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米グーグルは9日、自律運転のできるロボット車の研究開発に取り組んでいることを明らかにした。すでにグーグルのロボット車は同社のシリコンバレー本社からロサンゼルスまでの自律走行に成功し、合計14万マイル(約22万5,000km)の道のりを「無人」運転してきたという。
「無人」と「 」でくくるのは、実際にロボット車が一般道路、高速道路で走行実験する際には、運転席に試験ドライバーが座り、問題があれば即座にハンドルを握られるようにしているためだ。助手席にはソフトウエアの担当者が座り、自律運転ソフトのバグなどをチェックする。車の速度を自動的に維持するクルーズコントロールとちょっと似ているが、何かあれば人間が運転の指導権を取り返すようにすることで、従来の道路交通法を守れるという考えだ。
このロボット車の技術は、過去に米国防省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)が開催した無人ロボット車のレースを機に、米国の大学などが開発した無人運転技術をもとにしている。グーグルは、砂漠の中の無人ロボット車レース「Grand Challenge」で優勝したスタンフォード大学のチームのリーダー、Sebastian Thrun教授をはじめ、模擬市街地におけるDARPAのレース「アーバン・チャレンジ」で優勝したカーネギー・メロン大学の研究者らを社内にそろえ、研究開発に取り組んできたのだ。Thrun教授自身がグーグルのブログで背景説明しており、同教授のグーグルにおける肩書きは「Distinguished Software Engineer」となっている。
やっぱり!というのは、GetRoboでは今年4月に、同教授が大学からサバティカルを取り、グーグルで働いていることをスクープしたためだ。そのときは仕事の内容を正式に確認することはできなかったのだが、それが今回明らかになったのだ。
ロボット車は移動しながら周辺環境を認識し、障害物を避けたり車線変更するためビデオカメラやレーダーなど多種多様なセンサーとコンピューターを搭載している。一番特徴的なのは、車のてっぺんでグルグル回転する高性能のレーザ・レンジ・ファインダという部品で、これがリアルタイムでの周囲のマップ作成に寄与している。スタンフォード大学のロボット車はフォルクスワーゲンだったが、グーグルではトヨタ自動車のプリウスを土台にした。グーグルのロボット車の写真はニューヨークタイムズの記事で見ることが可能だ。
これでグーグルが自律運転技術を非常に有望視していることは分かったが、同社が今後、それを使ってどのようにビジネスに活用するのかについては依然として不透明だ。Thrun教授はグーグルのストリートビューの開発に関わったことはよく知られており、それを組み合わせた新しいナビゲーション・サービスを提供するのか、あるいは自動車メーカーなどとのタイアップを考えているのか。
軍事用途を目的に開発が始まった無人ロボット車だが、米国の大学とグーグルのような民間企業との協力によって、今後は民生利用に向けて法的整備などが動き出すかもしれない。
著者プロフィール:影木准子
GetRobo(http://www.getrobo.com)発行人
GetRobo(http://www.getrobo.com)発行人
日本経済新聞社で13年間、記者として働く。うち1997-2001年の4年間は同社シリコンバレー支局勤務。現在はシリコンバレー在住のフリーランス・ジャーナリスト。コンシューマー向けロボットの開発・市場動向に最大の関心があり、この分野の米国を中心とした海外における最新情報を「GetRobo Blog」などで発信している。
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