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「3Dプリンタ活用の好例を作りたい」とロボット作家らが立ち上がった。
「ラピロ(RAPIRO)」は、名刺サイズコンピュータ「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」との連携を前提として設計された人型ロボットを作成するためのキット。初心者でも簡単に扱えるマイコンボード「Arduino( アルデュイーノ) 」を組み込みカスタマイズすることも可能。
手作りキットとはいえ全身の関節に12個のサーボモーターを搭載し、2足歩行や手で何かを掴むこともできる。まさに夢の工作キットだ。
このキットを製品かするためにクラウドファンディング「KickStarter」で公開したところ、世界中の技術系メディアでも取り上げられ、公開時間の2013年6月20日17時から12時間で目標金額20000ポンド(約300万円)の半数を達成。記事執筆時点(6月21日 16時)では80%をこえる人気ぶりだ。
これが実現すれば、研究用で30万円から100万円ほどしたロボットキットが、制御基盤(Raspberry Pi)を含めても3万9800円で購入できるようになる。
企画の立ち上げはロボットデザイナーの石渡昌太 氏。玩具やハイテク広告展示の設計をする機楽株式会社の代表取締役社長だ。日本の家電メーカー、自動車メーカーなどから依頼を受けて試作品を開発することも多い。
ハードxITの分野で、2008年からアート&デザインのキット「Gainer mini」の商品企画やゆるキャラロボット製作などを行ってきた。あの脳波デバイス「necomimi」の受託開発などを担当している。
「ラピロ(RAPIRO)」は、こういった経験を活かし、今までにはない愛着が持てる本格的なロボットを実現しようと起案したもので、機楽を中心に4社がタッグを組み実現した。
・機楽株式会社 – 玩具や電子機器の試作設計や量産設計を行うデザイン設計会社
・株式会社JMC ‒ 医療機器や精密機器の樹脂加工や軽金属鋳造を行う試作加工会社 (本社:横浜市、代表取締役 渡邊 大知)
光造形技術で実績をもつ企業。高度な職人の技術により、データを見て寸法精度や微細形状を考慮し、3Dプリンタの各種設定を微調整して出力するため精度が高い。ラピロの試作で大活躍をした。
・株式会社スイッチサイエンス – 電子基板の輸入販売や自社設計製造も行う電子部品通販会社(本社:千代田区/代表取締役 金本 茂)
Arduinoの個人輸入販売でスタートした会社で、電子工作のための道具や場所をシェアできるオープンスペース「はんだづけカフェ」を運営するなど日本のオープン ソースハードウェアコミュニティを牽引。チップマウンターなどの製造機材を導入し、電子基板を小ロットで自社製造する「小さな工場」を持っており、ラピロではArduino互換基盤を担当する。
・株式会社ミヨシ ‒ 自動車部品などの試作金型や量産金型の製作および射出成形を行う町工場 (本社:葛飾区、代表取締役 杉山 耕治)
柔かいアルミニウム合金を使った試作金型を使し、同社の高い製造技術によって信頼できる品質の金型を安価に作成することに成功。
動くプラモデル
石渡氏は「ラピロ(RAPIRO)」を「動くプラモデル」と表現する。
アニメキャラのような外観と完成度で、しかも買いやすい価格。組立も簡単で、それでいて研究用途にも十分対応できる内容になっている。
「小さな企業であれば小さな利幅でも黒字にすることができますし、意思決定も迅速です。腹をくくった 冒険は、小さな企業のほうがしやすいでしょう。1 社ではたいしたことはできませんが、数社が集 まってリスクを持ち合うことで、世界を相手にちょっと凄いことをやってやろう! というのがこのプ ロジェクトの目指すところです」(石渡氏)
KickStarterでの企画成立は間違いないだろう。ここで支援すれば29800円で購入できるプランもあるらしい。
将来は、3Dプリンターでオプションパーツや補修パーツを追加で自作できるように、データも公開する予定だという。もしかすると日本のアニメ&ロボットのカルチャーがハード&IT分野に新たなムーブメントをおこすようになるのかもしれない。
【関連URL】
・RAPIRO: The Humanoid Robot Kit for your Raspberry Pi by Shota Ishiwatari — Kickstarter
http://www.kickstarter.com/projects/shota/rapiro-the-humanoid-robot-kit-for-your-raspberry-p
・RAPIRO (ラピロ) : The Humanoid Robot Kit for your Raspberry Pi
http://www.rapiro.com/
・機楽株式会社
http://www.kiluck.co.jp
誤解や過度な期待が散見するMarkersブームが消沈しつつある中、本当に素晴らしい好例が出て嬉しく思う。スタートアップでプロダクトを出すことも大切だけど、こうしたキットは多くの人のハートをつかむことになると思う。心から応援したい。
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなどほとんど全てのIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSの啓蒙。ネットエイジ等のベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップ・マーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。
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