日本語対応キンドルの実力はいかに? 第一印象は「◎」 【増田(@maskin)真樹】

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 先日、Techwaveで報じた通り、米Amazon.comは8月26日、日本語表示に対応したキンドルの新モデルの出荷を開始した。発売直後から売り切れとなる人気ぶりで、記事執筆時の納期はおよそ2週間前後となっている。

 筆者の所に「Kindle 3G+WiFi」モデルが到着したので、開封から日本語表示、ウェブブラウザのテストなど通じ、気づいたことなどをお伝えしようと思う。

 ちなみに上の写真は開封直後のもの。「充電して」といった内容のメッセージがディスプレイに貼り付けてあるが、実はこれ透明シートに印刷されたものではなく、キンドルが表示している。キンドルの電子ペーパーは、一度表示した映像は、電池を消費することなく表示し続けることができるのだ。




ファックスと同程度の描画品質

 出荷時に表示されている告知を部分を接写するとこのような感じ。よくみるとジャギーがあり、本の先鋭さには届かない。ファックスと同じようなクオリティだ。

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 表示は「画面」というよりは「紙」という印象が強い。例えば、画面を限りなく側面から見てみても、“印字”された文字はくっきりした状態で確認できる。

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文庫本よりちょっと大きい

 今回入手したのは6インチモデル。下の写真の通り、新書の本より一回り大きい印象だ。重量は正確に計測してないが、若干は重いように感じる。

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 手に取るとその手頃感がわかる。小さ過ぎず、大き過ぎず、コンテンツを見るのにベストフィットという印象を受ける。

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 iPhoneと並べると、ディスプレイの特徴の違いが良くわかる。バックライトの無いキンドルは、暗い場所では視認できなくなるが、光らない分、目が疲れにくい。

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日本語ファイルを表示!

 次は日本語の表示をチェックしてみよう。キンドルをUSBでパソコンに接続すると「ストレージモード」になる。ディレクトリに直接アクセスできるので「documents」フォルダに日本語のファイル(テキストファイルやPDFファイル)をコピーする。

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 初めの1本は、テキストファイル。書きかけの文章で、編集用の記号などが入っているが、段落さえ分かれていれば十分読みやすい。

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 テキストファイルの場合、文字サイズは8段階に変更できる。

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 次はPDF。先日WISH2010でも大賞を受賞したpaperboy&co.の「ブクログのパブー」で公開されているFLOP DESIGNさんによるエッセイ「デザインでいっぷく~デザインの落とし物」のPDFファイルを読むことにした。

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 文字が小さ過ぎるのでPDF拡大機能(150%、200%、300%)で3倍に拡大してみる。十分大きくなりゴシック系の日本語フォントの美しさがよくわかる。

 ただキンドルの動作自体がサクサクしているわけではないので、拡大縮小時の切り替えが少々億劫だ。キンドル向けにコンテンツを作成する場合は考慮した方がよさそう。

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(追記) 当初「PDFファイルには日本語フォントのサブセットを埋め込む機能があるが、今回は利用しないファイルを選択した」と書いたのですが、このファイルにはIPAフォント等が埋め込まれていました。

 次は、NTTドコモさんのIR資料として公開されているプレゼンテーションスライドを表示させてみる。(こちらも一部フォント埋め込み)

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 非常に良い再現性能。ただ、横でみる資料なので、縦ディスプレイにはフィットしない。そこでキンドルの回転機能を利用する。

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 ご覧のようにジャストフィット。キンドルは、プレゼンスライドPDFのストック&閲覧に最適ではないだろうか。

 Amazon.comストアには日本語のコンテンツがないので、今回はPDFやテキストファイルなどをチェックした。PDFにはレイアウト情報があり、スライドみたいな1ページ簡潔ものはフィットするが、それ以外では必ずしもキンドルには最適ではないケースもある。そのため大量の文章を読むにはテキストファイルが最適と感じた。

日本語のウェブブラウズ

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 上の写真がTechwaveのサイトをオープンしたところ。モノクロなのはやむを得ないが、表示が崩れたりすることはなく完璧だった。

 今回テストしたのは3G回線。もともと電子ペーパーの描画速度はとても遅いので、ウェブ表示やTwitterなどの利用はあまり期待していなかった。しかし、テキストを読むための機能があるなど好感が持てた。それが以下の部分、「Article Mode(記事モード)」というものがある。

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 切り替えると、レイアウト情報や画像や広告をカットし「文章」だけを表示してくれるので、長い文章でも読みやすくなる。

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 切り替えスピードは高速ではないので、サクサク読み進むわけにはいかないが、今後期待できる機能だ。この「ウェブ」→「記事モード」の切り替えスピードなどを体感頂くためにムービーを撮影してみたので参考にして欲しい。

まとめ Amazon.co.jp対応はいつ?

 みなさん気になっていた日本語についてだが、表示については問題はないと言っていいだろう。ただ、現時点ではフォントは1種類しか確認できておらず、この点、何種類か選択できればと感じている。

 さて、Techwaveではこれまで何度も日本語対応キンドルについてお伝えしてきたが、キンドル専用の3G回線については詳しく述べてこなかった。世界各地で無料で3G通信が使えるというものだが、自ら確認が取れなかったのであえてお伝えしなかったのだ。

 そこで実際、パッケージを開封し確認をしてみたが、設定不要ですぐに3G通信が可能となった。日本国内ではドコモ回線を使ったサービスとして利用できるらしい(ローミング)。

 ウェブの機能が実験的なものだとはいえ、無料で3G通信が使えるというのはすごいことだと感じた。いつでもAmazon.comでコンテンツを購入できるし、パソコンで購入したキンドルコンテンツも自動でシンクロされる。読書以外で面倒なことを考える必要はほとんどないというのは素晴らしいことだ。(この手のグローバルサービスは、突然中断することも多いのだが、日本版キンドルサービスがスタートしたした際も継続して欲しいものである)

 そう、日本語対応キンドルに触れ感じたのはこのデバイスで本を沢山読みたいということ。Amazon.co.jpでキンドルの日本語コンテンツの扱いを初めて欲しいと強く思った。デバイスにフィットしたコンテンツが流通することが、AmazonDTPの成功につながるわけで、その時こそがキンドルの本領発揮となる。

 筆者の憶測だが、Amazon.co.jpでのキンドル対応はもう間近だと思う。だって、ストアのトップに米キンドルの広告を何ヶ月も掲示するのには、当然何らかの理由があるからだ。2010年クリスマスは「日本版キンドル」一色に染まると考えてもいいように思える。

■ 関連URL
・Kindle 3G Wireless Reading Device, Free 3G + Wi-Fi, 6″ Display, Graphite, 3G Works Globally – Latest Generation
http://www.amazon.com/Wireless-Reading-Display-Graphite-Globally/dp/B002FQJT3Q/
・ブクログのパブー
http://p.booklog.jp/

著者プロフィール:増田(maskin)真樹twitter:maskinmetamix)

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 アスキーのApple系雑誌でライターデビュー。1990年より執筆およびネットメディアクリエイターとして活動を開始。週刊アスキーを初め、日経BP、インプレス、毎日コミュニケーション、ソフトバンク、日経新聞など多数のIT関連媒体で活躍。
 独立系R&D企業のマーケティング部責任者として教育・研究開発向け製品の輸入企画や開発、マーケティングに関与。専門家向けプロショップ運営。雑誌ライターとして90年代を疾走後、シリコンバレーで証券情報サービス立ち上げに参画。帰国後、ネットエイジでコンテンツディレクターとして複数のスタートアップに関与。関心空間、富裕層SNSのnileport、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。
 現在、TechWaveのスタッフライター1号機として活動する他、書籍などを中心に執筆活動を展開。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。スタートアッププロジェクトのアドバイザー等として活動する。ソーシャルメディアやブリック&ブロックのプロ。書き手として、また実業家として長年IT業界に関わる希有な存在。詳しいプロフィールはこちら

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭から国内外のソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを経験。。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、ネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。直近では通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のIT系メディアであるスペインの「Softonic」に参加後、2016年からTechWave第三章として新興メディアの開発を再スタート。国内最大規模のスタートアップ&B2Bイベント「アプリ博」のオーガナイザー。

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