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株式会社リクルートは、位置情報系アプリRecoCheck(レコチェック)を大幅バージョンアップしたと発表した。現在地周辺の情報をジャンルごとに検索できるほか、地図機能も大幅進化したという。
発表によると、駅、カフェ、バー、コンビニ、薬局、ホテル、公園など、ジャンル別に周辺スポットをワンタップで検索できるようになった。グルメ・ヘアサロン・ネイルサロンなど55,000スポット以上のお得クーポン・割引チケット情報も配信する。
また地図表示に切り替えると、選択したジャンルの周辺スポットがピンでドロップされ、現在地からの方角を知ることができるほか、「ここへ行く」ボタンを押せば、現在地から行きたい場所までナビ機能で道案内してくれる。スポットを「お気に入り」登録しておくことも可能という。
これはかなり便利になった。ジャンル検索や各種地図機能は、米国で人気のWHEREやGoogleプレイスには以前から搭載されている。なぜ今までレコチェックになかったのか不思議なくらい。レコチェックもこれでかなり使い勝手のいいアプリになった。
ただやはりGoogleはすごい。Googleマップ、ナビ、プレイスなどGoogleの位置情報系アプリは非常に便利。ピンチの動作で地図を拡大、縮小し、表示されている範囲内のみで店舗、施設を検索してくれる。音声で検索できるのもありがたい。レコチェックにはさらなる進化を期待したい。
一方でレコチェックにはGoogleにない強みがある。店舗情報や、55,000スポット以上のクーポン、チケットだ。Googleプレイスは便利なんだけど、店舗情報がスカスカの場合が多い。もちろんクーポン、チケットは、レコチェックと比べるまでもない。個人的には、これからGoogleの位置情報系サービスとレコチェックを交互に使うようになりそう。
前回6月のバージョンアップに引き続いてのバージョンアップ。リクルートもいよいよ本気になってきたということなのだろうか。
こうしたアプリはいわばリアルワールドの検索エンジンだ。オンラインワールドで検索エンジンが圧倒的な影響力を持つように、リアルワールドではこのような位置情報系アプリが圧倒的な影響力を持つようになる。多くの開発者がそのことを理解しているので、IT大手からスタートアップまで無数の企業がこの領域に参入して激しい競争を繰り広げているわけだ。
ただこうしたアプリは単体では事業として成立しづらい。この種のアプリにあったローカル広告の仕組みが、未完成だからだ。競合する位置情報系アプリが思うように広告収入を得られず苦戦する中で、レコチェックはリクルートがこれまで運営してきたグルメや旅行、ビューティー関連の各種情報サービスの窓口になるだけでその役割を十分に果たすことができる。米WHEREがeBayが持つ各種サービスの窓口になるのと同じような構図だ。そういう意味でレコチェックは非常に有利な立ち位置にある。(参考記事:O2Oの波④「攻めの体制整った」先陣を切ったeBayのO2O戦略【湯川】)
ただ恐るべくはさらなる先の未来を見定めて、利益度外視で攻めてくるところだ。国光さんの記事にあるように、次の時代の覇者は大量のデータを継続的に入手でき、分析できるところになる。検索エンジンがオンラインの大量のデータを蓄積できるように、こうした位置情報系サービスはリアルワールドの検索エンジンとして大量のデータの蓄積が可能。長期的ビジョンを持つ社は、目先のビジネスモデルを追求してこじんまりとまとまるのではなく、次の時代の覇権を取ろうとしばらくは利益度外視で大量のリソースを投入してくるに違いない。
そうした企業にリクルートは対抗できるのかどうか。覇権を取ればさらなる成長が見込めるし、取れなければコンテンツ提供者に成り下がる。地主になるか。小作人になるか。リクルートの未来は、レコチェックに対するここ1,2年の取り組み方に大きく左右される可能性があるように思う。