[前編] あなたもできるインフルエンサーマーケティング – アプリ万博講演録【@maskin】

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アプリ万博(2016年6月23日-24日)で開催されたミニカンファレンスの内容を書きおこしてお伝えします。第一段は、Kamcordの日本代表になった Grant Trowbridge Clark(クラーク・グラント) 氏と、iCON CASTでおなじみ THECOO 執行役員の 中山顕作 氏、そしてモデレーターとしてAppLovinの坂本達夫 氏の3人による「あなたもできるインフルエンサーマーケティグ」です。

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AppLovin 坂本氏:

お集まりのみなさん、どうもありがとうございます。
それではパネルディスカッションという形式でセッションを始めたいと思います。

まず、始める前に会場にどんな人が来ているか聞いてみましょう。
「アプリを作っている」という人はどれくらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)実際、自分のところで会社を作っているという方は?

おー、半分以上ですね。

(会場挙手)ゲームを作っている方は?

意外と少ない。ゲーム以外のアプリを作っている方が多いんですね。

それでは簡単に三人の自己紹介をさせて頂ければと思います。
まずは、iCON CASTでおなじみ THECOO 執行役員の 中山顕作 さんです。


THECOO 中山顕作氏:
THECOO 中山顕作氏

みなさん始めまして、THECOO株式会社 iCON CAST事業部の中山です。
AppLovinさんとかKamcordさんに比べるとまだまだ知名度が低いんじゃないかと思うんですけど、2014年1月から会社をやっていまして、YouTuberのマッチングプラットフォームをやっています。

昨年くらいから、広告主さんから「YouTuberを使いたい」という話がすごく増えていまして、そこに参入し国内No1のマッチングプラットフォームとして国内外の案件を手がけております。


Kamcord Japan クラーク・グラント氏:

Kamcord Japan クラーク グラント 氏

はい、みなさん。机の下に自動翻訳セットが置いてありますので、それを使ってください。

(というのは冗談で)日本に10年以上住んでいまして、以前はGoogle Japan等に勤務していましたが、2か月前にKamcord,Inc. というシリコンバレーに本社がある会社の日本法人代表に就任しました。

Kamcordは会社としてはラウンドCの資金調達が終了したところです。端末からアプリの画面を生配信できるいうサービスで、主にゲームを生配信する方が多いですが、最近はゲーム以外のアプリを配信する人も増えています。特徴としては、画質が良いというところと、配信時間の制限が無いので配信者と参加者らとでコミュニケーションが取りやすいといったところがあります。

Kamcordのサービスはインフルエンサーのエコシステムにも入っていますので、今日はその内容についてお話をしたいと思います。


AppLovin 坂本氏:

AppLovin 坂本達夫氏

AppLovinというアプリの動画広告を中心としたマーケティングのプラットフォームをやっています。

会社はシリコンバレーにあり4年前くらいからあるのですが、1年ほど前に日本の展開をスタートしました。

実はここにいる3人とも、前職がGoogle Japanです。中山さんはモバイルのAdWords、クラーク氏とはAdMobというアプリ広告で同じチームでした。

本日は、いくつかの質問を用意させていただきまして、それに対し3人にそれぞれ回答していただくような流れで進めさせていただければと思います。


Q1. インフルエンサーマーケティングの現況は?

AppLovin 坂本氏:

YouTuberやゲーム実況が流行ってきていると思いますが、実際どれくらい流行しているのでしょうか?

いつごろから始まって? どういったプレイヤーがいるのか、どういたマーケットになっているのかといった概況をおきかせ頂ければと思います。

THECOO 中山顕作氏:

日本の場合だと、一番印象に残るのはGoogleが2014年末に「好きなこと生きていく」というメッセージを打ち出していたことだったと思います。実はあのタイミングは、グローバル全体で演者つまりYouTuberにフォーカスしたプロモーションをやっていこうという施策が走っていたようで、海外でも例えばロサンゼルスの街頭の大看板に人気YouTuberが採用されているといった状況が同時多発的に行われていました。

日本の状況でいうと、YouTuberやニコ生が好きな人や実況が好きな人は一定量いたものの、マーケティングで起用するという会社さんはごく一部だったかなと思います。一方で欧米ではもう2012年頃には、今の日本くらいの熱量がありました。大手企業がYouTuberやエージェンシーを買収するなどの動きが活発化し、その買収額が800億とか賑わっていたものの、メディア系事業のイグジットの流れも落ち着き、今ではAI等へ関心がシフトしている状況です。

今、遅れてアジアや日本にその波がきていて、これから2ー3年は相当な盛り上がりになるだろうと確信しています。

AppLovin 坂本氏:

インフルエンサーやYouTuberなどをマネージする会社があるということですが、そもそも市場にはどういったプレイヤーがいるのでしょうか?

インフルエンサーが、テレビでいうとタレントみたいなものだと思うんですが、それを束ねる事務所みたいなものがあって、YouTuberはKamcordみたいなチャネルにお金を払ってプロダクトを宣伝してもらうという構図なのでしょうか?

THECOO 中山顕作氏:

今は、そこまで複雑にはなっていないのですが、例えばHIKAKINさんやはじめしゃちょうさんなどは同じ事務所に所属しています。一方で昔からあるようなタレント事務所もYouTuberをタレントとして所属させているケースもあります。全体としては事務所に所属しているYouTuberが多くて、あとはフリーランサーのYouTuberがいるという構成です。

これには「マルチチャンネル ネットワーク(MCN)」という概念が入ってくるんです。YouTubeに動画を上げるにはチャネルを作成してそこにフォロワーを集めていくというわけですが、このチャネルを束ねて管理する仕組みをGoogleが2012年頃に提供し始めました。

普通ならそれぞれのチャネルにそれぞれのIDとパスワードでログインしなければならないわけですが、このMCNでは親アカウントのようなものを設定できるようになるんです。どういった利点があるかというと、例えば著作権管理であるとか人気YouTuberになってくると違法に複製されてアップロードされてしまうなんてことが起きるわけですが、そういった広告収入を阻害する要因からYouTubeを守るようなことができるというわけなんです。

実は、そのMCNの仕組みを作った人が、Googleを退職しましてMCNのトップ事業者として成功したりしています。

AppLovin 坂本氏:

日本でのMCNはどうなっているのでしょうか? タレント事務所がMCNになっているのでしょうか?

THECOO 中山顕作氏:

MCNはGoogleが提供する枠組みで、YouTubeチャネルを束ねている会社というとになります。

インフルエンサーまわりで言うと、意味合いが広いんです。例えば、MCNの仕組みを活用しているわけではないけど、複数のYouTuberのアカウントを借りてマネジメントをしている人もいます。MCNだったり、タレント事務所だったり、MCNなんだけどタレント事務所に近かったり、タレントマネジメントはしないんだけどMCNでタレントを束ねて広めていったりとビジネス上の立ち位置は様々にになってゆきます。

ただ、大きく分けると、多数のタレントを抱えて彼らが動画を作りやすくするツールを提供して拡大していくことを狙っていくモデルと、少数のタレントにマネージャーをつけてがあっつサポートしながら展開してくタレント事務所体のモデルになりますね。

タレント事務所に所属しない人たちも沢山いる中で、そういう人も事務所の人も共通で使用でき、企業とマッチングできるようにしたプラットフォームが私達が展開している「iCON CAST」なんです。事務所に所属している人については事務所さんと契約して使用できるようになっています。

AppLovin 坂本氏:

今、主にYouTubeの話だったのですが、Kamcordはそれと同等の配信プラットフォームという認識でいいと思いますが、実際、Kamcordで配信している人達はどういった人が多いのでしょうか?タレント事務所にいる人なのか個人が多いのか?

Kamcord Japan クラーク氏:

はい、まずKamcordは生配信(Live Streaming)サービスなのでYouTube Liveに近いです。以前はスマートフォンゲームアプリ向けSDKサービスを提供していたのですが、昨年2015年11月に生配信サービスを開始、現在は生配信に一本化するというビジネスの転換を行ったんです。

現時点で配信者の多くを締めるのはフリーランスの人たちです。有名配信者の人達がかなり多くゲーム実況をしてくれているお陰で、それを見て「自分もやってみよう」となりフリーランスの配信者が増えています。

Kamcordの場合、先に述べたような配信時間の制限がない事や画質が綺麗な事が好評なのですが、最近、視聴者がバーチャルギフトを実況している配信者にプレゼントする事ができるようになったりしてしたり、ニコニコ生放送など他のプラットフォームを使っていた演者さんがKamcordを使いはじめてくれるという流れも起きてい傾向があります。

現状では一つのプラットフォームだけに配信を絞っている人はむしろ少なくて、ケースバイケースで色々なプラットフォームに配信していたりしているというのが実際のところで。例えばニコ生で配信して次はKamcordで配信するという流れです。プラットフォームによって利用者層が異なるので、新たなファンを獲得するために別のプラットフォームを利用することもあります。


Q2. インフルエンサーとの上手い付き合い方・活用方法は?

AppLovin 坂本氏:

さきほどの会場への質問で、アプリを作っているオーディエンスが多いとのことですが、こういったインフルエンサーとかYouTuberに動画で宣伝してもらいたいと思っている人はどれくらいいるのでしょうか?

(会場) パラパラと挙手

紹介して欲しいなと思う人はいると思うんですが、インフルエンサーの人達がどういう気持ちでどんな風に動画を作っているのかを知っておかないと何ともアクションが取れないんだと思うんですね。

例えば、すごく有名なYouTuberにアプリの宣伝を有償でお願いする際、めっちゃ高額なイメージがあるじゃないですか。その辺、実際どれくらいの金額からできるかななど中山さんの方からお聞かせ頂ければなと思うのですが。

THECOO 中山顕作氏:

実際の市場の価格帯は、下は数万円から上から1000万円超えまで。
価格は、一般的に動画なら再生回数、インスタグラムならフォロワー数x1.5-2円みたいなことも言わています。YouTubeなら再生回数x2円とか10円とか、フォロワーx何円とか、まだ明確な指標がない状態です。

広告主さん側の立場で見ると、市場の価格が決まってない場合、当たり前ではあるのですが、このインフルエンサーさんにお願いした場合、どういった効果があるか、人単位で考えて広告費がペイするくラインを見出してゆく必要はあると思います。

インフルエンサー広告で求められるものといえば新規ファンの獲得がまず上げられると思います。認知が拡大して、それでダウンロード数が伸びればいいですよねというところです。ただ、初見プレイ(インフルエンサーによる初めての紹介)でユーザー獲得までいこうと狙ったとしても、そのユーザーが何週間も残ってくれるのかというと中なか一回の施策だけではうまくいかなかったりします。それは広告でもアプリ内イベントでも同じで、組み合わせて考えていく必要があります。

インフルエンサーマーケッティングだけ単体で考えても一回だけではなく、定期的に2週間ごとに経緯を追ってやっていけるような企画にしてしまう。そうすれば、2週間後も気になる、段々一緒にやってみないと何を言っているか解らないコアなところまでユーザーを引っ張っていく流れにしていくなど工夫が必要です。

Kamcord Japan クラーク氏:

Kamcordの場合、配信者側の端末の画面を共有しながらストリーミングしているので、インタラクティブ性がありちょっと様子が異なります。

例えば、配信主が「生配信をします」とスタートしたとします。それがマルチプレイ可能なゲームだとすると、視聴者は呼び掛けに参加をすることができるんですね。配信中にアプリをダウンロードして、配信主は同じゲームに参加できるシリアルコードや招待者コードを提供するなどして一緒にプレイすることがリアルタイムにできてしまいます。さらには、そのままフレンドになってコミュニティ形成が生まれたりしています。

YouTubeで活動されているインフルエンサーさんが、こういったインタラクティブ要素を求めてKamcordをやるケースも出てきています。

AppLovin 坂本氏:

今の話をきいて、プラットフォームを選ぶだけでなく、どうやってほしいとか、時系列まで考えて、企画のところまで踏み込まないと成果が出ないなと感じたんですよね。

でも、僕らはアプリを作る専門家であっても、PRとか動画の専門家ではないので、そもそも誰にどうお願いしたらいいか全然わからないんですが、どうしたらいいんでしょうか?

THECOO 中山顕作氏:

そのために僕がいると(笑)

提供しているサービス「iCON CAST」ってセルフで使ってもらえるサービスで、YouTuberと広告主が自由に登録して使っていってもらってスケールしていければと思っていたのですが、実際はマニュアルでのサポートや企画を手がけなければ成立しない部分も多々あるわけで、そこを丁寧にやっていかないといけないと今は思っています。もともと私達は、マーケティングのプロなわけですから。(※ THECOO株式会社はビジネスサイドの8割が元Google 社員、その他メンバーも広告系出身)

AppLovin 坂本氏:

インフルエンサーと広告主をマッチングするサービスがぽつぽつ生まれてきた用に思うのですが、それらと「iCON CAST」の違いというのは、企画をサポートするあたりになるのでしょうか?

THECOO 中山顕作氏:

私達が事業をスタートした2015年前半では、アジアでは私達しかいなかったのですが、技術的に新しいかというと現状そうではないです。計測周りとか工夫はしていますが、絶対的な技術革新ができていない、その辺が課題です。

例えば、私達の事業を “歯医者さん” と喩えたとして、提供するサービスは “歯を治す” ということになります。他の歯医者と比較するのは “歯を治す” 部分。つまり、事業のよしあしは「腕がいい」かどうか。なので、私達は「腕の良い歯医者(インフルエンサーマーケティング事業者)」と思ってもらえる所を目指しています。なかなか、うまく伝わらないですが(笑)

技術的に大差がない中で私達は広告主の視点に立てるというポジションを確立させています。タレント事務所も直販や我々のような代理店とやるケースがありますが、タレント事務所は得意領域でいうとタレント周りのマネジメントになりますので、互いの強みを補完しあいながら一緒にやるのがやりやすい状態で、かつ強みを活かせています。実際のところ、この市場は、タレント事務所かベンチャーの新規参入という二極化している状態ですので、そこで広告主側の視点で動けるのはiCON CASTだけかもしれませんね。


以上ここまでが「前編」です。

後編は「Q3. 今年後半から来年にかけてインフルエンサーマーケティングはどうなる?」。そして質疑応答です。より深い話に突入していきます。

ご期待下さい!

【関連URL】
・96.45点 アプリ万博(5/23-24)出展者からのフィードバック 【@maskin】
http://techwave.jp/archives/worldappsexpo-feedback-21838.html
・過去の様子「これまでのアプリ博をふりかえる」
http://twee.jp/_ct/16903499

蛇足:僕はこう思ったッス
maskin2011009rev.fw アプリ万博のミニカンファレンス講演録第一段(おそくなってすみません!) 非常に熱い人達による熱いお話になっています。前編では動画配信によるインフルエンサーマーケティングの様子がなんとなく見えてきたと思いますが、後編はよりその実態にせまってゆきます。

なお、アプリ万博講演録は、まだまだ続きます。

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maskin

Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭から国内外のソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを経験。。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、ネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。直近では通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のIT系メディアであるスペインの「Softonic」に参加後、2016年からTechWave第三章として新興メディアの開発を再スタート。国内最大規模のスタートアップ&B2Bイベント「アプリ博」のオーガナイザー。

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