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ソーシャルの牙城を崩すモバイルの波
米Microsoftの牙城は、オープンソース技術やインターネットの普及が崩した。インターネットの普及とともに急成長した米Yahoo!の牙城は、検索技術が崩した。検索技術で天下を取ったGoogleの牙城は、ソーシャルの津波が押し流そうとしている。そしてそのソーシャルの津波に乗って今後影響力を拡大させていくのがFacebookである。
これから始まるFacebookの時代に、日本のベンチャー企業が取るべき進路は2つ。1つは、このFacebookの時代の中でどれだけ有利に立ち振る舞うかという道。もう1つは、数年後にFacebookの牙城を崩す立場になることを目指して動き始めるという道だ。
Facebookの牙城を崩す技術は、何になるのだろうか。わたしはモバイルではないかと常々考えている。
グリー株式会社代表取締役社長の田中良和氏もモバイルを最重要技術として位置づけている。ただ田中氏と話をしていると、彼が単にモバイル機器の話をしていないことがよく分かる。
「今は、iPhoneやAndroidのOSが、テレビ、ゲーム機、タブレット機など、すべての機器に共通のものになっていっている。コンピューティングのプラットフォームが一新されようとしているわけです。10年、20年に一度しかなかないパラダイムシフトがモバイルの端末から始まっているんだと思っています」と田中氏は語る。
20年近く前には、パソコンメーカーはそれぞれ独自のOSをパソコンに搭載していた。それがMS-DOSという共通のOSになり、Windowsとして進化することで、その共通OS上でものすごいイノベーションが起こった。今起ころうとしていることは、パソコンどころか、ありとあらゆる機器のOSの共通化である。よってパソコンOSの共通化をはるかに超えるイノベーションが起る可能性がある。田中氏はそう認識しているわけだ。