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寄稿
TechWaveではさまざまな分野・国と地域からの寄稿を受け付ける取り組みを始めています。全国に引き続き中国圏からのゲストライター Mr.BlockChain による寄稿です。
原材料・部品の調達から、生産物を消費者に届けるところまで、特定の企業の枠組みを超越した物流システム、つまり“サプライチェーン”は100年前と比較するとその利便性は飛躍的に向上していますが、世界規模のサプライチェーンネットワークの複雑さはさらに深刻な状態になっています。
サプライチェーンのさまざまな地理的領域を考慮する必要がある場合は、複雑さが増します。これらの要素はすべて、システムに重大な亀裂が残る余地があり、潜在的なクリティカルな時間遅延が発生します。
サプライチェーンの複雑さを管理するための効果的なソリューションを見つけるために、マネージャーとスペシャリストは供給ロジスティクスを強化する方法を模索し始めました。ブロックチェイン技術は非常に効果的なソリューションとして浮上しています。
サプライチェーンが今、挑戦していること
今日のサプライチェーンは、グローバル化という過程の中で数えきれない問題に直面しています。例えば、製造業務のグローバリゼーションにおいては、サプライチェーンを実現するための面倒な製品のトラッキングや文書が必要となってしまいます。
しかし、こうした手間のかかる手続きには、長らく効率的に記録・管理するインフラが提供されてきませんでした。そのためどの製品がどこから届いたのか、といったことすら不正確になったり、そもそもサプライチェーンに不可欠な情報欠落ということが発生していたのです。
グローバル・サプライチェーンとは結局のところ名ばかりで、資材や商品が世界を行き来する際に作成される膨大な文書の透明性はほとんどないと言えます。クライアントやバイヤーが注文した商品が本当に要求に応じた品質があるもので、求める出処から出荷されているのかを正確に確認するプラットフォームは存在していないのです。
ブロックチェーンとサプライチェーンに注がれる熱い目線
そこで注目されるのがブロックチェーン技術です。仮想通貨の取引の仕組みで知られる分散台帳の透明性や高いセキュリティを担保するブロックチェーン技術をサプライチェーンに組み込むことで、関係者すべてがサプライチェーンで取引される資材の取引データを読み取ることが可能となります。それにより、調達プロセスの非効率さを排除することができるようになるのです。
実際に、サプライチェーンマネジメントにブロックチェーン技術を採用する動きはこの数年でいくつも浮上しています。例えば、世界最大の鉱山会社である英BHP Billitonは2016年にブロックチェーンを使用してサプライチェーン内の岩石と流体サンプルの動きを記録し追跡すると発表しました。 米Walmartと他の多くの食品会社が昨年(2017)年、米IBMと提携して、サプライチェーンでブロックチェーン技術を採用する方法を模索するというニュースをご存知の人もいるのではないでしょうか。
サプライチェーン用プロトコルHERC
今年(2018年)10月、Hercules SEZC社がブロックチェーンテクノロジーを活用したサプライチェーン用プロトコル「ヘラクレス・サプライチェーン・プロトコル」を開始しました。
これにより、サプライチェーンデータの透明性、セキュリティ・真正性や妥当性を向上させるために設計された商業用のオープンソースソフトウェアとして提供されています。このサービスのブロックチェーンのプロトコルは、ビットコインやイーサリウムなどのパブリックブロックチェーンを活用したもので、ボラティリティ(価格の変動性)を低減し、コストを予測しやすくするなどのメリットがあるといいます。
Hercules SEZC社のCEO Anthem Hayek Blanchard氏は、「このプロトコルによって、プロセスの簡素化、迅速化、明白なデジタル識別と監査証跡を使用して安全なプラットフォーム上の機密データを保護することが可能となるだけでなく、クライアントやバイヤーはシンプルな自己手続きで契約を完了することが可能になる」と説明します。
伝統的なサプライチェーンのフレームワークでは、トランザクションをリアルタイムで表示するための規定はありませんでした。しかし、ブロックチェーン技術によってサプライチェーンに分散された元帳を導入することによって、チェーン内の製品やドキュメントをアクセス、追跡、監視することができるようになるのです。これにより、誤った情報や情報の損失の可能性が排除されます。
Hercules SEZC社は、ブロックチェーン上のオープンソースソフトウェアの開発をサプライチェーンの空間に導くこと。そのためにIDAX、FUBT、TOP、Dobitradeといった世界の有力トークン取引所に上場することなどを通じて、社会的価値を向上したいと考えているのです。
【関連URL】
・[公式] HERC – Decentlize Supply Chain Management Software
超蛇足:僕はこう思ったッス
編集長の増田(maskin)です。仮想通貨の投機ブームが一段落した昨今、本質的な活用に目が向けられ始めています。特に、ブロックチェーン技術のサプライチェーンにおける活用は多くの人が注目しているものの、どういったプロセスで導入し拡大していくべきか情報が不足している状態。単にプロトコルをコーディングすれば成立するだけでいいという話ではないため、HERCのようなところの成否は参考になりそう。今後も継続ウォッチしていきたい。