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株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
斉藤 徹
Facebookは実に多くの地域に根づいたSNSを葬り去ってきたローカルSNSキラーだ。実際,この1年間だけでも世界131ヶ国中,30ヶ国のローカルSNSが逆転されている。
【参考記事】
・ 世界のSNSマップ最新版。Facebookが131ヵ国中111ヶ国でトップ (6/15)
当記事では,さまざまな国におけるFacebook逆転の瞬間をとらえてみた。なおデータ元はGoogle Trends for Websiteで統一している。
■ 1年以上前に逆転された主要な国々
1.米国
もっとも有名な逆転劇。残念ながらMySpaceは縮小の一途をたどっている。
逆転タイミングは,デイリーユニーク訪問者の対人口比で約9%
2.フランス
フランスのローカルSNS,SkyRockも逆転以降,縮小傾向が続く。
逆転タイミングは,デイリーユニーク訪問者の対人口比で約7%
3.アイルランド
アイルランドでは欧州を中心に普及していたBeboがトップだったが,2009年2月に逆転された。
逆転タイミングは,デイリーユニーク訪問者の対人口比で約8%
4.メキシコ
メキシコでは中南米で広く普及していたHi5がトップだったが,2009年6月に逆転された。
逆転タイミングは,デイリーユニーク訪問者の対人口比で約1%
■ ここ1年以内に逆転された主要な国々
5.フィリピン
フィリピンでは米国から東南アジアにシフトしたFriendsterがトップだったが,2009年8月に逆転された。
逆転タイミングは,デイリーユニーク訪問者の対人口比で約1%
6.サウジアラビア
サウジアラビアではイスラム諸国で普及していたMaktoobがトップだったが,2009年9月に逆転された。
逆転タイミングは,デイリーユニーク訪問者の対人口比で約1%
7.インド
インドでは地場に根づいたOrkutがトップだったが,2010年6月に逆転された。
逆転タイミングは,デイリーユニーク訪問者の対人口比で約0.1%
Facebookが現在未制覇の主要国は5ヶ国。普及率が高い順に,韓国,日本,ロシア,ブラジル,そして禁止されている中国だ。中国についてはGoogle自体がアクセス不能になっており,Trendsデータにも異常が発生している。
8.韓国
いまだにCyworld強し。ただし着実にFacebookは伸びている。
9.日本
mixiが踏ん張るが,Facebookがここに来て急成長をはじめている。
10.ロシア
V Kontakteが根強い。大株主DSTがFacebook株主でもあり,将来的には統合の可能性あり。
11.ブラジル
Orkut(Google)最後の砦。いまのところロシアと並んでローカルSNSとの普及格差は最も大きい。
12.中国
トップSNSはQQだが,すでにGoogleで測定不能。海外SNSは拒絶しているため超巨大なガラパゴス化の様相。
先進国では対人口比率でデイリー訪問者数が約7-9%,後進国では1%程度が典型的な逆転のタイミングのようだ。当然これはネット普及 率が影響しているだろう。また多くの国を見てわかるとおり,FacebookとローカルSNSは共存しないケースがほとんどだ。それは多くのユーザーが2 つのSNSを望んでいないからだ。
ちなみにFacebook創業者ザッカーバーグ氏によると,FacebookがローカルSNSを逆転する時には共通の兆候(Tipping Point)があり,データから読み取れるのだと言う。TechWave記事から関連する箇所を引用したい。
同氏によると、会員のデータを見ているとどの段階でtipping pointを迎えるのかが分かるという。tipping pointというのは、天秤が傾くポイントということ。勝負の分かれ目ということだろう。そ のポイントというのが、「ローカルと外国人」の友人関係の数を「ローカルとローカル」の友人関係の数が抜くとき。どの国でもまず、外国人の友人がいる人が Facebookを使い始め、やがて自国の友人も招待し始める。そして自国の友人関係の数が、外国人との友人関係の数を上回ると、あとはその国で Facebookが一気に広がるのだという。
【参考記事】
・ 日本でも3ー5年でFacebookがトップSNSに?=Zuckerberg氏【湯川】 : TechWave
さて,日本では果たしてこのTipping Pointが到来するのだろうか?
次記事では,これらの状況も踏まえ,日本逆転の可能性について検討してみたい。
【Facebook関連】
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著者プロフィール:斉藤 徹 (さいとう とおる)
株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
2005年が創業。国内での企業向けSNS構築分野でトップシェアです。
(ミック経済研究所,アイティーアール社 2008年調査にて)
現在は,企業コミュニティを単体で捉えるのではなく,多様なソーシャルメディアと有機的に結びつけ「クチコミ動線」を設計・構築・運用するコンサルティング・ファームとしての色合いを強めています。
書籍・コラム・ブログは個人活動ですが,ビジョンとノウハウは,ループス社員一同で共有しています。創業テーマである Socialmedia Dynamics を見つめながら,ソーシャルメディアやクラウドソーシングの分野で高い専門性を磨き続けたいと日々励んでいます。(といっても全く堅い人間ではないです。 特に夜は柔らか過ぎと定評です)
Twitterアカウント toru_saito
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