テレビ視聴の未来は既に見えている=DivXなどが技術的問題を解決、あとはコンテンツ提供者だけ【湯川】

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 テレビ視聴の未来は既に見えているー。こんなことを書くと、わたしに未来を見通す特別な力があるように誤解されるかもしれない。そんな力はない。ただわたしは、多くの人が望む機能を実現しようと世界のどこかでだれかが技術革新を続けると信じていて、技術の未来とは多くの人が望む技術の実現とイコールである、と思うだけのことだ。

 そして実際にその未来が実現するかどうかは重要ではなく、その方向に向かって技術革新が続けれるということが、近未来を予測する上で重要だと思っている。

 まず究極の未来(多くの人が望む技術の実現)を想定し、その方向に向かう中での技術の現在地を確認する。この2つの点の間に、近未来が存在する。このような手法でこれまで技術の近未来を予測してきた。この手法のことは、3年前に出した「爆発するソーシャルメディア」という本の中に書いたし、当時「Googleは全知全能の神になる」というような主張が多かった中で、この手法に基づいてGoogleの時代の次にソーシャルメディアの時代がくると自信を持って断言した。
 さて同様の手法を使えば、テレビ視聴の未来を読むことも簡単だ。多くの人がどのような形でテレビを見ることを望んでいるのか考えればいい。

▼究極の未来は、オンデマンドでソーシャルな視聴体験


 テレビというと話がややこしくなるので、映像コンテンツという言葉に置き換えよう。

 多くの人はどのような形で映像コンテンツを見ることを望んでいるんだろう。好きな映像コンテンツを好きなときに、好きなデバイスでみたいのではないだろうか。消費者が作ったホームビデオのようなものだけではなく、画質のいいドラマや映画もだ。そうした映像コンテンツに関しての意見を友達と交換したい。離れた場所にいながら同じ映像コンテンツを見てチャットで盛り上がりたい。気に入った映像コンテンツを友達にも勧めたい。多くの人はこうした視聴の形を望んでいるのだと思う。つまりこうした視聴の形が、テレビの未来だと思う。

 こういうことを書けば、テレビ視聴はもっと受け身な体験だという反論がくる。熱心に視聴するのではなく、ただテレビをつけておきたい、というニーズもあるはずだという反論だ。確かにそういうニーズはあるかもしれない。でも多くの人がそういうニーズを持っているのならそういうニーズに応える技術が必ず生まれる。テレビのスイッチを入れるだけで番組を勝手に編成してくれる仕組みで、一人一人の視聴ニーズに近い番組だけを組み合わせてくれる場合や、自分では選ばないと思うような番組をたまに挿入してくる場合など、設定次第でどうにでもなるだろう。

 さてそれが未来の方向とすれば、現在地はどこだろう。

 既にその未来の形が実現しているという主張もあるだろう。例えばYouTubeがそうだ。でもコンテンツの多くは消費者のホームビデオのようなもので、すべてのテレビ番組や映画が高画質で見られるわけではない。すべてのモバイル機器でYouTubeビデオが高画質で見れるわけではない。

 ソニーやAppleなど、同じメーカーの機器同士でなら映像コンテンツのファイルをやり取りできるものもある。しかしそのためには、テレビ、デジタルビデオレコーダー、モバイル機器まで、1つのブランドのものを書い揃えないといけないのが現状だ。

 テレビ番組や映画、スポーツの試合なども含むあらゆる高画質の映像コンテンツをあらゆるデバイス上で、シームレスに共有、転送、再生できる状況を多くの人が望んでいるのである。

▼テレビの未来に向けた技術的問題は既に解決済み

 そうした視聴のライフスタイルを実現するための技術革新は確実に進んでいる。たとえばDivX(ディビックス)。DivXは、米カリフォルニア州サンディエゴに本社を置くDivX社の開発した映像コンテンツのファイル形式だが、もともと家電機器向けの用途にも力を入れているので、MicrosftのWindows Media PlayerやAppleのQuickTimeなどという再生ツール向けのファイルに比べて処理能力の低いデバイスでも再生できるのが特徴といわれている。

 DVDプレーヤーやブルーレイプレーヤー、デジタルテレビ、車載マルチメディアプレーヤー、ゲーム機など、これまでに世界中で市販されている2億5000万台のデバイスが、DivX形式の映像コンテンツに対応しているという。

 また最近では携帯電話の領域での普及も進んでいる。DivX社によると、DivXの認証を受けた携帯電話は60機種以上になっており、Googleが開発したモバイルOS「Android」を搭載したスマートフォンの4分の1はDivX認証を受けている。MicrosoftのモバイルOSや、Symbian OS搭載機にも、DivX認証機器が増えているという。

 DivX形式の映像コンテンツなら、これらすべてのデバイスで再生できるのだ。

 映像コンテンツの領域の市場規模が非常に大きいことは万人が理解している。テレビ、映画といった巨大産業の進化の先の市場だからだ。DivX認証機器の増加の背景には、その巨大市場をMicrosoftやAppleなどの特定の企業に牛耳られたくないという家電メーカーなどの思いがあるのかもしれない。

 DivXが普及していくことで、好きなときに好きな場所で好きなデバイスで映像コンテンツを消費するための技術的な環境は整いつつある。通信回線のブロードバンド化も進み、ファイルの圧縮能力も高まっている。「もはや技術的問題はすべて解決済みである」(米オンデマンド機器メーカー関係者)という意見もある。

▼ビジネスモデルを新しい時代に対応させれないコンテンツ提供者

 技術的問題が解決されたのであれば、何がネックになっているのか。コンテンツ提供者、コンテンツ流通業者である。テレビ局や映画会社が、オンライン上での新しいビジネスモデルを構築できないでいるのだ。

 コンテンツ提供者、流通業者が受け入れられるようなビジネスモデルをだれかが確立することに成功すれば、一気にテレビ視聴の形態が変わるだろう。

 ただわたしは、コンテンツ提供者、流通業者が受け入れられるビジネスモデルなどないと考えている。インターネットは流通業者などの中間業者を排除する仕組みだ。排除しない場合は、テクノロジーを駆使し、より効率のいい流通を可能にする新しいタイプの中間業者を生む仕組みである。

 テレビ局、映画会社が、新しいタイプの中間業者に生まれ変わることはほとんど不可能に近いと思う。新聞業界や出版業界と同じことである。

 テクノロジーを駆使した新しい中間業者と、コンテンツの製作者が結びつくことでしか、新しい時代はこないのではないだろうか。

【注意】
自分の中でもまだ十分にまとまっていない考えを書き散らしてみました。ご意見いただければありがたいです。

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