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世界で突き抜けるLINE、 舛田淳 氏が最も大切にしてきたこと 【@maskin】


[読了時間: 2分]

 LINEのスマホコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」のユーザー数が2013年11月25日、全世界累計で3億ユーザーを突破した。

 サービスインからたった2年半での快挙。日本IT業界の金字塔を打ち立てたLINEは、今後日本発世界に駆ける最先鋒としてさらなる成長に向け加速している。

 そんな彼らを、ありていなIT成功者のように、怖いもの知らず、大胆に数字だけを追うイケイケな人達と見る目も少なくないが、企画段階から取材している筆者は、彼らから「これで成功」といった強気な言葉を聞いたことがない。

 ではなぜ、LINEは1億達成後も成長し、今さらに伸びようとしているのか。そのヒントとなる言葉を、3億突破セレモニーの壇上で得ることができた。LINE事業責任者として構想段階からプロジェクトをリードしてきたLINE 執行役員 / CSMO 舛田淳 氏のスピーチをお伝えしたい。


LINE 執行役員 / CSMO 舛田淳 氏。苦節を経た偉業達成に思いをめぐらせる





 「1億を達成した時に示したのは「世界への挑戦」という話でした。実際に、1億から3億に進むにあたって、世界への挑戦をしてきました。

 LINEは順風満帆のように見えるかもしれないけれど、実際のところは毎日毎日、悩んで、壁にぶつかって、泣いている人もいて、その中でなんとか3億を達成することができました。

 この3億という数字。簡単にいうと “3億” というただの数字ですが、この中には一人一人別々のストーリーがあります」(舛田氏)。


LINEには一人一人のストーリーがある

 「先日、CMなどで使用するために、タイのユーザーに対しLINE利用のストーリーを募集したんです。

 私が嬉しかったのは、応募して頂いた多くのLINEストーリーが「愛」に満ちあふれていたことです。

 家族愛であるとか、友達であるとか、そういった身近な人達との愛にあふれたストーリーが非常に多かったのです。

 もともと、LINEを作る時、2010年末の段階でどういうサービスを作成しようかと考えていた時点では、企画担当(稲垣あゆみ 氏)には「コミュニケーションをやろう、スマートフォンでね」といったオーダーしかかけていませんでした。

 その中で、私達が導き出したのは、今までのインターネットサービスとは違うことをやりましょうということでした。他のサービスがいる場所ではなくて、私達は違ところである。そこが「身近な人とのコミュニケーション」でした。

 そして、3.11 東日本大震災が発生。社会的にも “絆” という言葉が大事にされる中、私達にもできること、ということでLINEというサービスをリリースしています。それが日本、そして世界中にサービスが拡大し、3億の絆、3億のストーリーが今、私達が提供するサービス上で繰りひろげられている状態にあります。

 社員の皆さんには、このことをモノ作りをする時も意識をしてもらいたいです。3億という数字は、漠然とした数字ではなく、この中には、毎日毎日いろいろな人達が、いろいろな思いを込めてコミュニケーションをしている、ということを引き続き意識をしながら、モノ作りをしていってもらいたいと思います。

 森川社長からは「次は5億」という宣言がありましたが、同じように5億のストーリーを私達はどうやって届けるのか、ゲームもスタンプもインフラもそうです。全ての面で意識をしながら、世界にチャレンジをしていってもらいたいと思います。

 私達は今、歴史を作っている最中にあります。これは間違いないことだと思います。

 ただ、歴史を作るにも、どうやったら歴史が作れるかなと思うことではなく、毎日毎日今この瞬間に自分達ができるベストなこと、自分の枠を一歩でも越えてチャレンジすることで歴史は作られると思います。みなさんだったらできると思います。

 1億達成の時はみなさんのことを世界一のチームだといいましたが、さらに誰も追いつけない、素晴らしいチームを作って下さい」(舛田 氏)。


LINE成長の歴史

(2013/11/25現在)
・2010年10月頃 ぼんやりと議論がスタート
・2011年3月11日 東日本大震災
・2011年4月に企画スタート、UIデザインから詰めていく。コンセプトには311の絆が影響
・2011年6月23日サービスイン、「ほとんどの人がピンときてない」状態
・2011年7月15日 NHN Groupとして初の日本初の世界展開アプリに
・ 2011年9月末 100万ユーザー、女性7割。日本以外の国、中東、韓国、アメリカ、アジア、欧米圏でダウンロード数が急増している状態。
・2011年10月4日、3Gでも使用できる無料通話機能リリース、スタンプ機能もこの際実装。プラットフォーム化を明言。
・2011年10月14日、200万ダウンロード突破
・2011年10月17日、300万ダウンロードを達成した
・2011年10月19日、まさかのiPhone版のダウンロード停止
・2011年11月1日、iPhone版App Storeでの公開再開
・2011年11月8日、500万ダウンロードを達成(世界108か国に利用者)
・2011年1月1日、 NHN Group合併
・ 2012年1月17日、1500万ダウンロード
・2012年3月5日、2000万ダウンロード
・2012年3月7日、PC版とタブレット版がリリース
・2012年3月27日、2500万登録ユーザー突破(ダウンロードという表現から登録ユーザーという表現方法が変更されている。フィーチャーフォンも増加(全体の5%)しているため)。
・2012年4月18日、3000万ユーザー突破
・2012年4月26日、スタンプショップ開設出だし好調
・2012年4月13日、LINE CameraがAndroid版から公開開始
・2012年5月10日、LINE Cameraが500万ダウンロード突破
・2012年6月6日、世界4000万ユーザー突破(国内1800万人)
・2012年7月3日、プラットフォーム事業展開を発表「Hello, Friends in Tokyo 2012
・2012年9月10日、世界6000万ユーザー突破 (国内3200万)
・2012年11月15日、世界7500万ユーザー達成、国内3400万
・2012年11月、iTunes App Store および Googl Play双方で売上世界トップ (AppAnnie)

・2012年12月 ビジネスアカウント「LINE@」開始予定
・2013年1月 LINE (ライン)が遂に1億ユーザー突破
http://techwave.jp/archives/51776594.html
・2013年5月1日 LINEの成長スピードがさらに加速、1億5000万ユーザー突破
・2013年7月21日 2億ユーザー突破
・2013年11月25日 3億ユーザー突破


【関連URL】
・LINEが3億ユーザー突破、成長加速で2014年にも5億を射程に 【@maskin】
http://techwave.jp/archives/line_300mil.html
・日本IT業界の金字塔、 LINE (ライン)が遂に1億ユーザー突破 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51776594.html
・「ほとんどの人がピンときてなかった」LINE、世界2500万ユーザー突破の軌跡【増田(@maskin)真樹】
http://techwave.jp/archives/51711652.html

蛇足:僕はこう思ったッス
2011年4月。初めてLINEの企画の話をきいた時のことをよく覚えている。複数あるアプリ企画の一つで、地味といえば地味なアイディアだったのだが、ユーザー一人一人のストーリーを強く意識し、それを次期インフラとなるスマートフォン上で展開するという話に僕は興奮していた。
奇抜な企画ではなく、機能面での優位性ではなく、ユーザーのストーリー。しかも、世界に横たわるSMS/MMSを筆頭としたコミュニケーション問題を解消できる。世界に普及できるだけの、プロジェクト編成でサービスを創造している点など、まさに「日本発のイノベーティブスタートアップだ」といったことを僕自身彼らに発言していたと思う (たぶん、チームの方より僕のほうが興奮していたように思う)。
舛田さんが「ユーザー一人一人のストーリーを大切に」という発言は、当初からまったくブレていない。だからこそ、ベッキーが泣きながら友達とだべるCMが出てきたわけだし、現在の利用者もそういう思いで使いこなしていると思う。3億という節目で、原点回帰のようなスピーチになったことにとても感動したし、今まさに世界展開へのスタートラインに改めて立ったと理解してもいいと思う。

セレモニーを前に。ふと、本田技研創業者の本田宗一郎の言葉を思い出した。「差ではなく、違いで勝つ」。LINEは独自の世界観でもう一つのインターネットを構築しようとしている。すでに3億を達成し、その実現はリーチ状態となったといえるだろう。5億を達成するのは時間の問題で、そうなれば、日本が主役となったあたらしいコミュニケーションインフラが世界に浸透することになるだろう。今、当初の想像を越えたところに彼らはいるが、ブレない心がある限りコントロール不能におちいることはないように思う。

著者プロフィール:TechWave 編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング → 海外技術&製品の発掘 & ローカライズ → 週刊アスキーなどほとんど全てのIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSのサービス立ち上げに関与。坂本龍一氏などが参加するグループブログ立ち上げなどを主導した。ネットエイジ等のベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。生んでは伝えるというスタイルで、イノベーターを現場目線で支援するコンセプト「BreakThroughTogether」でTechWaveをリボーン中 (詳しいプロフィールはこちら)

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