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[書評] 世界で突き抜ける非常識な会社のマネジメント論「自分がいなくてもうまくいく仕組み」山本敏行・著 【増田 @maskin】

[読了時間: 2分]
 非常識なマネジメント論「自分がいなくてもうまくいく仕組み」が出版された。著者は、非常識な会社「ChatWork」の社長 山本敏行 氏。売上のある全事業を譲渡し、社長単身で渡米して世界目線で会社をまとめ成長を続ける企業の、リアリティのあるマネジメント論である。

R0010921  内容は、シンプルで明確。山本氏が、シリコンバレーから会社を成長させるべく実践し、成果がある手法や概念がコンパクトにまとめられている。

 かつて「日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方」という書籍で明らかにしたChatWorkの仕事術を大幅にグレードアップしたような内容だが、光のようなスピードで進化し続けるこの世界の現在にフィットした鮮度感をもっている。

 社長のコピーを作るために「社長も社員もタスクを書く」といったことに始まり、社員に仕事を任せ一人一人の能力を最大限に発揮するために「向き不向き、興味の有無をみる」「任せるにあたりスケジュールが埋まってないか」「通りやすい道があるか」など、“当たり前だよ”と感じつつ、ほとんどの企業ができていないことにフォーカスを当て、考え方や実行しやすい手順などを丁寧に説明。

 動画やマインドマップ、SNS活用など、ChatWork社がこれまで継続してきた効果的なマネジメント手法も健在。具体例を踏まえさらにブラッシュアップされた形で説明されている。

 これまで表明してきた「人にあわない」「電話に出ない」「外部資本を入れない」など、いわゆる非常識といわれるスタンスについても、本書ではその理由や理念がのべられており、単なるハウツー本ではなく、自分の生き方、そしてそれを踏まえた仕事の取り組み方について考えさせてくれる。

 山本社長は「包み隠さず伝える」と言う。

 自分の仕事を他の社員に任せるため、仕事の概要はもちろん理念やビジョンを共有し、社長とスタッフの心の距離を縮める。その上で、「全員の仕事が経営者の品質で統一されているかどうか」をチェックし、しかしながら無責任に100%任せきりになることのないように配慮しつつ、会社を鳥瞰し市場を開拓する姿勢にこそ学ぶことがありそうだ。

【関連URL】
・ 最大14人ビデオチャット、画面共有も! 「ChatWork」が大型アップデート【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/chatwork_video_release.html
・あの “非常識な会社”がまたやった。売り上げのある事業をすべて手離してシリコンバレーで挑戦開始 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51761419.html
・「お客に会わない」で有名 日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方 【増田(@maskin)真樹】
http://techwave.jp/archives/51523657.html


蛇足:僕はこう思ったッス
ChatWorkの理念「しないこと14条」に「日本にプラスにならない事業はしない」という項目がある。この14条には他にも「社員をクビにしない」とか「株式公開しない」とか「特定の組織に所属しない」といった条項がある。大半の会社が「高度な○○」「最高な○○」と漠然かつ自己研鑽のような理念を掲げつつ、利益ばかり追求する中、自分の首をしめるかのような条項を並べているのだが、それでも日本にプラスになることをするというビジョンに突き進むためのストイックかつハングリーな情熱の現れであることに感銘を受ける。
本書では「スキルだけではいけない」ということを全体を通じ説明しているが、それは、企業マネジメントの画一的慣習を打破し、社員一人一人の可能性を追求しつつ、会社全体として、ひいては日本経済へのポテンシャルへと昇華させようという意気込みを感じさせられる。
どうか、就職や転職、仕事について悩む人に読んでいただければと思う。

著者プロフィール:TechWave 編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなどほとんど全てのIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSの啓蒙。ネットエイジ等の
https://www.chatwork.com/g/techwave_maskinベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップマーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。
mail メール maskin(at)metamix.com | ChatWork (Chat/Voice) | 書籍情報・ 詳しいプロフィールはこちらTwitter @maskinFacebook
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