愛読している月刊アスキーの今月号の中で一番興味を持ったのが「誰が日本のネットを殺すのか」という特集。まるでだれかの本みたいなタイトル(笑)。このままでは情報化社会に入ったアメリカと、工業化社会から抜け出せない日本の差が広まるばかりだと心配しているんだけれど、この問題を真剣に考えているメディアにほとんど出会ったことがない。そういう意味でこの企画を考えた編集者はエライ!と思う。
その企画の中でも秀逸だったのが池田信夫氏の特別寄稿「ITゼネコン構造がイノベーションを阻む」だ。制度改正で正社員と非正社員の差別をなくし、正社員が過剰に保護されている「格差社会」を変えなければ日本でイノベーションは起こらない、という主張にイタク共感した。
でもコガイ氏、遠藤氏、仲俣氏という3人のオピニオンリーダーによる鼎談は、あまりまとまりがなかったように思う。問題意識を持った編集者が、3人に個別にインタビューし、それぞれの考えを徹底的に引き出したほうがよかったのかもしれない。
「国内から革新的なサービスが出ていない」という司会者の指摘に対し「そもそも日本から出せというのが議論としておかしい」というダンさんの切り替えしが一番面白かった。
確かに日本がインターネット産業の最先端を走る必要性はないのかもしれない。優秀な日本人は、既に多くの人がそうであるように、シリコンバレーに行けばいいだけ。そこで、日本にこだわらずに、世界に貢献することを考えればいいだけなのかもしれない。
シリコンバレーの中の熾烈な競争を勝ち抜いてきた標準技術に乗ることで、ローリスク・ローリターンなビジネスを国内で展開することが日本人には向いているのかもしれないな、とも思う。もちろん大きな成長は期待できないけど、少子化で人口減の傾向にあるので、それなりにやっていけるのかもしれない。好むと好まざるに関わらず、それが日本の将来のような気がしてきた。そんなことで満足していれば、「モーレツ」に仕事してきた団塊より上の世代の先輩たちに怒られるかもしれないけど・・・。うーん、よく分からない。この問題は、しばらく考えてみることにしよう>自分。
アーカイブ2008
最近学生さんたちと話す機会があるたびに思うのは、びっくりするくらい世の中のことを知らないということ。就職活動には非常に熱心なのはいいのだが、その前提となるべき情報をあまりにも持っていない。
これから工業化社会から情報化社会へ移行するのだということも、はっきりと理解していないのではないだろうか。せっかくこれまで一生懸命勉強してきた真面目な学生でも、何も考えずに斜陽産業の有名企業に就職を希望したりしている。
50年前に学生に最も人気のあった企業が鉱山会社だったといわれるが、今は過去50年以上に大きな変革の時代である。多くの学生が希望するような有名企業に就職した人は、50年前に鉱山会社に就職した人以上に激動の人生を送ることになるだろう。
そこで学生や新社会人たちにもっと情報化社会の大きな潮流を知ってもらいたいと思い、学生団体LabIT(ラビット)を支援することにした。
そのLabITの格安(!)セミナーが6/28(土) 17:00~18:30に上智大学で開催される。今回のテーマは「SaaS」。わたし以外にもsalesforce.comから講演者を迎えるそうだ。参加費は学生がなんと500円!ヤスッ!!
セミナー後の懇親会も楽しみです。社会人のみなさんも、大歓迎。学生たちに懇親会で刺激をいっぱい与えてあげてください!
セミナーのページはこちら。
30代のころだろうか。「新聞記者ほどおもしろい仕事はない」と思っていた時期があった。社内の記者とはもちろん他社の記者と議論するのも大好きだったし、「記者以外の職種の人とは目指すものが違うので友達にはなれないのではないか」と思ったこともある。
今は反対に、社内や業界内の飲み会にはほとんど出席しないし、「ジャーナリズム」という言葉を口にする人からはできるだけ距離を置きたいと思っている。今でも「新聞記者はおもしろい職業の1つである」とは思っているけど・・・。
何が自分を変えたのだろう。
恐らく数多くの自称「大物ジャーナリスト」に幻滅し続けてきたからだろう。「あなたにはジャーナリズムを論じてほしくない」という人たちが数多く存在するからだろう。
加藤晴之氏は「ジャーナリズム」という言葉を口にするジャーナリストである。それはそうなのだが、加藤氏は「ジャーナリズムは不滅である」などといった理想論を吐くわけでもなく、霞を食べて生きている「“天上人”ジャーナリスト」でもない。「週刊現代」の名物編集長として、訴訟覚悟のキャンペーンも展開してきたし、販売部数にも気配りしてきた。覚悟もできているし、現実を見ることもできるわけだ。
本の中で加藤氏が指摘しているように紙ベースのメディアは今、非常に苦しい変革期を迎えている。わたしは記者や編集者、カメラマンの今後の選択肢は2つしかないと思っている。1つは自分のスキルを徹底的にみがき、マーケットの急激な縮小の中においても生き残るプロ中のプロになるという道。もう1つは、カメラマンならカメラ教室の講師になるというように、自分のスキルを生かして周辺の産業に移動する、という道だ。
前者の道を選択した人にとって、この本は非常に役立つノウハウが満載されている。覚悟もあり現実を見ることのできる加藤氏が、記者や編集者向けに自分の持つノウハウを洗いざらいぶちまけた本なのだから、ベテラン記者や編集者にとっても役に立たないわけがない。自分の行動の指針を「公共性」におくべきだ、という加藤氏の主張を忘れずに、ジャーナリストの道をまい進していただきたい。
さて腰抜けのわたしは、後者の道を選択したわけだが、そんなわたしにとっても久しぶりにジャーナリズムのおもしろさを感じさせてくれた本だ。見た感じ硬派で恐そうなんだけど、大阪人の茶目っ気もあり、人間に対する愛情も豊富。そんな加藤氏の魅力をそのまま詰め込んだような本になっている。
AMNを通じて広告のブログパーツの貼り付けの打診が来たので、2つ返事で、右下にあるような映画「ハプニング」の広告ブログパーツを貼り付けた。張ってからブログパーツ配布用のウェブページを読みに行ったんだけど、そこは次のような一文が・・・。
地球に一体何が起こっているのか?地球規模の“異変”の第一の兆候は「言葉の錯乱」、第二の兆候は「方向感覚の喪失」、そして第三の兆候は「死」――。
ハプニング・ブログパーツでは、この“ハプニング”を疑似体験できます。
なんか恐そうなんですけど・・・。
貼り付けたあとブログパーツの部分を恐る恐るクリックしてみた。ブログパーツの中が変化するのかなと思っていたら、何も変化が起こりそうもない。
なんだこりゃ、と思っているうちに、しばらくするとブログ本体に文字化けが・・・。うわっブログが壊れ始めた!
なんなんだよ、このブログパーツ。恐すぎなんですけど。
そして7月26日(土)の公開日、あなたのブログにさらなる“ハプニング”が起きる……!
衝撃のブログパーツを今すぐ貼りつけよう!
なんなんだよぅ、何が起こるんだよぉ、恐いよう。
メディアの近未来はどうなるのか。広告の近未来はどうなるのか。こうしたテーマで取材を続けてきたのだが、今年春の米国取材を経て、広告の近未来がはっきりと見えた。
そしてその近未来は、予測していたものとあまりに大きく異なったため、米国取材前の原稿をすべてボツにしたのだ。(ボツにした未完成原稿)
さてその近未来像なのだが、広告という定義では到底語れないものに変貌するというのが結論である。その近未来はマーケティングプラットホームという形で姿を現し始めており、そのプラットホームはグーグルでさえ1社で牛耳れない世界になりつつある。
このことは書籍としてまとめるつもりなのだが、その前にそのエッセンスを「Web STRATEGY」という雑誌の特集記事「これだけは押さえておきたいweb近未来予想図」として寄稿することにした。
「なんとかの仕事術」というライフハック的な本が結構でているけど、これだけネット周りの技術革新が早いと具体的な仕事術もころころ変わる。某氏も仕事
術の本の中で「スマートフォンを活用すべき」とか書いていたのだが、本の出版から2ヵ月後にあったら普通のケータイを持っていた。「あれ、スマートフォン
は?」って聞くと「gmailがケータイで利用できるようになったんで買い換えました」って言っていた。そうなんです、仕事術って今はすぐ陳腐化してしま
うんです。
仕事術ってそういう意味じゃ、書籍向けのテーマじゃないんじゃないの?って思う。でも他の人がどういう風に各種ツールを使っているのって結構気にな
るし、互いに教えあうのはいいんじゃないのかなと思うので、これから新しい仕事術に切り替えるたびにエントリーにしてしまおうかと思っています。
ではまずは最近変更した仕事の仕方について書いてみたい。
▼ミニノート買ってからRSSリーダーをGoogle Readerに
まずRSSリーダーをGoogle
Readerに代えてみた。僕はデスクに座ってRSSリーダーを読むというのがあまり好きじゃない。できれば寝転がってRSSフィードを一気読みしたい。
そこで今までは、NewsGlueという有料のRSSリーダーで集めたフィードをOutlookに転送し、それをDellのPDAに転送してPDAで読ん
でいた。
なんでそんなことしていたのかというと、通勤経路の一部に地下鉄があり、電波が届かない場所でオフラインで読むのでケータイは使えない。PDAなら記憶
データ容量がケータイより大きいので、データをダウンロードしておける。それでPDAに転送するにはOutlookの受信箱を使うしかないし、
Outlookの受信箱にRSSフィードを飛ばすのにはNewsGlueしかなかった。
でも工人舎のミニノートを
PDAの代わりに使い始めたので、別のRSSリーダーを探していた。そこでいろいろ試したんだけど、やっぱりGoogle
Readerがよかった。Google ReaderはGoogle Gearsというツールでウェブ上Google
Readerとミニノートを同期してくれる。つまりデータがミニノート側にダウンロードされ、オフラインでもRSSリーダーが利用できるわけだ。これなら
地下鉄の中でもRSSフィードを読むことができる。
それにGoogle
ReaderにはAutoPager機能というんだろうか、スクロールしていけば次々とデータが付け加えられ、「次へ」をクリックする必要がないという機
能がついている。「サグール」なんかについている機能だし、FirefoxのアドオンにもAutopagerというのがあって、自分で好きなページを
autopageに改良できる。これは検索結果のページについていてももちろん便利なんだけど、検索結果のページを次々とめくっていくことってあまりない。最初のほうのリストにアクセスするから。
一方で、RSSリーダーやtwitterなんかは、次々とデータに目を通したいもの。ページの残り3分の1くらいになると、クリックしなくても次のページ
が自動的にロードされるって、本当に便利。情報収集時間をかなり短縮してくれている。
特にミニノートの小さな画面で読むときに、autopageは本当に重宝する。
▼友人・知人のブログはエルカミノリアルの「ECreal reader」で
CNETでやっているオンライン・パネルディスカッション「iPhone 3G、日本のモバイル業界を変えるか」がおもしろい。小川浩さんや、後藤康成さんなどの有名人がコメントを寄せている。いい企画だなあ。こういうやりとりがskypeを使ってpodcastで、できればおもしろいのになあ。
さて個人的には、ユビキタスエンターテイメントの清水亮さんのコメントが一番共感できた。
「モバイル業界とほとんど関係ない方のコメントばかり目立つので、そのあたりに違和感を感じますが、iPhoneはモバイル業界から遠ければ遠いほど魅力的に映るでしょうね」
「iPhoneに熱狂している人って、PC領域の人でしょ。しかも割りと年齢の高い・・・。モバイルのコアのユーザー層とはちょっと違う人たちじゃないのかな」ってことを言ってるんだと思う。違うかな?
実は父親を含む周りの大人のほとんどが大阪商人という環境の中で育ったものだから、小さいころから自分はショーバイ人になるものだと信じきっていたワタ
シ。実際にショーバイを試したこともあるのだが、仕入先からはできるだけ高く買ってあげたいし、客にはできるだけ安く売ってあげたくなるので、商売に向い
ていないことが判明したのでした。それでもネットビジネスの経営者が集まるInfinity Ventures
Summitに出席し、数多くの起業家に囲まれたものだから、久々に大阪商人の血が騒いだ。
以前からこのアイデアさえ浮かんだら、起業したいと思うアイデアがある。それは、ソーシャル広告。ソーシャル広告は市場規模でキーワード広告を超える、つまりソーシャル広告で成功すればグーグルを超える可能性があると以前から考えていて、MarkeZineの記事「3-5年先はソーシャル広告の時代」 に書いたようにIVSの海外スピーカーが同様の考えを持っていたものだからIVSから戻ってからもソーシャル広告のことばかり考えている。
記事の中にあるようにソーシャル広告には2種類考えられて、友人間の推薦行為の横に関連する広告を表示する、というものと、ネタになる形で商品プロモを行う、というもの。ワタクシが興味あるのは前者。
で、それってよくよく考えたらアフィリエイトみたいなもの。それで以前からアフィリエイト広告には関心があるのだけれど、自分がブログを持ってアフィリ
エイトの真似事をやってみると、ちょっと違う感じがする。今のアフィリエイトって、お小遣い稼ぎというか、その動機のベースには「金儲け」というのがある
場合が多いように思う。もちろんそうでない人も多いけど、金儲けでやっている人も多く、どちらかというと「金儲け的イメージ」でとらえる人が結構多いんじゃないか。
金儲けではなくて、本当に友人にいい商品を紹介してあげたいという動機がベースになって、その紹介に伴うトランスアクションの結果として、自分の好きなボ
ランティア団体、非営利団体に気軽に寄付できるような仕組みってできないだろうか。バリューコマースと、東京財団あたりが一緒になって、そういう仕組みを
作ってくれないかなあ。
というか、バリューコマースも東京財団にも知り合いがいるんだから、自分でそういう仕組みを作ってしまってはどうか。とかいろいろ考えているわけです。
IVSに参加したベンチャーキャピタルのみなさん、ワタシに出資しませんか?まだ具体的アイデアは何も浮かんでませんけど・・・。
Infinity Ventures Summitの二日目、というか正式プログラムの初日が終わった。やはり海外の参加者と話していると、いろいろおもしろい。MarkeZine向けのプレイベントの記事にも登場してもらったフランス人実業家でブロガーでもある
インフィニティ・ベンチャーズ・サミット(IVS)の取材で札幌にきている。以前はNILSと呼ばれていたイベントだ。
プレイベントとして海外の参加者中心のディナーパーティがあったので、それから参加したのだが、非常にみんなパワフルだ。こちらまで元気をもらえるようでうれしい。
取材の結果は、会社の媒体の1つに書くのと、MarkeZineにも特集を組んでもらい連載するつもり。