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[ロシア発] 6月、ロシア最大のシードアクセラレータ、インターネットイニシアチブ開発基金が、ロシア各地域へのスタートアップ投資の統計を発表した。 同基金は、合計367のスタートアップに32億ルーブルを投資し、そのうち約6億ルーブルの資金がサンクトペテルブルクの39企業に提供された。 同基金から投資を受けたスタートアップの数では、ペテルブルクはモスクワに次いで第2位である。
インターネットイニシアチブ開発基金のポートフォリオに含まれる、いくつかのペテルブルク企業は国内市場だけでなく、既に海外市場にも進出している。 スタートアップは、小中学生向けの金融サービスから、VRやIoTのソリューションまで幅広い。
ペテルブルクの企業は自動車産業に関連するスタートアップの数が多く、また、Eコマース分野でも多くスタートアップ企業が存在する。
サンクトペテルブルク発で、収益も順調に拡大している有名なプロジェクトは、「ロボットベラ」だ。従業員採用のためのこの人工知能は、ロシアおよびグローバル企業ですでに導入されており、現在、米国およびアジア市場に積極的に進出している。 2017年秋、このプロジェクトは、アムステルダムで開催されたHR Tech World 2017でロシアのスタートアップとしては初めて賞を受賞した。
同基金のポートフォリオの中には、サンクトペテルブルク発のDataMatrixもある。これは、Biotechnology Awards 2017によると、ヨーロッパで最高の臨床データ処理の企業だ。2017年の同社の収益は7000万ルーブルだった。
また、同じくポートフォリオ企業であるDocsInBoxはロシア全土の1,500以上のカフェ・レストランに対し、決算報告を自動化し、EGAISシステム(国家統一ITシステム)の作業を簡素化するためのサービスを提供している。
アクセラレーションプログラムに参加するチームを選定する際には、同基金の専門家たちは、ビジネス的な観点に加えて、その企業のポテンシャルとその技術が“disrupt”(つまり市場の原則とモデルを根本的に変える)かどうか、人々の生活とビジネスの質を向上させるポテンシャルを秘めているかを評価基準としている。
同基金は3億2,400万ルーブル以上を1つのプロジェクトに投資することはないとしている。 プレシードの段階では、一様に250万ルーブルが7%シェアと交換で投資される。
投資された資金は、同基金が開催するアクセラレーションプログラムへの参加費用(ポートフォリオ企業の95%以上同プログラムに参加する)と、ビジネスモデルの仮説検証のためのメンタリングにあてられる。著しく成長しているスタートアップはさらに2500万ルーブル程度の資金を調達する。
これらの企業には、サンクトペテルブルグ発のSinteka.Komplektatsiya、Last.BackendおよびTurbodilerが該当する。
【関連URL】
・[公式] インターネットイニシアチブ開発基金
・[記事] Business Peterburg
蛇足: 僕はこう思いました
ロシア最大のシードアクセラレーターであるインターネットイニシアティブ開発基金によるサンクトペテルブルクスタートアップへの投資案件が情報公開された。ファンド全体の投資件数のうち、50%程度がモスクワに投資されているが、逆に言えば残りの半分は地方に投資されている。以前から、モスクワはスタートアップの50%〜60%しかカバーしていないと視察にくる日本の方には説明していたが、地方で生まれたスタートアップがラウンドが進むにつれ、モスクワに集まっていくようだ。