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日本経済新聞は、auブランドのKDDIが、セカイカメラで有名なITベンチャー頓智・(トンチ・ドット)と資本提携すると報じた。
auブランドのKDDIは3月30日に、頓智・とAR(拡張現実感)技術をベースにした共同事業化の検討に向けて連携していくと発表している。競合するドコモやソフトバンクに比べて明確な戦略や特色あるサービスがないといわれることの多いauだけに、ARをauの特色の1つにするために頓智・に出資することを決めたのだろう。一方で頓智・は、潤沢な資金を得てビジョンの実現に向けた動きを加速していくことになりそうだ。
3月の発表文では、KDDIは次のようなことを頓智・との提携で目指していくと書いている。
2010年6月上旬発売予定のauのAndroid™搭載スマートフォン「IS01」において、ARアプリケーション「セカイカメラ」のAndroid™版を世界で初めて提供するとともに、au携帯電話でも「セカイカメラ」の機能をお楽しみいただけるARアプリケーション「セカイカメラZOOM」を、2010年6月上旬からトライアルにて提供します。
「IS01」に搭載する「セカイカメラ」は、現実空間とインターネットをつなぐAR技術ならではのインターフェースを実現しています。さらに、エアタグ (緯度経度に紐付いたコンテンツ) と一緒に写真を撮影できる新機能「Air Shot」や、auオリジナルデザインのエアタグを搭載するなど、頓智・との連携によるauスマートフォン独自の機能をお楽しみいただけます。また、 Android™プラットフォーム独自の機能である、ホーム画面上で常時動作する小型アプリケーション「App Widget」を活用し、「セカイカメラ」のアプリケーションを起動することなく、周辺のエアタグを参照することができます。
「セカイカメラZOOM」は、au携帯電話をかざした方向に存在するエアタグを、カメラのキャプチャー映像や擬似的な地平線といった実空間上に付加して閲覧できるARアプリケーションです。「セカイカメラZOOM」は、KDDIおよびKDDI研究所が共同で培ってきたARプラットフォーム「実空間透視ケータイ」と頓智・の「セカイカメラ」の連携により実現しており、BREW®4.0を搭載するau携帯電話でご利用いただけます (注)。エアタグをもとに「LISMO!」や各種ショッピングサイトなどのEZwebコンテンツと連携するなど、携帯電話ならではの機能も搭載します。
KDDIと頓智・は、今回の連携における成果をもとに、両社によるAndroid™搭載スマートフォンおよびau携帯電話でのARサービスの共同事業化を検討していきます。
つまり3月からの連携で一定の成果が出たので資本提携し、AndroidケータイとauケータイでのARサービスを本格的に推進することになったわけだ。
それでは具体的にそれはどのようなサービスなのか。どのようなサービスがauの携帯電話に搭載されるようになるのか。下のコンセプトビデオを見るのが分かりやすい。
頓智・の今後の戦略の大枠に関しては、同社のCEOの井口尊仁氏が事業計画書をほとんどそのままプレゼン資料として講演している。(関連記事:「東京Camp 位置とAR」のキーノート:TonchidotのCEO、井口尊仁氏 【三橋ゆか里】)
それによると、セカイカメラのARに位置情報、ソーシャル機能を加えた(Social+Location+AR)の「ソーラー」というコンセプトでサービスを開発していくのだという。
このコンセプトに基づきauのケータイが大きく前進するのかどうか。KDDIと頓智・の今後の動きが楽しみだ。
日経の有料版を購読していないから、読めたのは日経の記事の最初の1、2行。なので幾ら出資するのか、分かりません(笑)。日経の記事にリンクを貼りたいところだけど、新聞社の中にはリンク貼ると怒る人がいるので、張りませんね。悪しからず。
でも、金額にはそれほど関心がない。もちろん金額の多寡でKDDIの本気度がある程度分かるんだけど、大事なのはKDDIがどの程度、井口さんのビジョンを実現していくのか、ということ。KDDIが本気出して井口さんのビジョンを実現しにいったらすごいと思う。「すごい」というのは、無責任なニュアンスで言ってます。ごめんなさい。
大胆な戦略で、ドコモ、ソフトバンクを一気に追い抜く可能性もあるし、大失敗するリスクもある。勝負に出れるのなら「すごい」ということです。
実は僕自身も井口さんの言っていることはよく分からない。井口さんて一種の天才というか、僕のような凡人の考えを超えているんです。以前、井口さんのTwitterのつぶやきを集めてつぶやきから読むセカイカメラの今後とiPhone時代の次という記事を書いた。その中で分かってきたのは、井口さんは今後ケータイのようなモバイル機器が聴覚や視覚などの人間の感覚を補い拡張する役割を補うようになると考えているみたい。こうしたモバイル機器が人間そのもの、社会そのもののあり方を変えると考えているようなんだ。
その考え方って天才メディア学者マーシャル・マクルーハンが何十年も前に考えていたこととほとんど同じなんだよね。井口さんがマクルーハンを勉強したことがあるのかどうか分からないけど、僕自身やたらとマクルーハンのことが気になる。Facebookの人たちの間でもマクルーハンの考え方って人気なんだそうだ。
つぶやきから読むセカイカメラの今後とiPhone時代の次という記事を書いたあとに井口さんにお会いしたら、「いやあ、あの記事よかったすね。湯川さんには僕のことをよく理解していただいているので、これからは取材しなくても『井口がこう言った』って勝手に書いてくれていいですよ」と言われた。いや、そんなこと勝手に書けるわけないじゃん(笑)。
こんな感じで、ちょっと天才肌の人なんでKDDIという大きな組織がその考えを全面的に受け入れて井口氏とマクルーハンの世界へauを邁進させていけるか、というと、うーん、正直難しいんじゃないかなあ。結局、ちょこっとARサービスを搭載しておしまい、という感じになるような気がする。
一生懸命やっているKDDIの人、ごめんなさい。今はそんな風に感じているというのが正直なところです。「そんなことはない。KDDIはソーラーで大躍進するんだ」という反論があれば、ぜひお聞かせください。お待ちしています。(この表現に悪意を感じたという感想があったので削除します。いや悪意はないです。本当に意見を聞いてみたいなと思っています。
追記:日経の記事の中には「頓智がKDDI以外の通信他社とも提携を広げられるように、持ち分法適用対象にはしない」とあるそうです。TKS!@hmiyazaki。
頓智としては、KDDI以外とも、もちろんやっていきたいんだと思います。
でもかってのグリーのようにKDDIと組むことで頓智が大きく成長すればいいなと思う。今のところセカイカメラって情報感度の高い人の間で特に人気だけど、KDDIと組むことで女子高生なんかにも広がっていけばすごいなあ。
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