DeNA、坂道の多い横浜市でロボットバスの可能性を探る

Yokohama, 交通

マイクロバスをさらに小型化したようなサイズ(幅:1.986m、長さ:3.928m、高さ:2.750m)の自動運転バス「ロボットシャトル(Robot Shuttle)」で動物園内を時速20.5Kmで周遊した一般の利用者に「運転手がいなくて怖くなかったですか?」と問いかけると一様に満足そうな笑顔で「ぜーんぜん、動物たちを眺めながら移動できて楽しめました」という答えが帰ってきました。

定員は12名(席は6席)。実験を主導するディー・エヌ・エー(以下DeNA)は「横に動くエレベーター」を目指したいと考えているようです。第一に考えているのは安全面。スーパーカー以上の価格がする「ロボットシャトル」は6つのセンサーとカメラ、そしてGPSを搭載し、運行前にルートの安全を確認してから航行を開始します。異常が確認できれば減速し、障害物があればブレーキを駆ける。雰囲気は遊園地の乗り物のような感覚で、子供から高齢の方まで安心して乗れる印象です。

この実験走行は2017年4月27日(木)から28日(金)にかけて神奈川県横浜市の金沢動物園で行われる予定です。時間は10時から15時まで。動物園の入園料が必要ですが乗車は無料とのことです。

無人運転バス、のべ2600名・280Kmの走行実績

この無人運転バス「(ロボットシャトル)Robot Shuttle」は2016年8月に千葉市幕張新都心のイオンモール隣接の「豊砂公園」でスタートし、2016年11月には秋田県の田沢湖湖畔の公道などでも運行実績がある車両です。

開発したのはフランスのEasymile社。日本国内だけでのべ乗客数は2600名を超え、280Kmの走行実績があります。

社内はいかにも欧米の交通機関然としており、天井の安全バーが高すぎたり、非常ボタンが乗客が触れやすい場所に設置されていたり(実際、記者向けのテスト運行中に誤って押されてしまうトラブルが発生しました)日本環境にあわせたチューニングが必要と感じますが、いざ乗車して着席してみると快適そのもの。

社内に設置されたキオスク端末に動物園内の情報が表示されないのは残念ですが、園内のキリンやゾウについてのアナウンスが流れたりすれば、完成度の高い立派な乗り物になりそうです。

車椅子など身体の不自由な方にも対応すべく乗車支援パネルも用意されており、乗車時には車体が下がるなど一般的なバス同等の配慮もなされています。

車体はセンサーとカメラで武装されているという表現が適切かもしれません。前方と後方(この車両に前と後ろはありません)にカメラが設置され、天井にはレーザーセンサーとGPS、4つの車輪の脇には以下のようなセンサーが設置されています。

「センサーやGPS、車輪の回転数などあらゆる情報が人工知能のエンジンに蓄積され安全な運行のために蓄積されています。事故はもちろん不安に感じられるような状況を起こさないことが自動運転の最も重要な部分だと考えています。実際の人工知能および自動操縦のシステムはEasymileが開発している部分ですが、こうした無人走行の実用化が進むに連れ、より広範囲な部分で人工知能の応用ができるようになると考えています」とDeNA 執行役員 オートモーティブ事業部長 中島宏 氏。

DeNAと横浜市、産官学共同の実証実験プロジェクト

このテスト走行は、DeNAと横浜市が地域の交通課題を解決するためのプロジェクトです。

I☆YOKOHAMA協定」という横浜市とDeNA、DeNAベイスターズ、横浜スタジアムの4者で2017年3月10日締結したスポーツ振興と地域経済活性化等に向けた包括連携協定の一貫であり、横浜市のビジネス創出プログラム「IoTオープンイノベーション・パートナーズ(I・TOP横浜)」の一貫としても位置づけられています。

横浜市は起伏が激しい地域が多く、金沢動物園周辺も例外ではありません。交通課題といえば、過疎地域などに注目されがちですが、実は全国的に問題となっています。特にローカルバスの路線の7割は赤字といわれており、厳しい坂道が多くバスや車がないと移動すら困難な横浜市も交通課題は極めて深刻なものになっています。

今回の実験は、金沢動物園内の平坦なルートで実施されていますが、実は、この動物園そのものが非常に起伏が激しい地形となっており「園内の移動が大変なことが最大の悩み」(金沢動物園 園長 原久美子 氏)とされていました。

今回の取り組みは、DeNAと横浜市、金沢動物園以外に、地域住民の方も含まれています。「ロボットシャトルは傾斜があるところでも運行が可能です。今のところ平坦な場所での実験だけですが、今後2018年には園内運行をスタートし、公道での実験も開始したいと考えているため、利用者のニーズを聞きながら傾斜のあるルートの実験もできたらと思います。実験に地域の方に参加してもらうことで、無人バスが地域の交通課題の解決に貢献できる可能性があることを知ってもらうことを大切に思っているのです」(DeNA 中島宏 氏)


(写真:DeNA 執行役員 オートモーティブ事業部長 中島宏 氏、横浜市 経済局長 林琢己 氏、金沢動物園 園長 原久美子 氏、人気のみみずく)

【関連URL】
・Robot Shuttle(ロボットシャトル)
robot-shuttle.com

蛇足:僕はこう思ったッス
maskin-bit-2016 かつて神奈川県に住んでいたことがあるのだけど、横浜周辺は景観が素晴らしい一方道路の幅が狭くとにかく坂道が多いという印象。路側帯への駐車は一苦労という記憶がある。車やバイクがないと大変。金沢動物園へのアクセスも金沢文庫駅からかなり急な坂を登らなくてはならず、地域の方が苦労しながらバス停に向かっていた。仮に「ロボットシャトル」が導入されたらどうだろう?最小限の車体サイズ、ドライバーレスで人件費もかかりにくいとなったら、まさに「陸を移動するエレベーター」になりうるような期待がある。高齢化社会の中で生活は豊かになるのではないかDeNAは「ボタンを押したらその場所に停車する」といったことも考えているようだ。産官学連携の強みが生かされることを期待したい。
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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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