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ピースオブケイクが2012年9月11日にスタートした「cakes (ケイクス)」は、ある意味型やぶりな有料コンテンツ配信プラットフォームと言えるだろう。コンテンツは電子書籍フォーマットではなくウェブに表示するだけ、しかも作品毎の課金ではなく、1週間あたり150円で全てのコンテンツを読むことができるという具合だ。
仕掛け人である、ピースオブケイク 代表取締役CEO 加藤貞顕氏は、アスキー出身。オープンソースに関心があり、IT系編集者として活動してきた彼は、ダイヤモンド社に移り大ベストセラー「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を手がけることになる。その本をデジタルで販売するために、ダイヤモンド社の電子書籍リーダーの開発に取り組むのだが、なんと仕様の細かい部分から組立てていったのだという。その理由を加藤氏はこのように説明する。
「我慢できなかったんです。それまでの電子書籍リーダーの使いにくさに」。
「ウェブでコンテンツを買わない」は異常な状態?
kobo Touch (ブラック) |
「恐らく技術者が勝手に作ったものなのでしょう。コンテンツ側の人の意見が全く入っていない。これに自分が作ってきたコンテンツを乗せるのは嫌だと思い、独自に開発を始めたんです。
結果としては売れました。iPhoneがまだ200万台程度しか売れていない時期に15万部売れ、結果としてコンテンツ好きな人のiPhone全てにインストールされている状態までいくことができました。
マーケティングでも色々トライして、デジタルならこう売れるんだというセオリーのようなものがわかったんです。それは、これまでの紙をベースとしてものとは全く異なるものでした。
そんな中、そもそも、デジタルなのに紙っぽくする必要があるのかな?という疑問が生まれるわけです。電子書籍フォーマットである必要もない、最終的に一番プレインな「ウェブでいいんじゃないか?」と思うようになったんです。どんな端末でも見られるし」(ピースオブケイク 代表取締役CEO・加藤貞顕氏。
コンテンツ業界で、本のヒットからアニメ化、そして映画化するといったいわばコンテンツ展開を王道を行った加藤氏は「力のある作家の作品だけが購入できない状態はむしろ異常じゃないか?」と言う。
「ウェブで物を買うなんてとんでもない、という時代が過去ありました。しかし、Amazonが生まれ、楽天が生まれ普通の状態になった。当然コンテンツもネットで流通したら便利なんですよ。
しかし、今やネットにあがっているものといえば、コンテンツプロが宣伝で作っているものと、アマチュアが趣味で作っているものしかない。プロがド本気で作ったものだけがない。村上春樹の新作がウェブに掲載されるのが普通なんじゃないか。
それができない理由としては習慣であったり、課金の仕組みや見せるためのデザインがないなどの問題が上げられますが、「cakes (ケイクス)」はまさにそこをやろうとして始めたものなんです」(加藤氏)
cakes(ケイクス) クリエイターと読者をつなぐサイト
https://cakes.mu/
☆ 1週間あたり150円定額
■執筆・登場を予定している方(敬称略/五十音順)
青木理音、青山裕企、安全ちゃん、飯田和敏、家入一真、いしたにまさき、磯崎哲也、伊藤聡、宇都宮徹壱、海猫沢めろん、大崎善生、大槻ケンヂ、岡田育、岡田斗司夫、小田嶋隆、陰山英男、加藤レイズナ、金子平民、川上慎市郎、黒田勇樹、古賀史健、ココロ社、近藤正高、西條剛央、坂上秋成、坂口孝則、坂之上洋子、真実一郎、橘玲、田端信太郎、塚越健司、津田大介、ツレヅレハナコ、仲田晃司、西内啓、二村ヒトシ、能町みね子、馬田草織、ハマザキカク、速水健朗、美少女図鑑、finalvent、フェルディナント・ヤマグチ、深町秋生、藤沢数希、藤田大輔、藤野英人、本田透、枡野浩一、真魚八重子、三田紀房、峰なゆか、May_Roma、茂木健一郎、山形浩生、山本一郎、yomoyomo※この他にも続々と新しいクリエイターが登場予定です。
「出版をコーディングした」
「cakes (ケイクス)」の特徴の一つが「週毎課金」。加藤氏は「カード会社のシステムの都合上、月額課金が一番楽なんです。しかし、課金期間が短かい方が便利だし、その点はユーザー主体で考えてシステム上は面倒でもそれを通したい」と話す。
「cakes (ケイクス)」は売上の60%を還元するモデル。それをページビュー(PV)の比率で分けて、著者に還元していく仕組み。作品に複数の人 (例えば著者、カメラマン、編集者)が関与する場合にも対処できるように、管理システム側で制作チームを登録し、始めから分配比率を決められるなど、余計な手間がかからないように設計されている。税制上の処理も自動化する力の入れようだ。
「コンテンツの権利は著者さんにあればいいと思うんですよ」と話す加藤氏は、全ての権利は著者さんにあり、出版や権利の行使などは本人に任せるプラットフォームとしての「cakes (ケイクス)」をイメージしている。
「例えば、コンテンツへの流入ですが、著者さんのソーシャルメディアからの流入が現時点でも2~3割になっており、マーケティングはこれを中心に考えています(著者が紹介リンクでユーザーを獲得すると、手数料が著者さんに入る仕組み)」。
まさにソーシャルメディア時代のコンテンツ流通の仕組み。「cakes (ケイクス)」は、低迷する出版業界の新しい血となるだろうか。
【関連URL】
・cakes(ケイクス) クリエイターと読者をつなぐサイト
https://cakes.mu/
・- Piece of Cake, inc.
http://www.pieceofcake.co.jp/
・磯崎哲也氏らがベンチャー支援組織「Femto Startup」を立ち上げ【増田(@maskin)真樹】
http://techwave.jp/archives/51725456.html
加藤さんは、10年前の書籍「コンピュータの気持ち」(山形浩生氏)の全文公開に踏切った人物。当初からオープンソースに関心があって、Linux Kernel version.10がリリースされた時代はに大学院生だった加藤氏は自分でコードをいじるほどだったとのこと。オープンソースはある種浸透して、ITとコンテンツの融合により次の時代に向っているような印象を受けた。会社設立は磯崎哲也氏のfemtoから支援を受け、CAVから増資を受けている。
夢を叶える技術者。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップ・マーケティング・音楽・表現・ミディアム・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」執筆中)。