを強力に打ち出す形となった。
なぜ、英語版が必要か。池田将氏はこのように説明する。
「多くのメディアが、主にアメリカ発の情報を日本語で伝えてくれています。しかし、アメリカ以外の地域の情報は十分ではないし、言葉の壁は少なからず存在するので、皆が英語で海外のメディアにリーチできているわけではありません。翻訳の限界はあるので、論文で言うところの abstract に相当する部分を日本語で出せば、詳細な情報はオリジナル・ソースにアクセスしてもらえばいいや、と考えたのが日本語版立ち上がりのきっかけです。
他方、英語版については…。現在は Yahoo の CEO に就任した Marissa Mayer が、まだ Google のUX担当の副社長を務められてた頃、彼女が話したという逸話があります。「日本にはテック・コミュニティが無いんだろうか? まるで、ブラックホールだわ。」 よくよく聞いたら、彼女は英語で Google 検索していたのですね。「Tech Communities in Tokyo」とかでもググったのでしょうか。逸話の真偽は定かではないけれど、この話を聞いたとき、日本語圏以外の人々が日本のテック・コミュニティを見たとき、「彼らからは、このように見えてるんだな」と実感しました。
日本のテック・コミュニティには、他の海外のコミュニティが創り出せてないような、独創的でいいモノがあるのに紹介しきれてない。多少大げさに言うと、世界が日本のテック・コミュニティを知らないのは、人類にとっての損失かもしれない。世界人口に占める英語話者の割合は大きくはありませんが、幸いなことに、一度、英語で情報を出してしまえば、後はスペイン語にでも中国語にでもなってくれるので、英語で情報を出すことには本当に大きな意義があるのだと確信しています。
Startup Dating を始める以前から、私は Asiajin や Tech in Asia に英文で記事を書いたりしていましたが、所詮、一人の人間がこなせるボリュームは知れていて、ムーブメントは起こせません。そういう意味で、複数の共同創業者が力を合わせられたこと、日本の内外のテック・コミュニティに明るいエディター陣が集まってくれたことは、非常にラッキーでありがたいことだと思います」。
メディアの収益化と英語版
「今日、テックブログの収益源は限定されています。日本内外に多くのテック・ブログ創業者を知っていますが、彼らも収益源の確保に頭を悩ませています。別に儲けようというのではなく、せめて関わったスタッフのフィーくらいは捻出したいよね、というのが皆の課題です。幸い、これまで、Sd(旧称:スタートアップ・デイティング)は、インキュベータ、ベンチャーキャピタル、スタートアップの皆さんから応援していただき、浄財をいただいて生きながらえてくることができました。情報発信の先を海外にも広げることで、この可能性はさらに広がるのではないかと考えています。
手前味噌ではありますが、日本語のメディアであったにもかかわらず、旧スタートアップ・デイティングは、アジア圏ではそれなりの認知を得られるようになりました。世界的なメガブログと凌ぎを削るつもりはありませんが、ヨーロッパに言っても、アメリカに言っても、テック・コミュニティに言って話をしたら、「あぁ、Sd って聞いたことがあるよ」って言われるくらいにはなりたいですね。
また、Sd のプレゼンスを上げることよりも、むしろ、日本のテック・コミュニティの情報を海外に拡散させるプラットフォームになることが重要なので、一次情報源になれれば本望だと思っています。たくさんの二酸化炭素を排出して足しげく海外に通った分(笑)、これまで多くの人々にお目にかかれたので、彼らを通じて、日本のテック・コミュニティの情報が効率的に伝播できるしくみを作り上げていきたいと思います」(池田氏)。
アジア地域のメディアとの提携
「アメリカに比べれば面積は決して広くないのに、文化も言葉も国のしくみも違う、アジアは多種多様な地域です。先日、中国・海南島で Technode の Gang Lu(盧剛)に会ったとき、彼にも言われたのですが「これだけ多様なアジアの市場について、一つの媒体で情報をカバーするなんて到底無理だ。それぞれの国には、それぞれの国の市場を知り尽くしたテック・メディアがある。互いに情報を共有すればよいではないか」と。
シンガポールにも、インドネシアにも、中国にも足しげく通ってますが、私は現地のテック・コミュニティの人々が持つ情報量を超えることは絶対に不可能です。現地の情報は、現地メディアや現地人から得るのがよいと思っていますし、そのために、アジアのメディアと連携を深めていくことは必須だと思っています。
今後、協力関係にある海外メディアが開催するスタートアップ・カンファレンスとして、4月に Tech in Asia の Startup Asia Singapore、5月に韓国BeSuccess の beLAUNCH、6月に シンガポール e27 の Echelon が開催されます。アジアの市場をターゲットにするスタートアップにとって、よい機会だと思います。
こういった他の海外メディアとイベントの共催などの機会も今後は増えるでしょう。過度な経済的負担を強いずに、日本のスタートアップをこれらの国際イベントに連れて行くようなことも、積極的にやれたらいいなと思っています」(池田氏)。
新編集長のプロフィール
「Rick Martin はカナダ人ですが、私が彼のことを初めて知ったのは、CNET Asia で健筆を奮っていたころです。彼は東京に来る前、中国に居たので、当時、日本や中国のスタートアップのことを CNET Asia に書いていました。その後、彼はシンガポール発のテック・メディア「Penn Olson(当時、現在の Tech in Asia)」でエディターを務めていました。
編集長就任にあたっての彼自身の思いについては、Sd の英語版が立ち上がるタイミング(1月最終週を予定)で記事が発出されると思いますので、そちらをご覧いただければ幸いです」(池田氏)。
「CHANGE THE GAME!」にかける思い
「CHANGE THE GAME!」というタグラインは、Sd の編集チームから寄せられたアイデアです。イチローが TVCM で喚起していた「変わらなきゃ」じゃありませんが、我々メディアがスタートアップに対し、「世界を変える、市場を変えるイノベーションを作ってよ! さぁ、変わらなきゃ」とモノを言いつつ、ふと我に返り、「あぁ、我々メディアも変わらなきゃ」なわけです。そういう戒めの意味が込められています。
さらには、動きの速いテック業界でさえ、世界市場の中で既成概念やパワーバランスが形成されていると思いますが、それらさえも「変えてしまおうぜ」という、挑戦の意気込みを日本のスタートアップに呼びかけたいと思っています」(池田氏)。
【関連URL】
・「Sd」リニューアルと英語版サイト開始のお知らせ – Sd Japan
http://jp.startup-dating.com/2013/01/sd-renewal-2013
同じメディアスタートアップとして、方向性は異なるものの、スタートアップ・デイティングの志や問題意識にはいつも共感してきた。TechWaveに同期でスタッフライターとなった三橋ゆか里氏は、現在スタートアップデイティングのメインライターとなっているし、イベントなどで強力させていただくことも多い。勝手な思い込みかもしれないが、尊敬できる同志としていつも応援している。
池田氏は「あと十年位頑張ったら、日本にも挑戦と失敗を許容できるエコシステムができあがって、テックの世界でも、海外から「黄金の国・ジパング」って呼ばれるくらいになればいいな」というが、その点は特に強く共感できる。ITにおける日本の存在感はマイナス20。というのが、僕も北米にいる知人にも共通する受け止め方。土俵にすら上がっていなかった日本は今、ゲームやスマホコミュニケーションによる突破口に向うべきフェーズに入っていると思う。
というわけで「Sd」の新しい門出を心からお祝いしたい。同時期にリスタートする新興メディアを心から応援したいし、肩を並べて走れる存在になりたいとも思う。
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。変化し続ける高エネルギー生命体。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップ・マーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。