iPadに期待する米出版業界、期待すれば裏切り者扱いされる日本の業界【湯川】

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 米Wall Street Journalは、米国で来週発売のタブレット型パソコンiPadに対し雑誌出版社の間で期待が高まっていると報じている。同紙によると、広告主からの出稿も順調のようで、紙の雑誌の売り上げを電子出版で補いたいという考えのようだ。

 一方で日本の出版業界はiPadに強い関心を示しているものの、積極的に電子出版に乗り出そうとするところはまだ少ないようだ。ある業界関係者は「電子出版に前向きに取り組んでいる出版社だという評判がたつと、業界内で裏切り者扱いされる」と語る。また関係筋によると、大手ビジネス総合誌の編集部が電子出版の特集の取材を進めていたところ、出版直前に経営層から同特集の掲載中止を命じられたという。この雑誌で経営が編集内容に口出しするのは異例のことらしく、また明確な理由も示されていないもよう。「業界内で裏切り者扱いされるかもしれないという経営陣の自主規制ではないか」(同関係筋)という。


 Wall Street Journal紙は米の出版業界のiPadへの期待を次のように分析している。

出版広告が脅威にさらされ、新しい収益源の獲得を模索している雑誌出版社は、アイパッドが出版社の将来にとって重要だとみている。これまでデジタル広告は多くの出版社にとって期待はずれな結果となってきたが、アイパッドに関しては、目立つフルページの広告とデジタル広告の持つ斬新なインタラクティブ機能をうまく融合する技術を得られる上に、実際に広告を見た人数を数えることもできると考えているようだ。

 出版広告が驚異脅威にさらされ新しい収益源の獲得を模索しているのは、日本の出版業界も同じであるはず。なぜ日米でこうも反応が対照的なんだろうか。

 ITジャーナリストの佐々木俊尚さんは、日本は横並び意識が強いと指摘する。確かに「裏切り者扱いされたくない」という思いも横並び意識の現れかもしれない。では日本の業界はいつ積極姿勢に転じるのだろう。佐々木さんは「大手出版社や有名な著者が電子出版を始めれば、各社一斉に参入しますよ」と予測する。

 その時期がいつになるのだろうか。その時期こそが日本の電子出版元年になるのだろうか。

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