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米ソーシャルブックマーク最大手のDiggが全従業員の37%をレイオフした。新しいCEOのMatt Williams氏が進めるリストラの一環で、最高売上責任者のChas Edwards氏や最高財務責任者のJohn Moffett氏も退社したばかり。
Diggは2004年創業のWeb2.0の代表的な企業。Diggでブックマークのランキングの上位に表示されると、リンク元のサイトのサーバーがダウンするといわれるほど一時はウェブ上で圧倒的な影響力を持った。Diggの成功を参考に、日本国内でもソーシャルブックマークが幾つか誕生したほどだった。
ところが米国のネットユーザーの多くがDiggではなくFacebookやTwitterといったソーシャルメディアで情報やハイパーリンクを共有するようになったため、急速に影響力を失ったものとみられる。
ソース:Digg’s Turmoil Gives Founder Kevin Rose A Good Excuse To Bail
Another Digg Exec Is Out: Longtime CFO John Moffett Leaves
Digg Cuts Staff by 37%, Loses Senior Executive: Tech News ?
Web2.0って、もともと定義があいまいなバスワードなんだけど、ユーザーが情報を発信することでウェブが新しい時代に入った、というような意味で使われることが多かったように思う。そのWeb2.0を代表するようなメディアの形といわれたCGM、消費者発信型メディアって、文字通りユーザーが情報を発信することで成立するメディアだった。Diggは代表的なCGMだった。
つまり発信するだけだった。
最近流行りのソーシャルメディアは、発信するということよりも、ユーザー同士がつながる、というところに力点が置かれたメディアの形だ。
Diggは、「発信」するためのサイトデザインは優れていたのだが、「つながる」ためのサイトデザインができていなかったということなんだと思う。
ユーザーは、自分があとでそのページを再度参照できるようにブックマークしていった。自分のパソコン内にブックマークを記録しておくより、オンライン上に記録したほうがどのパソコンでも利用できて便利だった。その「自分のための」ブックマークという行為を集結させて、ランキングすればまた別の価値が現れた。どういう情報が今世間的に旬なのか、人気が高まっているのか、ということが分かるようになったわけだ。
ただユーザーはみんな自分のためにブックマークしていた。
ところがFacebookやTwitterでのリンクの共有は、この情報を友達に教えてあげようという「友達のため」に行う。または自分はこのような情報に関心があるという自己アピールのために共有する。
ユーザーが人との関係の中でブックマークし始めたわけだ。
人間は社会的動物である。基本的に個人的な営みより人間関係の中での営みのほうが楽しい。
なのでTwitterが普及し始めたとき、日本でもはてなブックマークはいずれ影響力を失うのだろうと僕は考えた。
ただはてなの動きは早かった。Twitterが流行り始めてすぐにTwitterと連携、TwitterでURLをつぶやくと自動的にブックマークに加えることができる仕組みを開発してきた。さすがである。(関連記事:はてなはやっぱりすごかった=はてブがツイッター連携 : TechWave)
FacebookのMark Zuckerberg氏の言うように、今は大きな変革期なんだと思う。これまでウェブ上で大成功をおさめた会社でも、ソーシャル化に乗り遅れて一気に失速することがある。Diggは、そんな会社の1つなんだと思う。