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成田から飛行機で2時間30分。日本から最も近い欧米の町並みが広がるウラジオストクの金角湾を望む@鷲の巣展望台
2017年9月、ロシア最北の港湾都市ウラジオストクのルースキー島にあるロシア極東大学で開催された当方経済フォーラムにおいて日本とロシア両政府は「デジタル経済に関する協力に係る共同声明」を発表しました。
これをきっかけに、すでにロシア進出を果たしている日本の大手のみならず、スタートアップやコンサルティング企業を中心とした日ロデジタル交流の動きが加速しています。
ロシア 生活環境・産業・経済の革新のための協力8プラン
この声明は、2016年5月の日露首脳会談で日本がロシアに対し提示した「生活環境・産業・経済の革新のための協力8プラン」の流れを踏んで発表されたもの。
ロシアが2017年にスタートした「デジタル経済プログラム」に対し、日本側のIT技術によって製品サービスの品質や生活向上を推し進めるという内容です。官民あわせて約20の覚書が交わされています(東方経済フォーラム全体では56の覚書)。
共同声明が発表されたロシア・ウラジオストク ルースキー島の極東連邦大学。この際、「露日関係研究センター」を開設することが発表されています。なお、2012年に開催されたAPACの会場。
日本とロシアの首脳の会談は、2016年にプーチン氏が山口県に来訪した時を数えてのべ9回。2018年には渡航ビザが緩和。2019年1月の時点で、317件の署名文書(覚書)が交わされ、178件の民間プロジェクトがスタートしているとのことです。
ロシアのITスタートアップ事情
日本国内の情報だけを見ると課題が山積みのように見えるロシア事情ですが、すでにITの世界ではその人口規模(1.445億人ー2017年)からは想像もできないような存在感を発揮しています。
例えば、Google共同創業者 セルゲイ・ブリン氏、PayPal共同創業者 マックス・レヴチン氏、Etherium創業者 ヴィタリック・ブテリン氏など主に技術分野での突出した層にロシア人の名前をしばしば目にすることになります。
それもそもはず、国を挙げての英才教育は現在も息づいており、ソフトウェアサイエンスや数学、物理学などの分野では世界トップクラスといっても過言ではありません(以下は在ロシアの日ロIT交流支援事業を展開するSAMI社のプレゼンスライドより)。
とはいえ、ロシア全土がITスタートアップの流れに乗っているかというとそうではありません。民間レベルではまだまだ限定的。一方で、政府機関の注力ぶりに驚かされます。
日ロデジタル分野協力セミナー
そんな中、2018年2月、経済産業省認可の公益法人「ロシアNIS貿易会」(通称ROTOBO)が、日本のIT分野のメディア(含むTechWave)やコンサルタント会社、投資家などを中心とした現地視察・交流・情報訪韓ツアーを実施しました。
ロシア・モスクワ近郊にあるイノベーションセンター「スコルコボ」。2010年の大統領だったメドベージェフ氏の鳴り物入りでできた地域で、ロシアのシリコンバレーと呼ばれる。スコルテックという技術大学や研究機関、2000近いスタートアップなどが軒を連ねる
日ロデジタル分野協力セミナーの情報交換ミーティングの模様。
日本とロシアの情報GAPを埋めるSAMI
こうした日ロ経済交流における最も大きな問題は「情報」です。日本で流れるニュースはごく限られたもので、互いの経済や技術力を知るための情報を得ることは困難な状況です。
そこで、両国の情報GAPを埋め、さまざまな事業機会を提供するのが日本人 牧野寛氏率いるSAMI社です。
右端が牧野氏
SAMIは、ロシアのEU側に位置するサンクトペテルブルクのITMO大学内にオフィスを構え、ロシアスタートアップの日本進出および日本スタートアップのロシア進出のサポートを展開している。
このSAMIらの取り組みをサポートするのが、日本のスカイライトコンサルティング社。
両者の働きかけは2019年4月18日、ロシア連邦タタールスタン共和国カザンのベンチャーキャピタル兼アクセラレーター「Pulsar Venture Capital」を含めた3者間で日ロ経済協力組織「Innovations Bridge」の設立の基本合意へと結実しています。
左から:タタールスタン共和国大統領 Rustam Minnikhanov氏、Pulsar マネージングパートナー Pavel Korolev氏、スカイライトコンサルティング代表取締役 羽物俊樹氏、在ロシア日本国大使館経済部参事官 大木雅文氏、SAMI 代表の牧野寛氏
Japan
3社は「Innovations Bridge」設立基本合意を受け現在日本ツアー実施中。すでに福岡でイベントを実施済みで、来る2019年4月24日は東京・神谷町のイノベーションスペース「docks」でロシアスタートアップのピッチイベントを開催する予定です。
登壇企業は、データマーケティングプラットフォーム・データ売買プラットフォーム「CleverDATA」、SME法律事務所用のマーケティングプラットフォーム「Lawberry」、ターゲティング広告最適化のためのプラットフォーム「Lead Enforce」、ペットケアサービスのオールインワンモバイルアプリ「Zooly」、社内外のITエンジニアリソース最適化プラットフォーム「Smart Staffing」の4社。
交流会なども実施される予定で、ロシアITスタートアップのパワーを感じるのに良い機会となりそうです。
【関連URL】
・[イベント] 2019年4月24日開催 Russian Startup Pitch Night ~ Japan Bootcamp ~ | Peatix