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今から30年以上も前の話だ。あるビジネス誌の特集で、これからは情報社会になる、という話を読んでものすごく興奮したことがある。自分はこの情報社会に向けた流れの中で仕事をしたいー。20代の僕はそう考え、興奮して親友に電話をかけ、その夢を語った覚えがある。
それからしばらくしてコンピューター時代、PC革命という言葉が巷にあふれるようになった。しかし実際にはどのような企業がどのような動きをしているのか、マスメディアからの情報ではまったく分からなかった。そのころ、米国でマイクロソフトの今後を決定づけるIBM端末へのOS供給契約が交わされていた、などということは知る術もなかった。IBMがPCの技術仕様を公開し、他のメーカーもIBMと互換性のあるPCを製造し始めたものだから、あっと言う間にIBMの技術仕様とその上に乗ったマイクロソフトのOSが事実上のスタンダードになり、マイクロソフトはIT業界の覇権への道を一気に駆け上ったのだった。
30年以上がたち、今パラダイムがPCからモバイルに移行していると言われるようになった。だれもがこれからはモバイルの時代だと認識している。だが次のマイクロソフトになるような企業がどのように動いているのか、知る人は少ない。恐らくこの2,3年以内に、マイクロソフトとIBMの契約締結に匹敵するようなエポックメイキングな出来事が起こるのだろうし、これから何十年間にも渡って世界に影響を与え続ける企業が頭角を現してくるのだと思う。