近未来のテレビ視聴の形を提案する新製品として注目を集めているGoogleTVとAppleTV。テレビ業界や家電業界が提案する放送と通信の融合とはまったく異なる発想で、両社が新製品を開発してくるであろうことは十分予測できた。ただGoogleとAppleの間でも製品作りの発想がまったく異なっているようだ。
「テレビを積極的に見るものに変えたい。それがわれわれの戦略だ」。ドイツのベルリンで開催中の家電業界の見本市IFA2010で7日に基調講演したGoogleのCEO、Eric Schmidt氏はそう語った。一方で1日に米サンフランシスコで開催されたAppleの新商品発表会で大幅刷新したAppleTVを発表したスティーブ・ジョブズ氏は「われわれの友達はテレビをコンピューターにしたいようだが、消費者はテレビのコンピューター化を求めていない」と語った。われわれの友達とはGoogleのことを指している。
「テレビとパソコンではユーザーの姿勢が違う。テレビを見るときはうしろにもたれかかり、パソコンを使うときは前かがみになる」ー。テレビとパソコンの違いを示すために、古くから使われる表現だ。ところがGoogleは、テレビ視聴までも前かがみの体験に変えるつもりだ。テレビというデバイスが今以上に楽しく便利なものになれば、消費者は積極的に前かがみでテレビに関わるようになる、と考えるGoogle。一方で、視聴者の態度は変わらない、テレビ視聴は受け身の体験でありつづける、と考えるApple。果たして近未来テレビで、われわれのテレビ視聴の姿は変わるのだろうか。