「GODJ Plus」日本最高額に挑む被災地からの絆、日本のモノづくりの未来への希望 【@maskin】

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 モノ系クラウドファンディングの日本最高記録となる支援総額4000万円超を目前に、「GODJ Plus」の開発者でありプロデューサーであるJDSound代表取締役社長 宮崎晃一郎 氏は言った。「できることならば、被災地の人との縁の中でやりたいんです。“東日本大震災の被災地” 産として、世界で評価されるプロダクトを出荷したい」。宮城県石巻市にあるヤグチ電子工業への向かう車中だった。

そこは、ソニーウォークマンを製造する工場だった

 宮崎晃一郎 氏自身も以前勤めていた職場を東日本大震災で失っていた。当時の職場が被災、宮城からの撤退が決まる中、ここに残り起業することを決めた。地域の大学と連携し、この場で人材を集め、自身も開発者として宣伝塔として国内外を駆けめぐっていた。

 ヤグチ電子工業との出会いは、こうした被災地をより強く復興していこうとする人達との関係の中で生まれた。

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 石巻市の港から少し離れた場所にあるヤグチ電子工業の本社兼工場は、光輝く美しい田園風景の中にある。周辺には世界的な工場が点在するが「あの工場は津波で流されたんだよね」などという話もしばしば耳に届く場所だ。

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 この場で工場が稼動し初めたのは昭和49年。平成2年に体制が変更されたが、当初からソニーのウォークマンなどフラッグシッププロダクトの製造を続けてきた場所だ。品質の高さから何度も表彰されてきた、たった25人の会社とは思えない少数精鋭で構成された、突出したマンパワーを誇る工場と言えるだろう。

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最後まで作りあげようという情熱を

 JDSound 宮崎氏とヤグチ電子工業 取締役工場長 佐藤雅俊 氏のやりとりは、まるで熱意あふれる十代の学生のようだった。

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左からヤグチ電子工業株式会社 、取締役工場長 佐藤雅俊 氏、JDSound 宮崎晃一郎 氏

 「GODJ Plus」に搭載する予定の音圧がある高品質のスピーカー。軽量かつコンパクトながら音を出すとテーブルから飛び上がるほどのパワーがある。「これを、どうGODJ Plusのコンパクトな筐体に収めるか」という大きな課題に向きあっていた。飛びかうアイディア。いきなりソファーを立ちあがり、ホワイトボードで議論をし始めたかと思えば、それを上まわるアイディアを書きとめたノートやPC内の設計データを取り出して、目をみはるスピードで製品の完成イメージができあがってゆく。

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 難しい「GODJ Plus」の製造。やってみないとわからない部分もあるのも事実。しかし「手ごたえのある良い仕事ができる」と目を輝かせながら取締役工場長 佐藤雅俊 氏は言う。

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ヤグチ電子工業株式会社 取締役工場長 佐藤雅俊 氏

「最後まで作りあげないと、信頼なんてないと思うんですよ」。

 その子供のような目の奥底には、かつてソニーウォークマンなどを作りあげてきた自信と、ここに生まれようとしている世界レベルのプロダクトに関与できるという興奮が見え隠れしている。

「夢を追う人」全てが変わった震災後

 

 震災後、ヤグチ電子工業の周辺は全てが変わった。これまでの仕事も人の流れも今までまったく経験したことのない状態になったという。

 「これまでは新しいモノを作ろうと考えても、販売チャネルがなくては実現できないよね、というのは当然の発想でした。ところが、震災後、今まで交流がなかった人とも “復興” という名で出あえるようになってきました。この石巻でこれを作りたい、こういうことができないかという依頼が飛び込むようになりました。そこに復興支援予算が付き、背中を押してもらえるようになったわけです」(営業部長 本田裕二氏)。

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ヤグチ電子工業株式会社 営業部長 本田裕二 氏

 「ただ、だからといって何でもやればいいという話ではありません。困難な案件をやり切る工場長と企画を通してくれる社長がいる。この二人がいるからこそ、外部パートナーとの信頼を得て新しいことができる。

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ヤグチ電子工業株式会社 代表取締役 渡邊俊一 氏

 今、当社の経験と技術的優位性、アイディアマンやコネクターの力が最大限に発揮され、外部のいろいろなパートナーとどんどん連携できる。すべてが一つにまとまり、売上げもあがる製品を企画から関与できるようになってきたんです」(本田氏)。

 JDSound 宮崎 氏から「GODJ Plus」クラウドファンディングがモノ系の日本最高額をクリアできるかもしれない点、それがうまくいけば次は海外へという話を聞かされると、ヤグチ電子工業 代表取締役 渡邊俊一 氏をはじめ、笑顔と共に「しっかりやらないといけないな」と表情が引き締まる。

 「GODJ Plusで日本記録達成時には、支援者を石巻に呼んで授与パーティをやりましょう!」と宮崎氏が提案すると、ヤグチ電子工業のキーマン達はちょっと照れながらも希望に満ちた表情を見せてくれたように思えた。

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左からヤグチ電子工業株式会社 取締役工場長 佐藤雅俊 氏、代表取締役 渡邊俊一 氏、JDSound 宮崎晃一郎 氏、ヤグチ電子工業株式会社 営業部長 本田裕二 氏

【関連URL】
・GODJ Plus | Makuake
https://www.makuake.com/project/go-dj-plus/
・もはやスタバでMacは古い「GODJ Plus」を抱えて街へ出よう
http://techwave.jp/archives/godj-plus-crowdfunding-on-makuake.html
・ヤグチ電子工業株式会社
http://www.yaguchidenshi.jp

蛇足:僕はこう思ったッス
maskin2011009rev.fw クラウドファンディングプロジェクトはあと数日。2016年5月末が締切だ。モノ系クラウドファンディングの日本トップ記録は、つい先日樹立された(「仏人創業者も興奮「なぜしっかり者の日本人に支持される?」、日本1位を記録した「Wistiki(ウィスティキ)」=紛失防止デバイス【@maskin】」)が、「GODJ Plus」はそれに届くのか。

最近のモノ系事業は、おそろしく敷居が低下してきた。もはや初心者でもモノプロダクトを誕生させられる時代。しかし、最終的にパートナーとの信頼、顧客との信頼をどう構築できるのかを考えた時。このプロジェクトに期待せざるを得ない。日本の技術者は、低いコストで他国に負けているという認識が支配的だが、「実際、日本の各地域で見積りを取ってみると大差はない状態なんです。製品の信頼度や完成度、約束を上まわる品質で完成させてくる信頼度を考えると日本にこだわらない理由はありません」(宮崎氏)という話だ。海外のモノ系技術者やメディア関係者などとにきいてみても、やはり日本人の品質にこだわる意思や能力は高いといえる。

不足しているのはプロデュース力やチーム、業界や国をあげて支援する人の力だと思う。「GODJ Plus」は優秀な技術者であり、かつ日本生産にこだわる宮崎氏の理念、そしてそれに共鳴してエンパワーされていく日本の手練たちによって形作られた、日本にとってのフラッグシッププロジェクトになると確信している。どうか、みなさんの手で、夢を実現させてもらえればと思う。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭から国内外のソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、ネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。直近では通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のIT系メディアであるスペインの「Softonic」に参加後、2016年からTechWave第三章として新興メディアの開発を再スタート。国内最大規模のスタートアップ&B2Bイベント「アプリ博」のオーガナイザー。
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