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ふりかえり2012年、日本が世界に再び大きな一歩を踏み出した 【増田 @maskin】


[読了時間: 2分]

 副編集チョのmaskinこと増田真樹っす。

 まもなく激動の2012年が終わります。みなさんの1年はどうだったでしょうか?

 TechWaveにおける私個人における注目点や、予想していたことなどについて触れつつ、1年をふりかえってみたいと思います。

日本IT業界が世界に飛び出した1年




 まず、2012年初頭にかけてですが、とても重要な予兆がありました。


 2011年にリリースしたNHN JAPAN(NAVER)の「LINE」やマインドパレットの「Snapeee」といったスマホをターゲットにしたアプリが日本発で、しかもプロモーションコストをほとんどかけない形で世界で躍進し初めたのです。スマホゲームもグングン世界に進出し、かつでモバイル(フィーチャーフォン)のマネタイズで世界の注目を集めた日本IT業界のノウハウが一気に噴出すると感じました。


 2011年は海外進出バブルで、英語もできずアポもなくシリコンバレーやアジアに行く人が多かったのですが、日本ITの復興において大切なのは無鉄砲に海外に出るということではありませんでした。(海外という環境を知るということは大切だとは思います)

 最も大切なのは、IT&インターネットのポテンシャルを活用し、自らが発揮できる創造性で勝負する ということでした。LINEは韓国人のデザイナーなども参加しており東アジア圏の繊細さとプロデューサーのマーケット感覚を強みに、Snapeeeは日本人のセンスと強い開発チームを活かしてきました。ゲームについても、まさに日本ならではのノウハウの結晶といってもいいでしょう。

 そこに追い風も吹きました。MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏が就任したことはとても大きかったと思います。スタートアップ界隈でもバイリンガルの浅枝大志氏が世界市場に向け「Beatrobo」を高い完成度でリリースし、「Compath.me」の安藤拓道氏が、フランスで開催されている世界最大級のITカンファレンス「Le Web’11」のStartup Competitionで奮闘したことも印象に残る。PeatIxも米に本社を置くと表明していたりと、実力で世界と戦える人達が、着実に世界へ一歩を踏み出したことは素晴らしい流れでした。

 個人的には、2012年こそ「スタートアップの年」と定義していました。大きな波がくるこの年で動かなければ何も変わらないだろうと考えたのです。

国内での動きと

 2012年に入ってからは、米国のタブレット&電子書籍の急成長の流れに乗る形で、日本のタブレット熱にも火がつきはじめます ( クリスマス商戦後の米でタブレットと電子書籍リーダーの所有率2倍に【湯川】)


 同時に世界10億ユーザー突破のFacebookも勢いは頂点となり遂に上場申請


 日本勢はというと、最近リストラ報道もありますがGREEが「北米スタジオ初のゲームアプリをリリース」、10月のゲームショウではスマホゲーム一色という雰囲気となり、その月「遂に日本が米国を抜く、Androidアプリ世界売上 月ランクではコロプラは圏外から2位に浮上」という快挙をなし遂げます。

 それ以外では、旧友の加賀谷氏が「necomimi」で世界からひっぱりだこ (あの脳波デバイス「necomimi」発売、ニコニコ超会議で限定販売へ )となり、楽天が米Pinterestに1億ドル出資というニュースも飛び込み、もはや日本発世界へとか言ってる場合ではなくなりました。


 スタートアップについては、コワーキングスペースが全国で大量にオープンし (隈研吾が設計したビルを使った格安コワーキング&スモールオフィス「THE SCAPE(R)」が快適過ぎる)、それに関連するイベントが全国各地で開催されるようになりました (関西にスタートアップの息吹! 4/13「Osakan Space」(大阪)でイベント開催 )。個人的にも、地方の支援をさらに注力するようになっています。

 大幅なデザイン変更となったマイクロソフトの次世代OS「Windows 8」が10月末に発売が決まり、TechWaveとしてかなり集中的に取材やコラボをさせてもらいました (「Windows 8 は、iOS / Android を凌駕する最大のアプリマーケットとなる」 )


 そして、忘れてはならないのが、スマホメッセージングです。LINEが「スマホ時代のポータル」としてプラットフォーム化を宣言し、年内1億ユーザーに向け拍車をかけました。

 追従するエムティーアイヤフー!&カカオ連合、そこにDeNAやGREE、海外勢まで流れ込み大変な熱気を帯びました。


 いよいよ日本んでも電子書籍でも、楽天koboとAmazon Kindle 日本版が発売され、ようやく出版の世界に変化が生まれそうな感じになりました。


TechWaveイベント

 maskinプロデュースのイベントとしては、2011年でいろいろやったイベント形態からより効果があるものを規模を変えて実施しました。目立つものだけをいくつか紹介します。

 年初から開始したのがスタートアップコミュニティVANGUARDの塾。かなり本格的なものでした。最も大きかったのが2月15日の「アプリ博」。渋谷セルリアンタワーの1フロアをGMOインターネットさんにご提供いただき、5時間程度で1000人超を集め、出展者にも大きなメリットを提供することができました。

2/15 開催決定! 「アプリ博」in 渋谷セルリアンタワー #apphaku 【増田(@maskin)真樹】
http://techwave.jp/archives/51726500.html

 3月には熱気を帯るアジア圏で、僕が注目するインドネシアのセミナーを開催 (なぜ君は、Facebookユーザー数世界トップの「インドネシア」を目指さないのか? ー VANGUARD定例イベント)

 特殊なパターンとしては、企業とTechWaveのコラボがあります。4月にリクルートメディアテクノロジーラボ x TechWave Labs コラボとして、アプリを共同で開発するようなものも実施しました。6月にはマイクロソフトと「Windows 8 Metro スタイル アプリをみんなで開発する会」も実施ています。課題はありましたが、メディアがやる企画として将来性があると感じています。

 そして第二回目となる浅草・花屋敷でのイベント「この夏、最高の IT祭&エクスポ「花テック2012」 」。今回は子どもたち向けの部門もやり(「僕、プログラマーになるんだ」 TechWaveの夏休み)、来場者はのべて700名超。非常に良い内容で終えることができました。


 TechWaveならではの人材を集めるためのイベントもやりました「ソーシャルメディア時代ならではの “書く” を考える「次世代ライター会議」、TechCrunch Japan / Business Media 誠 編集長ら参加で開催」これは2013年の新TechWaveに大きな影響を与えるでしょう。

 最後は2012年11月に開催した「 大企業 x スタートアップの接点を模索する「Penta Tech Meeting (ペンタテックミーティング)」です。どうなるかわからず、かなりドタバタして実施しましたが、250名程度の大企業からの参加者から「必要なのに無い発想だった」「これは日本を変えるイベント」「是非継続してほしい」という熱いメッセージを多数頂戴することができました。

 と、ふりかえるとかなりボリュームがある2012年でしたが、まだまだ「やれてないなあ」という印象です。2013年はこの倍の質と量で疾走したいと思います。

【関連URL】
・TechWaveでの3年間について 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51774213.html

蛇足:僕はこう思ったッス
スタートアップ支援の年でしたね。これは来年も変わりませんが、よりグレードはアップすると思います。 あと、自分としては「誰よりも早く、誰よりも多くのことをする」そんな考えで1年を生き抜きました。(質はともかく) イベントレポートや取材記事、速報などで「爆速」ならぬスピードで記事を出すことに驚きの声をもらったりしていますが、その辺は雑誌ライター20年の経験が活きていると思います。ちなみに、つだる、は、本人より前からやっています。

著者プロフィール:TechWave副編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
 夢を叶える技術者。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップマーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。

メール maskin(at)metamix.com | 書籍情報・ 詳しいプロフィールはこちら


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