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リクルートホールディングスの実証機関であるメディアテクノロジーラボは2013年7月8日、アプリブランド「cameran」の第三弾アプリとして「cameranアルバム」を公開した。iPhone版がiTunes Storeで無料で公開されている。Android版は、近日公開予定。
cameraシリーズは、第一段アプリ「蜷川実花監修カメラアプリ」が2012年10月19日に公開された(6月1日現在で累計350万ダウンロードを達成)。
6月4日にシリーズ化を表明して第二弾アプリ「cameranコラージュ」を発表。同月27日には、「蜷川実花監修カメラアプリ」のSNS化を発表するなどプロジェクトの拡大に手をつけている。
今回発表された「cameraアルバム」は、シンプルな写真管理アプリ。
cameraで作成した写真や作品はもちろん、スマホで撮影した写真ならどれでもアルバムとして整理できるというもので、画像の加工や日付別の自動アルバム化、フルフル共有、パスコードロックなど便利な機能を揃えてあるほか、アルバムの表紙や台紙のスキンを選択するといったカスタマイズ性まで用意されているのが特徴。
見た目には簡素だが、使用してみると便利な道具として洗練されている。アルバムへのパスコードロックは、確かに知り合いに写真を見せる時、“他のフォルダまでブラウズされたくない”等のシチュエーションは用意に想像できる。
ただ、これまでのcameraは、どうしても第一段「蜷川実花監修カメラアプリ」のイメージを引きずっていた。そのせいか「cameraアルバム」ではデザイン的にはかなりポップ方面にシフトしたような印象を受ける。一体cameraシリーズはどこへ向かうのだろう。
cameraシリーズチーフプロデューサー 大城哲也 氏は「ビジュアルで情報を整理していきたい、そのためにできることを少しずつ展開する」と語る。
「文字情報は過多、ビジュアル化で処理しやすくしたい」
写真(by maskin):左:cameranアルバムプロデューサー 渡邊景亮 氏、cameraシリーズチーフプロデューサー 大城哲也 氏
「咀嚼できないし、伝え切れない、そんな情報を写真でどうにかする。最終的に僕等がやりたいのは、そういった考えを牽引するような存在になることなんです」いう大城哲也 氏は、現代は文字の情報が多過ぎて受け止め切れない状態にあると語る。
「スマホやグローバルという共通のキーワードがあり、その先に大量の情報が待ち構えています。
みなさんスマホのデジカメで写真メモを取りますよね。
写真や絵といったビジュアルの価値が大きくなるフェーズがくると思うんです」(大城氏)。
そういった考えをプロジェクトスタート当時から一貫して持ち続けた大城氏は、第一号アプリの監修を蜷川実花さんに依頼する際、「情報過多でも見られる写真にすることを強く意識している」といったことを感じたとのこと。
「蜷川さんの派手な色や構図は、情報が過多でも、誰でも見られるようにシーンを切り取ってくれるように機能するんです。
グローバル展開を考えた時、デザインセンスはアジアではNo1の日本の強みを活かしていきたい。そういう考えで、第一号アプリにはデザインリーダーに関与してもらっていますが、蜷川さんの写真は私のイメージするビジュアル化を具現化する力を持っていました」(大城氏)」。
cameraプロジェクトは、ビジュアル化をテーマに「蜷川実花監修カメラアプリ」という刺激的な企画で突き抜けた印象があるが、むしろ「突拍子もない新しいことをいきなりやるよりも、ユーザーが求めていて、自分達も理解できることを展開していきたい」というのが真実だった。
「走りながら進むことで、結実していく」
大城氏は、「具体的に何か月後に何をするという計画を決めずに、都度フィードバックを受けながら、何ができるのか模索しながら進んでいる」と言う。「ユーザーにとって何が便利かは、ユーザーが知っているので、彼女たちの声を尊重したい」。
女の子、1000人で考えた
そうした大城氏の思想は、シリーズ全体に踏襲されており、コラージュも今回のアルバムも「ユーザーに求められているもので、チームとしての勝ち筋が見えた」からという理由で急遽に開発に着手したという。
企画の詰めの作業では、ユーザー対象となる女性1000人に協力してもらい「何を求めているか」を徹底的に洗い出していく。
「華やかそうに見えますが、毎週沢山の人にヒアリングをしていく作業は本当にヘビーでした。
それを乗り切ることで、最終的に製品のアピールポイントである4つのキーワード「日付ごとに整理」「カスタマイズ」「キーワード保護」「簡単に共有」にたどり着けたんだと思います。
機能的に派手ではありませんが、日常の中で自分の写真を保存していくユーティリティアプリにしたかったので、あまり派手にしてしまうと受け入れられなくなってしまう人もでてしまうと考えました。
対象ユーザーの20代前半は、まだガラケー率が高く、ちょうどこれからガラケーからスマホへ以降する段階です。最低でもガラケーでできたことはスマホでもできるようにと考えています。ユーザーとがったアプリを作るというよりは、ユーザーが納得して使えるものにしたかったんです」(cameranアルバムプロデューサー 渡邊景亮 氏)
実際の「cameranアルバム」も「cameranコラージュ」も機能的にもUI的にもじっくり作り込められている印象だ。確かに、急激なヒット作とはならないかもしれないが、ユーザーに長く愛される作品に仕上がっていると感じる。
cameranチームが掲げるビジュアル化というメッセージは、日本いや世界のユーザーに受け入れられるのだろうか。今後の展開だ楽しみだ。
【関連URL】
・cameranアルバム|たまった写真をかわいく整理!きせかえ可能なアルバムアプリが無料で登場!一発共有も隠しアルバムも超便利!
https://album.cameran.in/
・蜷川実花監修の「cameran」がブランド展開、第二弾はコラージュ機能全部乗せアプリ 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/cameran_be_app_brand.html
大城さんのイメージはあらゆるものがビジュアルで整理されるというもの。これまでの3本のアプリは、ベーシックなもので、それがどういう世界を構築するものか想像できないと思うが、大城さんの頭の中では「欲しい服を写真で撮影すると、それに関連する情報がまた視覚的に得られたりする」といった世界が広がっているようだ。いきなりGoogle Glass用アプリは出ないとは思うが、ビジュアル化の中でマーケットに大きく受け入れられるものを出すのはないかと期待している。
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなどほとんど全てのIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSの啓蒙。ネットエイジ等のベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップ・マーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。
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