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急成長を続けているNHN JapanのモバイルSNSの「LINE」と、目指す方向性が似ている中国ネット最大手Tencentの「WeChat(中国名Weixin)」が、一部アジア市場において一進一退の攻防を続けている。
ユーザー数だけを比較すると、年内に1億人ユーザー達成を目標としているLINEに対し、WeChatは既に2億人ユーザーを達成したので、WeChatのほうが勢いがあるように見える。ただWeChatは中国国内市場という巨大市場を抱えているので有利なだけ、という見方もできるし、大事なのは、中国、日本というそれぞれのホームグラウンド以外で、両アプリがどの程度受け入れられているのかということなのかもしれない。一部データを見る限りホームグラウンド以外では、LINEのほうが少し優勢のようだ。
Android端末のアプリ市場である「Google Play」の一部国・地域のランキングデータを集計しているAppChartによると、両アプリがともに上位にランキングしているのは、香港、台湾、シンガポール、マレーシアなどのアジアの国・地域。
香港ではLINEが現在総合1位。4月から常に上位3位までをキープしている。
コミュニケーション部門でもLINEは4月からトップを走っており、8月に2位に転落したものの、9月には首位に返り咲いている。コミュニケーション部門には、FacebookメッセンジャーやChomeブラウザ、Skype、Yahooメールなど欧米の大手サービスが含まれるが、並みいる強豪の中での堂々のトップだ。
一方、台湾のコミュニケーション部門ではWeChat(中国名Weixin)が3位、LINEが4位、シンガポールでは反対にLINEが9位、WeChatが10位と鍔迫り合いを繰り広げている。
このデータだけ見ると、LINEのほうが優勢に見えるんだけど、データがAndroidのアプリ市場だけだし、韓国、中国などのデータがないので、現時点でどちらが優勢なのかははっきり言えない。
それに、LINEはテレビ広告などで一気にユーザー数を伸ばそうという戦略なので、広告を打っている国や地域では確かに有利。
一方で、WeChatは広告を打つかわりに、企業や店舗に対し無料で公式アカウントを開設できるようにしている。2億人ユーザーに無料でリーチできるわけだから、企業、店舗は我先に公式アカウントを開設している。企業、店舗がWeChatに代わってプロモーションを買って出てくれているようなものだし、いずれこの効果が今後のユーザー数にも反映されるようになるだろう。
なのでどちらが有利になるのか、正直分からない。というより、どちらも優秀な経営者、開発者を抱えているし、どちらもFacebookの次の覇権を取るために必死なので、どちらかがあっという間に天下を取るということはないと思う。Windows対MacOS、IE対Chrome、Firefoxなどといったシェア争い同様に、何年にも渡って戦いが粛々と続けられるのだと思う。
なので今、大事なのは、スマホがオフラインとオンラインを結びつけ、社会の大半の消費者を結びつけたときに、どのようなサービスが可能になるのか、を考えることだと思う。またWeChat、LINE、Facebookの次の覇権争いはどの領域になるのか、を考えることも大事だと思う。