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社会の変容にともない、働き方の多様化が加速している。
1990年代後半にパソコン&インターネットの登場によってSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)が注目されたがその時代との異なる点は、ITおよびコミュニケーションインフラが浸透している点、価値観そのものが多様化し、それを認める社会的構造が生まれている点だ。
特に注目されているの不特定多数の人に業務を依頼する労働形態「クラウドソーシング」(CrowdSourcing)。住んでいる地域や会社に依存しない、優れたスキルを持った労働者をマッチングすることで、画一的な対内外業務フローを打破する可能性があると期待されている。
そんな中、大手のクラウドワークスは2014年6月2日、モノづくりに特化した新メニュー「メイカーズワークス」を開始する。企画から設計、検証、販売までを支援してゆく。
「メイカーズワークス」の可能性
急に大きなブームとなった「メイカーズ」。ブームに乗っただけで電子工作の範疇を出ることがない人が大半、これまでハードウェア(モノ系)領域において新規事業などを苦労して手がけてきた先駆者には追い風となっているが、製造や設計、回路や生産、流通などで活躍してきた人々にとってそのスピード感を享受することは難しい。
「メイカーズワークス」は、製造業・建設業に携わる事業者とプロダクトデザイナーや機械・回路などの設計者といったモノづくりにかかわるスキルを持つ全国のフリーランスとのマッチングの機会を提供することで、労働機会を創出しようとするものだ。
名称: メイカーズワークス(Makers Works)
ページ: https://crowdworks.jp/makers/
内容: リアルなモノづくりプロセスを支援する、クライアントと人材のマッチングサービス
利用方法: クラウドワークスへのアカウント登録で利用。Yahoo! JAPAN ID、Facebookアカウント、Google+アカウントでも利用可能
今後の計画について(原文まま)
今後メイカーズワークスは、企画・設計・検証・販促など、モノづくりにまつわるあらゆる業務をカバーするクラウドソーシングプラットフォームとして、順次拡張してまいります。
(1)対応するプロダクト領域、モノづくり関連のスキル・業務を順次拡充いたします
メイカーズワークスでは、モノづくりに関連するスキル・業務を順次拡大。製造業・建設業の視点に立ったカテゴライズで分かりやすく提示し、クライアントとスキルを持つ人材のスピーディなマッチングを支援いたします。
当初は、既にお仕事依頼案件が多い雑貨・建築の分野を中心に、企画・デザイン、設計、販売に関する業務のマッチングを促進していきますが、順次、プロダクト領域とスキル・業務領域の充実を図ってまいります。
(2)モノづくりに関わるさまざまな事業者との提携の推進
全国には、独自の技術シーズを活用した商品開発を模索する企業や、商品アイデアをデザインやパッケージ、ネーミングなどで魅力的に昇華させたい企業が数多く存在します。「メイカーズワークス」では、製造業に携わる企業とのネットワークを持つB to Bコーディネート業者、クラウドファンディング事業者・団体などと提携し、それらの事業者の顧客・サービス利用者が16.5万人のデザイナーや技術者の力を活用できる体制を整備することを計画しております。
また、3DプリントサービスやOEM・EMSなどの製造施設・設備をもった事業者とも提携し、「メイカーズワークス」で試作・量産段階に至ったプロダクトアイデアの製造プロセスへの橋渡しを行うことを目指しております。
今後、「メイカーズワークス」では、スキルを持った人材とのマッチングだけでなく、こうした事業者と連携をすすめ、ものづくり全体を支援するサービス環境を整備してまいります。
クラウドソーシングは破壊者か?
クラウドソーシングには「結局、価格破壊をするだけなのでは?」という疑問がつきまとう。つい先日も某記者会見で同じ質問が飛びかっていたが、クラウドワークス 吉田浩一郎 氏はこんな風に応えていた。
「社会構造の変化にともない、クラウドソーシングにはそういった側面もあると思います。けれども、現在のやりかただけで、うまくいくのでしょうか?」。
確かに、前段で申し上げた通り、メイカーズブーム、組み込みブームが波に乗りつつあっても、既存の産業への影響は限定的。この波をうまくキャッチして、業界業種全体としての盛り上がりとして最大化するにはもっと別の取り組みが必要であることはある種明確になっている。
クラウドワークスは「メイカーズワークス」においてイノベーションを支援するということを明記している。「国内GDPの20%以上を占める製造業・建設業にリーチする」(プレスリリースより)ことで、日本の主力産業に大きなイノベーションを発生させる契機を与えようとしているのかもしれない。
クラウドワークスは2012年3月21日にクローズドβ版をローンチ。2014年5月までに累計で約3万社が発注し、会員は16.5万人。生活が不安定になりがちなフリーランスを支援すべく福利厚生プログラムを提供するなどしており、2013年6月の調査ではクラウドワークに登録して仕事を受けているシニア世代(50歳以上)の3分の1が、毎月20万円以上の収入を得るまでに成長している。
こうした動きを見ているとは、クラウドソーシングはSOHOでもなくバイトでもなく、新たな就労形態への礎と思えてくるが、今後どうなるか?注目してゆきたい。
【関連URL】
・クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」
http://crowdworks.jp/
・高齢者の新しい収入源として期待されるクラウドソーシング、クラウドワークスレポートより 【@maskin】
http://techwave.jp/archives/newsource_income_elderly_crowdworks.html
・クラウドワークス、正社員が利用している福利厚生をフリーランスに無償提供 【@maskin】
http://techwave.jp/archives/crowdworks_freelance_support.html
・コンペ形式は受託側にプラスとなるか? クラウドワークスもコンペ展開開始 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51771559.html
僕自身フリーランスであり、一時期はクラウドソーシングに大きな期待を寄せていた。ただ、当時、仕組みや構造に問題を感じていたのは事実。こんな記事を何度か執筆しているーーー「コンペ形式は受託側にプラスとなるか? クラウドワークスもコンペ展開開始 【増田 @maskin】」(http://techwave.jp/archives/51771559.html)。
クラウドソーシング全般を見てみれば、確かに特定の業種をまるごと奪ってしまう、業界を変容させるインパクトが存在する。とはいえ、それはインターネットやソーシャルネットワーク、スマートデバイスの普及がある上で当然発生しうる構造変化であり、クラウドソーシングがそれらを破壊して停滞させていると断定できないように思う。
確実に言えるのは、過去の就労スタイルに固執することは大きなリスクだということで、旧態依然と既得権益に固執すればあっという間に取り残されてしまう危険がある。「長年やってきた」「この領域での経験があるのに」「人とのつきあいがある」からと批判する人も大勢いると思うが、大いなる時代の変容にはさからえないと思うし、それを乗りこえてこそプロなのだと思う。