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「モノの百科辞典をつくりたい」そう話すサマリー(Sumally) CEO 山本憲資氏は元編集者。ビジネスからファッションまでをも網羅する「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)からスタートアップへと舵を切った。編集とスタートアップはという共通項があると彼は言う。
「ビジョンを共有してベストキャスティングすることが編集では最も大切。今も編集者の感覚でサービスを開発している」と話す山本氏のキャスティング能力は突出している。
例えばサイトの開発では、有名ウェブデザイナー中村勇吾氏の理解を得て、彼の下でUNIQLOOKSなどを作ってきたデザインディレクターの大輪英樹氏とエンジニアの北村慧太氏らがサマリーの開発に関与。後に北村氏はサマリーのCTOとして参加することになっている。
さらに、スタート時に、インフルエンサー100人からアイテム5000点を借りてアイテムを追加。ブランドページなども50以上 (現在はNTTドコモ、リーバイスなど拡大)提供するなど、スタートアップとは思えないレベル感で2011年11月28日サービスがスタートしている。
そんなサマリーは2012年9月14日を払込期日として、アント・リード 2 号投資事業有限責任組合、アント・リード・ グローバル投資事業有限責任組合およびオプトを引受先とする合計約1億5000万円の第三者割当増資を実施した。
オプトの発表によれば、サマリーをO2O(オンライン トゥ オフライン)市場への本格参入の一環として期待しているという。
ソーシャルメディア上の外商
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サマリーは、プロダクト・アイテムの情報と、それに対するユーザーの興味・関心を核にしたSNS。サマリー内のソーシャルグラフに流通するアイテム情報に対し「want it」や「have it」といったリアクションをすることで、連鎖的に波及すする仕組みで、新しいアイテムを発見したり、同じアイテムに関心を持つ人との接点を得たりすることができる。
「好きな有名人が持っているアイテムを欲しいと思うとします。サマリーではそのまま有名人の持ち物一覧から、そのままNIKEやWalmartといった販売元が直接モノを売ることができます。
これまでのECは商品をゴザに並べて人に見にきてもらう仕組みですが、サマリーではソーシャルグラフで波及するアイテムページ上で外商のように売るのです」(山本憲資氏)
サマリーは、こういったソーシャルグラフ上に流通するアイテム情報を軸にECや実店舗の在庫情報連携といった展開を考えており、オプトはO2Oマーケティングにおける有効な集客装置になり得ると判断したようだ。
以下は、2011年12月に開催されたIVS (Infinity Venture Summit)の目玉プレゼンイベント「Launch Pad」に山本憲資氏が出演した際の模様。
強い思いのあるコアなコミュニティをつかむ
現在、サマリーはユーザー数もアクティブ率も右肩上がりで成長中。それに伴いブランドページも増えている状態。現在最も注視しているのが「コミュニティとして大きくすること。ユーザー数とアクティビティ数のかけ算で算出される大きさに気を配っています」と山本氏は話す。
「ユーザーは7万人。まだ、それほど大きなユーザー規模ではないのですが、人が増えた時に回っていく仕組みを作るために、サイトの作り込みにはかなり力を入れています。
例えばサインナップのフローだけでも4、5回改善しています。ボタンが何色がいいのかといったレベルから、独自でA/Bテストをしながら最適な解を求め続けている状態」。
ただ、インタレストグラフ(興味関心ベースの人間関係を中心とした概念)のサービスにはプレイヤーが多い。競争優位性を発揮するための施策はあるのだろうか。
「スピードで先行するのはもちろんなのですが、国内においてはスタート時も今も同じ土俵にいるライバルはいないと思っています。似たものはありますが、DAUが極端に少ないとか、コミュニティがスケールしないような状態になってしまってたり。
コミュニティ感の無いサービスにはユーザーはついてこないと思うんです。インタレストグラフならなおさらそう。ただ人が集まっているではだめ。ビジネスマンが、書店で平積みされているスティーブジョブスの本に「関心を持って読んでます」という情報は価値がゼロなんです。
ですから特定のものに対して、特定の強い感情を持っているという人達のコアなコミュニティを抑えて広げていくというアプローチを取らないといけない。ファッションやカルチャーに造形が深い人達をライフスタイルという切り口で広げていくというアプローチを取るというサービスは、海外でPinterestが似た方向に急成長してきてインタレストグラフ領域では脅威になっています。
ただ、Pinterestのブレイクは、インタレストグラフのサービスが世界で通用するということを証明してくれたという意味で、感謝しているというか、やりやすくなったなと感じています。それ以外では世界では「The Fancy」や「Svpply」は競合として認識しています」(山本氏)
収益化は次の次のステップ
山本氏は「サマリーは国内でも500万人はいけるだろうと思っている」と言う。しかし、濃いコミュニティをそこまで成長させることは可能なのだろうか?
「根拠としては2つあります。まず、ファッション通販「ZOZOTOWN」のユーザーが500万人であること。ZOZOTOWNのユーザー全てが洋服をすごく好きというわけではないですが、それくらいおしゃれな洋服を購入しようと思っているような人はサマリーでも同じようにカバーしていきたいと考えています。
もう一つはイラストコミュニティ「PIXIV(ピクシブ)」が500万人に達成したことです。あの密度で500万人はすごいことだと思うんですね。だからサマリーもこの500万人という規模は目標していきたい」(山本氏)
今回の増資はまもなく公開する売買機能の公開につながっている部分もある。しかし、収益化を急ぐことはなく、ビジョンを明確にしたまままずはコミュニティの内容と規模に注力したいということで、山本氏の考えはぶれない。
「マネタイズにつては、もしかしたらサブスクリプションやフラッシュマーケティングがいいかもしれない、giltみたいなやり方がいいのかどういうアプローチがいいのかは試行錯誤するしかないと思っています。あのPinterestでさえブレイクするまで数年がかかっているわけで、当面はユーザー数が20倍、30倍に拡大していく方向でいきたいと思います」。
サマリー:オフィスは東京・表参道の一軒家
そんなサマリーについて簡単に紹介。オフィスは、表参道にある一軒家。中村勇吾氏のオフィスも近く、感度が高い人達の集まる地域だけに、良い影響を受けながらサービス開発に余念がない。
山本憲資(Sumally President and CEO)
Sumally CEO。 一橋大学商学部卒業。大学卒業後、電通に入社。その後コンデナスト・ジャパンに転職し、雑誌「GQ JAPAN」にて編集者に。2009年9月にコンデナストを退社。翌年4月、「Sumally」を設立。北村慧太(サマリーCTO)
1983年生まれ。高校中退後、株式会社ビジネス・アーキテクツに入社。その後米国留学を経て2004年よりデザインスタジオ「tha ltd.」に設立メンバーとして参加。2007年から始めたイメージブックマークサービス FFFFOUND!は、デザイナー向けのコミュニティとして世界中のユーザーから圧倒的な支持を得ている。主な受賞歴に、文化庁メディア芸術祭、東京インタラクティブアドアワード、ARS Electronicaなど。
エンジニア募集とのこと
モノ百科事典を目指すSumally、創造力のあるエンジニアをWant! by 株式会社サマリー
https://www.wantedly.com/projects/1273
【関連URL】
・Sumally (サマリー)
http://sumally.com/
・欲しいモノ・持っているモノでつながるSNS『Sumally』、総額1.5億円の第三者割当増資を実施。
http://news.livedoor.com/article/detail/6960386/
・IVS2011Fall「LaunchPad」審査結果発表! #IVS
http://techwave.jp/archives/51717846.html
「ビジョンを共有してベストキャスティングする」その一言がサマリーの未来を占っていると思う。あの人気サイト「FFFFOUND!」の北村氏がインタレストグラフのサービスを開発をしているというだけでも興奮してしまう。山本氏はさらにいくつもの刺激的な施策を描いているわけで、今後の展開に期待しないわけにはいかない。
夢を叶える技術者。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップ・マーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」執筆中)。書籍情報・ 詳しいプロフィールはこちら