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クラウドファンディングサイトの草分け米KickStarterで、ニュージーランドSyrp社のプロダクト「Genie (ジーニー)」が6日間で25万ドルを獲得したことで注目されている。
Syrp社はChris Thomson氏とBen Ryan氏、という29歳の青年2人が代表取締役を務める会社で、「安価で究極の映像制作機材を提供したい」と「Genie」を開発した。
この製品はカメラに据え付けて使用すること微速度撮影が行えるようにするもので、通常、これらを実現する機材は高価で使い方も難しいと言われている。
KickStarterの中では、先日紹介した「Pebble」のように1000万ドル以上を獲得したものもあるが、これらは数十ドルから高くても100ドル程度のガジェットで「Genie」のように数万ドルのプロの用途にも耐える製品で、ここまで反響が得らえるものは珍しい。
クラウドファンディングで成功するには、いいものを開発すること
ただ、製品の詳細を知れば知るほど、人気の理由が解ってくる。この機材のために開発した独自のリアルタイムOS(組み込みOS)や、軽量化を施した筐体。数万ドルという価格設定でも安いくらいの完成度なのだ。
「言うまでもないかもしれないが、Kickstarterで成功するためにはまず何よりも大切なのは、いいものを開発することだと思う。そうさえすれば出資を獲得することになるだろう」とThomson氏はいう。彼等は、不要な所有物を売ったり何とかで生計を立てつつ、「Genie」の製造までこぎつけるべくおよそ12ヶ月間、苦労に苦労を重ねてきた。
Chris Thomson氏は、ニュージーランドの専門学校で工業ザイン学位を取得。シドニーのデザイン企業で工業デザイナーとして働いいる間は、米IDEAや独レッドドット・デザイン賞、オーストラリア国際デザイン賞、オーストラリア工学デザイン賞など国際デザインコンテストで多数受賞。
映像制作者の友人だったBen Ryan氏は、自分の映像制作会社Reason Films (http://reasonfilms.net/) を立ち上げ、スノーボードフィルムをプロデュースしたり(日本特集の映像)、国際雑誌のドキュメンタリーを制作してきた。2人は「工業デザインと映像制作のノウハウが融合した形Genieの開発」に取り組むべく2011年Syrp社を創立した。
すべてのDSLRカメラでプロレベルの映像撮影を可能にする
「Genie」は、ほとんどのDSLRカメラと互換性がある装置で、微速度撮影の制御や回転パンニング、直線モーションといったコントロールを手軽に実現することができるというもの。三脚はもちろん、本体に据え付けられた制御機構を活用することでスケートボードや自家製のマウントで自由な撮影スタイルを実現することができるようになっている。
プロ向け機材と異なり、画面を見ながら迷わず操作することが可能で、出荷状態でプリセット機能ですぐ利用することもできるほか、独自の動作を設定することも可能。動作プレビュー機能もある。日本語でのガイダンスも可能とする予定だ。
記事執筆時の2012年5月21日 15時現在でもKickStarterのプロジェクトは進行中で、すでに34万4000ドルを獲得している。残り36日、まだまだ人気が集まりそうな雰囲気だ。
【関連URL】
・Kickstarterページ
http://kck.st/JL46UF
・紹介映像(日本語字幕)
https://vimeo.com/41968653
・製品写真
http://syrp.co.nz/products/?lang=ja
彼等の志にシビレた。やりたいではなくて、提供したいという気持ちに彼等の実力や経験がフィットし、長い時間をかけて苦労しながら製品として結実していった。当然、いいものが生まれると思う。クラウドファンディングの支援者はお金を出す以上、選ぶのも真剣だ。ニーズに応えるものを必死で開発する人には、それなりの対価を払うほうが自然だと体感しているのだろう。
8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。TechWaveでは創出支援に注力。個人テーマは「ビットxアトム」